戦国ジジイ・りりのブログ

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2012年08月11日
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カテゴリ: 城(中国)
さて、前回の終わりに出てきた大内家第29代当主・政弘(1446-1495)は
大内家最大の歌人。


大内家歴代当主は、どなたも和歌・連歌の才能に恵まれており、
京での滞在中に文化人とも多く交わるなどして、さらにその才能を伸ばした。

中でも政弘は抜きん出ており、個人歌集「拾塵和歌集」なんか遺しちゃっている。
1人で2万もの歌を詠んだっていうんだから、どんだけ・・・


連歌師・飯尾宗祇が山口に来たのは、政弘の時。
この2人がタッグを組んで創り上げたものは、実は教科書でも習うんですよ。

それが、准勅撰和歌集「新撰菟玖波集(しんせんつくばしゅう)」。


約2,000首もの句を、政弘の発願により宗祇が中心となって編纂した。
うち、政弘の句は75首も入っている。

新撰菟玖波集の完成までの間、宗祇は政弘に経済的支援も受けていたので、
ちょっとオマケした部分もあるかもしれないけど、
いくらスポンサーだってただの「下手の横好き」じゃ~、
さすがに准勅撰和歌集には入れられないでしょ~(笑)。

宗祇もこの大役を果たすにあたっては、下関の住吉神社に願かけしてるし、
晴れて完成の暁には、後土御門天皇・勝仁親王(後の後柏原天皇)・近衛政家・
飛鳥井雅敏・三条西実隆など、著名な歌人・公卿30名の法楽和歌100首を
短冊にしたものをお礼に奉納してるくらい力を入れたものだからね。




大内歴代当主は古典などの書物の収集にも熱心で、

特に政弘は歌書の収集に力を入れていたという。

ちょっとだけ、大内文庫をのぞいてみましょうか。

たとえば、源氏物語。

政弘は、当時書家として高名だった飛鳥井雅康に
藤原定家校訂「源氏物語」(青表紙本系統)の写本をさせている。

ほとんどの源氏物語の底本とされているそうな。

政弘の当時、源氏物語ってマイナーな書物だったらしく、
ブームの火付け役になったのが宗祇なんだって、菜香亭で買ったDVDが言ってた。
その辺の詳しい経緯を知りたいよな・・・

室町時代末期から江戸時代にかけての上流武家の部屋飾りは、
男子は源平合戦、女子は源氏物語の屏風絵が人気だったというから、
そうすると、宗祇が姫様方の部屋の飾りを変えたってことにもなるかな(笑)。

この源氏物語は石見の吉見正頼へと渡ったが、
その経緯は、義興さんの娘が石見へ嫁いだ際の嫁入り道具だったんじゃないかと
推測されているそうな。
源氏物語と一緒に鷺舞もこのお姫様を媒体として津和野へ伝わってるし、
人の移動はそのまま文化の移動にもなるというのがよくわかる。

その後、源氏物語は吉見氏から毛利元就へ渡ったという。


大内文庫には他にも、一条兼良が書写した「河内本源氏物語」だの
三条西実隆の書写による「新古今集及び仮名序」だの
前関白近衛政家が政弘に書き与えた「金葉集」だの、
とにかくビッグな顔ぶれに深いゆかりのある古典の書名が並ぶ。

古典は、和歌の創作に必要とされる教養を得るためのものだからね。

時には大内文庫から古書を借り出して書写したケースなどもあり、
そういった写本には大内文庫の書写であることを示す奥書がみられる。
レンタル業もやってたのか・・・(笑)。


政弘は応仁の乱の時、長く在京していたが、
その時期を境として、大内氏に様々な書物を寄贈するという動きが増え、
そうして寄贈された本にも、これまたその由来が奥書に書かれている。


古典の他には、例えば「騎射秘抄」という犬追物の作法書なんかもある。
これは室町時代、小笠原氏が免許とともに与えていた家伝書で、
文明16年(1484)に政弘が伝授されたもの。


それから、唐物のコレクションと座敷飾りのマニュアル本である、
「君台観左右帳記」。

当時の会合では、客間や書院などでのレイアウトが重要視されて、
道具類は宋や元の輸入品(唐物)が好まれたという。
その道具の名称や飾り方などを解説した本。挿絵つき。

「君台観左右帳記」は、政弘に贈られたものが最古の記録(文明6年、1474)だという。
本来の使い方だけじゃなく、大内氏ったら貿易だから、
輸入品の品定めにも使われたんじゃないかって事らしい。


