戦国ジジイ・りりのブログ

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2014年07月29日
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カテゴリ: 旅日記(近畿)
仏教のことをろくに知らないわたくしからすると、
「戒律」といえば各宗教がそれぞれ定める、「信者がしてはならないこと」の
タブー集のようなイメージがある。

が、聖武天皇が薨去した年に娘の孝謙天皇が発した詔に
【梵網戒の妙力で亡き天皇の霊が輿に乗って冥土に旅立ち、毘盧舎那仏の蓮華蔵世界に
往生できるように祈れ】というものがあり、

 【要するに、戒には仏の加護の威力がこもっているというのである。仏教の戒律とは、
  たんに守るべき規則とか徳目なのではない。戒をうけることによって仏に守護される。
  それが今日、亡くなった人に戒名をさずけて冥土の護符とすることに通じるのである。】


なんだそうな。


実はこの春、我が家では待望のお墓ショッピングをしました。
お墓を買うなんてのはもちろん初めての経験で、
色々思ったこともありましたし、ついでに葬儀と仏教に関する本なども読みまして、
いずれ雑談にまとめようと思ってますが、
うちが買ったのは一般霊園の区画。

そういうところの墓所だと、葬式なんかはどうするのかと思ったら、
最近では家族葬や友人葬など形式にとらわれず内々で故人を見送る人が増えてるんだそうな。
でもやっぱり、葬式といえばお坊さんのお世話になるイメージが強いので、
帰りの車の中では

「内々はいいけど、お経とかはどうするのかしらねえ~」

「あ、お経なら私読めるよ。
だから安心して成仏してよ」


しかし、お経は読めても戒名はどうするんじゃい・・・


そもそも戒名ってなんなんだ?と思ってたんだけど、
冥土の護符ね・・・
そう言われるとわかりやすい。

ただ、本来の戒名というのは生前に仏弟子となることを誓って
授かるものらしいけどね。




愛人説に対する反論に戻ります。

 【私は当時の僧界の流れからも、あり得なかったと考える。道鏡が僧綱についたのは
  天平宝字7年(763)9月のこと、その5月6日鑑真和上が示寂された、まさに
  直後のことである。わが国に最初の正式授戒が行われてから10年、ようやく授戒の
  制も定着して、戒律への関心・理解も深まっていたときである。

  そうした時期に、教団追放をされる重罪の第一にあげられる触女人戒(しょくにょにんかい
  =女性にふれる戒)を犯したとなれば、それがたとえ位人臣を極めた者であっても、
  すぐさま批難されることはまぬがれ得ない。(中略)

  ましてや僧綱の筆頭には師の良弁大僧都がおり、その下には鑑真和上に随従して来朝し、
  戒壇院戒和上となっている法進がいたのである。法進がこれを黙視したとするならば、
  苦難をのり越えてまで他国に来た自らの任を放棄したことになる。このあたりのことが、
  いまだ歴史学者にも小説家にもほとんど指摘されていないのは不思議である。】
  (『逆説の日本史3』より。出典は『奈良新聞』「私の如是我聞」。
   漢数字は戦国ジジイが変換)


ほほお、これは説得力あるよな~。
良弁さんは仏教界の綱紀粛正のために意見奏上なんかもしてるようだしね。
べべ別に、わたくしが良弁さんが好きだからと言って

「彼は素晴らしい人だ!
聖人なんだ!!」


と大絶賛する訳でもないんですが、厳格な一面を持っていたであろうという
印象はある。

まして、海の向こうから待望の受戒の師をお迎えしたばかりの時期だから、
戒に真摯に取り組もうという風潮は強かったんじゃないだろうか。


上の文章で破戒の罰則について少し触れてますが、
僧尼令の公布年代ははっきりしてないようだけども、
『続日本紀』の記載から、大宝元年(701)6月1日の少し後のことと思われる。

これは文字通り僧侶と尼僧に対する決まりで、具体的に何をするとどうなるかという
罰則規定も含まれている。
この中で一番重い罰は、やっぱり還俗かなあ。


・天文を読んでウソの予言をすること
・兵書を勉強すること
・殺人
・性交
・盗み
・「自分は悟りを開いた」とウソつくこと
・占い
・呪術をもって病気を治すこと
・勝手に道場を作って民衆に説法したり、やたら罪福を説くこと
・長老を殴ること
・酔っぱらってケンカすること
・偽った説法をし、勝手に法名を俗人に与えること
・一般の法に照らして1年以上の罪と同等の罪を犯したとき


以上が還俗に価するものです。
項目だけ挙げると結構数があるように見えるけど、
全体の中では還俗にまでなる禁止事項はそう多くはないです。
当然のことながら、異性との交わりは禁止されてます。
個人的には、勝手に戒名(法名)を授けることの罪が重いのが興味深いですね。