そんな当主に仕える家臣たちも、これまた書物への関心が高かった。

陶弘詮(陶隆房の外祖父)は「吾妻鏡」を約20年かけて書写。
これは現在、重要文化財に指定されており、吉川本として知られる。

陶弘詮とその子・興就が三条西実隆に詞書を依頼した「源氏物語画帖」、
こちらは現存最古の「源氏物語画帖」だそうな。
今はアメリカにあるんだって。


これらは、膨大な大内コレクションのほんの一部。
ただ、今となっては焼失あるいは散逸してしまっているので、
残念ながら大内文庫の全貌はわかっていない。
もし残ってたら、金沢文庫や足利文庫と肩を並べるくらいの規模だったのかも・・・




大内文庫についてはこれくらいにして、
再び宗祇さんにご登場いただきましょう。

築山館を詠んだ宗祇の句、「池はうみ こずゑは夏の 深山かな」は
宗祇が山口デビューした時(文明12年、1480年)の連歌会の発句。

この滞在の後、宗祇は北九州連歌ツアーへと出かけている。

旅のコンシェルジュは政弘の腹臣・相良正任。
約1ヵ月の旅行中、行く先々で大内家家臣の接待を受け、
連歌会を催したりもしている。

この時の旅日記にして歌日記、「筑紫道記(つくしみちのき)」は
スポンサー・政弘の元に届けられた。

筑前・豊前は宗祇の旅の2年前に、政弘自ら博多まで出陣して
回復した土地。
ゆえに、宗祇の見聞は自らの領地の国情の報告にもなっていたという。

う~ん、やるなあ・・・・





築山館は大内氏の迎賓館であり、ここで能興行・松囃興行・犬追物など
様々な催し物が行われた。

能の金春流の中興の祖といわれる金春禅竹(こんぱるぜんちく。世阿弥の娘婿)は
教弘の時に山口にやって来た。

政弘の時には宝生大夫が大内氏館におり、
政弘の陣中には金春九郎が近侍していたという。

こんな感じで、実に様々な文化・芸能のパトロンとして
名を馳せていた大内氏・・・
これ、誰か一人だけの話じゃないんだからね。

歴代当主はみんな、戦やりーの和歌詠みーの能を観ーの政務執りーの・・・
って、

アンタら、寝る時間あんのか!!

ってくらい、様々な方面に秀でていた。

だって、和歌ひとつを取ってみたって、
色んな教養やら決まりごとが頭に入ってないとできないから、
やっぱり勉強だって相当したと思うんだよね。

義隆を除いては、ほとんどの当主が在京してたし、
気の利いた歌のひとつくらいさらっと読めなくっちゃ、
ただの成金のイナカ大名で終わっちゃう(笑)。

今の私は、勉強する時間がなくてヒイヒイ言ってるけど、
大内様に負けてはいられないな~。
もっと頑張らなくっちゃ



築山館で興行が催される時には、民衆も詰めかけて
一緒に楽しんでいたという。

興行とはちょっと違うけど、祇園会の時には館を囲む築地の上に登って
祭を見物する輩もいたらしく、延徳4年(1492)の大内家壁書では


築地の上に桟敷を構えるのもダメ!!
これを破ったら、厳しくおしおきしちゃうからね~!!!


というお触れを出している。
なんたって、上辺7mの築地だからさ・・・
桟敷なんかも余裕で置けたんだろうね(笑)。

ちなみに、人質生活中の毛利隆元は、通りの2階に部屋を借りて
お行儀よく祇園会を見物したらしい


そんな家中や民衆に愛された興行も、天文20年8月27日だけは様子が違った。

天文20年8月20日、陶隆房と毛利元就挙兵。
「28日に山口が反乱軍に襲われる!」とのウワサがしきりに飛び交う。

27日、大友義鎮(のちの宗麟)からの使者のために築山館で能興行を催し、接待する。
さすがにこんな時期なので、民衆は誰一人見物には来なかったという。
夜に入って能は終わり、宴もおひらきになった後の深夜、
噂通り隆房の率いる軍勢が山口へと侵入してくる・・・・・

隆房と大友義鎮の間ではすでにウラ取引が成立してたので、
この時期の大友家からの使者ってのも、なんだかすごくアヤシイ。

いちおう、義隆サイドでも大友家に書状を送ったり、
それなりのクーデター対策は講じていたみたいなんだけど、
それにしても、なんとも・・・

暴徒に山口が襲われるって皆が戦々恐々としてる中、
泰然と能の興行なんかしちゃってる義隆って、
ホント戦国で5本の指に入る不思議ちゃんだと思う・・・・・


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最終更新日  2012年08月12日 11時50分12秒


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