 【もっとも、こういう反論があるかもしれない。「僧侶の一般的事情はその通りでも、
  道鏡個人が突出して戒を犯した可能性は否定できない」と。しかし、その可能性は
  まずあり得ない。

  というのは、女帝の死後、道鏡は一切の権威を剥奪され「タダの人」になったわけだが、
  もし本当に女帝と性的関係があったのなら、この時点で必ず「破戒僧」として僧籍も
  剥奪されたはずだからだ。だが、その事実はない。】
  (『逆説の日本史3』より)


というもっともな理論により、世に言う愛人説が相当アヤシイものだと
考えることができる。



道鏡が悪人扱いされるのにはもう一つ理由がある。

皆様は「日本三大悪人」なるものをご存知ですか?
平将門、足利尊氏、そして道鏡。
明治以降のいわゆる「皇国史観」による評価で、
いずれも天皇に反逆したり天皇の地位を脅かした人だとされます。

道鏡がこの3人の中に入っているのは、巨根の魅力で女帝をたぶらかしたからではなく、
反逆をしたからでもありません。
なんと彼は天皇になろうとした悪僧だというのです。
それが「宇佐八幡神託事件」。

簡単に流れを説明すると、「道鏡に皇位を継がせるべし」との神託が降りたとの話が出たので、
称徳天皇は宇佐の八幡様へ確認の使いを出す。
ところが、使いの和気清麻呂が持ち帰った託宣は、
「これまでと変わらずアマテラスの子孫が国を治めよ」というものだったので、
道鏡の野望はあえなく潰え、皇統は保たれた・・・
そんな感じのお話です。

皇国史観などでは、最初の神託を聞いた称徳天皇は
臣下を天皇にするという突飛な内容に困惑したとするが、
井沢氏はそれこそ天皇が望むものだったであろうとする。


「叡山攻め(4)」 で藤原仲麻呂の半島出兵の野望を紹介してますが、
海音寺潮五郎は仲麻呂は天皇になりたかったんじゃないかと推測しているそうな。

井沢氏もその基本ラインは支持しているものの、中国かぶれの仲麻呂がなりたかったのは
「天皇」じゃなく「皇帝」だろうと修正を加えている。

天皇と皇帝はどう違うのか?
天皇については説明はいらないでしょうが、絶対条件がアマテラスの子孫であること。
アマテラス一族による世襲制ってとこでしょうか。

それに対して、皇帝は「徳」に支えられ裏付けられるもの。
「上野第二編(47)」 で「天道」について少し触れてますが、
あれと同じものであり、「徳治主義」とも言われますね。

 【「徳」などというものは客観的に測定不可能なものであるから、とどのつまりは
  「徳」があると「自称する」人間なら、誰でもなれるのである。】
  (『逆説の日本史3』より)


光明皇太后をバックに付け、自分の推す淳仁天皇を即位させた仲麻呂は
貨幣鋳造権と税徴収権を握って、新羅に対し「征討」を行おうとした。
夢見ただけじゃなく、実際に準備に入っていた。

これに危機感を抱いたのが、称徳天皇(当時は孝謙上皇)。
彼女は深窓のお姫様育ちのお飾りの上皇じゃない。
仲麻呂に対抗するために道鏡と吉備真備を抜擢した。

吉備真備は、井沢氏によると【皇族でも藤原氏でもないのに、学問の能力だけで
右大臣に出世したのは、日本歴史始まって以来】なんだそうな。

ただ、いくら道鏡と吉備真備が優秀な人であろうとも、
それだけで仲麻呂に対抗馬とするにはちと弱い。
上皇がクーデターを成功させることができたのは、強力な助っ人がいたからだった。
それが、仲麻呂を除く藤原氏。

同じ藤原氏なのに不思議な気もするけど、ここで上記リンク「叡山攻め(4)」の
寄生虫の話を思い出してください。

すでに王権の一部を手に入れている仲麻呂が新羅征討に成功すれば、
さらに権力は増大する。
仲麻呂自身が皇帝になる意思を持っていたとしたら、その夢にまた一歩近づく。
すると、寄生虫に徹してきたフジワラムシは困ってしまうのだ。

まあ、これが外国だったら、つか日本以外の国だったら
このチャンスを逃さず寄生虫は宿主へフルモデルチェンジする。
そういうチャンスはこれまでにも、この後にもあるのに、
フジワラムシはそうしなかった。
藤原氏はヘンな一族だと井沢氏は言う。
(「フジワラムシ」も井沢氏の表現です)


で、たまたま宿主(上皇)と寄生虫の利害が一致したために、
協調して仲麻呂を倒すことに成功はした。
が、皮肉にもその仲麻呂と同じ方向性を持っていた称徳天皇が
今度はフジワラムシの敵となってしまう。


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最終更新日  2014年07月29日 22時36分02秒


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