戦国ジジイ・りりのブログ

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2015年05月07日
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カテゴリ: 旅日記(近畿)
『今昔物語集』には、とある高僧が天皇の后の病を治したが、
彼女に一目ぼれした高僧が死んで鬼となって后の前に現れて惑わし、
なんと天皇やその他公衆の面前で后と「睦みあった」という話がある。

いちおう名前は伏せてあるものの后は実在の人物で、誰であるかも明白。
「こんな話書いちゃっていいのか!?」とそれを読んだ時思ったものですが、
『天狗のイメージ生成について』(伊藤信博)では

 【この修験者がなるとした鬼には「天狗」の字が当てられており、仏道などの修行より
  天狗の妖術の魅力に取り込まれてしまい、仏道からはみ出てしまった修行者を天狗と
  呼び始めていることがわかる。】



これがさらに発展し、呪力を持つアウトローから呪力のゆえに天狗になれた、となり、
さらに日本の歴史に深く関わる怨霊信仰とも融合して

 【政治的に抹殺され、非業の最後を遂げた特定の人間の霊が人や社会に祟り、災禍を
  もたらすという御霊信仰の図式、つまり、死んだ人間が神に生まれ変わる「人(霊)
  から神へ」の信仰から、呪力の高い高僧の霊が、神ではなく、天狗に生まれ変わる
  という逆の「人(霊)から魔へ」の図式まで生まれている(後略)】
  (前掲論文より)

となり、天狗の中でも善なる者と悪の者がいるという考え方まで生まれるようになる。

現代の私達が「天狗」と言われて想像するとがった鼻、赤い顔、鳥の羽を持つというものは
かなり後になってから生まれてきたものらしく、そこまで行くのに天狗の概念は
実に様々な変遷をたどっている。


学はあっても道心はないので六道からも外れてしまうんだそうな。
これも違う意味での「解脱」だよな、と思ったものの、
それはもちろんお釈迦様が説く本来のルートではない。

天狗バージョンの「解脱」は復帰不可能なので永遠に救済の道は断たれたってことになるけど、
裏を返せば輪廻を超越してしまった存在なので、逆にその優位性も語られることになり、

六道に続く第七の世界の誕生です。

前回の『太平記』の雲景は、座にいた長老といくつか問答をかわしたが
そこに偉い人が来たというので退出する。
と、もうそこに寺はなく、最初に山伏と出会った太政官庁の跡地あたりに
1人ぽつねんと立っていた。
そこで雲景は「自分は天狗道にいたのだ」と気付く。

ならやっぱり、『太平記』に出てくる良源さんは天狗だった訳だよな・・・

『今昔物語集』にはタイトルのみで本文が欠落しているものがあるんだけど、
そのうちのひとつに良源さんが死後天狗となって余慶さんを調伏したという話がある。

円珍派には確かに頭を痛めていただろうけど、
そこまで余慶さんに恨みは持っていなかったんじゃ・・・

ただ、『太平記』より早くに成立したであろう『今昔物語集』に
すでに天狗バージョンの良源さんが登場していることから、
呪術力では評判のあった良源さんが『太平記』の怨霊サミットにまで
顔を出す栄誉(?)にあずかったという想像もできる。

本人がこれを知ったら何と言うでしょうか・・・
ま、天狗以上の不思議な姿のお札が現在でもバリバリ現役で頑張ってますけどね。
わたくしも70体以上持ってますけどね



さてそれでは現地紹介を続けます。

不動堂境内を出て細い道をまたぐと、次のお目当てを示す標識が出る↓。


叡山3・飯室谷・安楽律院へ

これに従ってまっつぐ進む道は中部北陸自然歩道で、すぐ先に案内板がある↓。


叡山3・飯室谷・安楽律院へ3


叡山3・飯室谷・安楽律院へ4

ここからは山道。
不動堂にも参拝客はいなかったけど、こちらにも人の気配はない。

叡山3・飯室谷・安楽律院へ5


叡山3・飯室谷・安楽律院へ7


ほどなくして、まっつぐ上に上がる階段と左へ曲がる道が出た↓。

叡山3・飯室谷・安楽律院へ8

ええと、確かここは道なりに左へ行ったんだよな。


叡山3・飯室谷・安楽律院へ9

石垣の間を抜けると、寺の入口を示す碑が出る↓。

叡山3・飯室谷・安楽律院


叡山3・飯室谷・安楽律院2

その先がたぶん下り↓。
あんまり時間を空けすぎるとかなり記憶もアヤシくなってきます。
特にこの日は禅師の君のお墓以降、まったり感がどんどん加速して
その上疲れがたまっていたもんだから、頭の中はかなりユルんでました。

叡山3・飯室谷・安楽律院3

降りきってから振り返ったところかな↓。
風情はあるし静かだし、あくせくしろって方が無理ってものです(笑)。


叡山3・飯室谷・安楽律院4

その先に門がある↓。

叡山3・飯室谷・安楽律院5



叡山3・飯室谷・安楽律院7



叡山3・飯室谷・安楽律院8



ちょっと、すげえイイ感じ。
最後の写真が一部ボケているのは、心霊写真じゃありません。
枝に積もっていた雪が溶けてぱらぱらと降っていて、
その水滴がカメラにかかったからです。
ちょうどテンションが上がってきたところだったので、
この門の裏手で「チッ!」と思いながらザックを下ろして
レンズのお掃除をした記憶があります(←そーゆーことだけは覚えている)。


叡山3・飯室谷・安楽律院9


いや、それにしても思ってたより随分といいな。
マイナーな飯室谷の中でも不動堂と並ぶそこそこのメジャースポットだから
「ついで」感覚でここへ寄ることにしたんだけど、こんなにいい場所だとは思わなかった。

上の入口の写真にも看板が写ってましたが、ここは安楽律院といって
ここがそこそこメジャーなスポットな訳は、お寺ファンや歴史ファンという
「来てしかるべき」人種以外の「第3の人種」がやって来るからです。
その理由がこちら~↓。

叡山3・飯室谷・安楽律院10

これは先年の大河ドラマ「江」のワンシーンで、ロケに安楽律院が使われたそうです。
も1枚写真があった気がしたんだけど、どうでもいいから撮らなかったのかも(笑)。
で写真がないですが、映画「るろうに剣心」でもロケに使われたそうです。
そういうドラマ・映画やその出演者のファンが舞台となった場所を追いかけて
やって来るという訳です。

ま~ロケの様子の記事などもネットで観ましたが、とっても不便なところにある上、
車は多く止められないし、不動堂の駐車場に車を置かせてもらって
そこから機材を運んでたいへ~んとかぶつくさ言ってて


そもそもこんな浄域をそんなくだらん事に使うな!!」


と現地を大変気に入ったわたくしは声を大にして言いたいですが、
とりあえずこの日はそんなロケなどもないし、キャーキャー騒ぐミーハーな輩もおらず
ほとんど一人占め状態でここの素晴らしさを満喫できたので良かったです。

現代日本では時代劇に使えるような場所が限られてるから、
ロケ地を選ぶのも大変だろうとは思いますけどね。
ただ、そういう人達ってのは公共の場所を使わせてもらってるにも関わらず
得てして大変自分勝手なので、寺とか神社、史跡などでの撮影は勘弁してほしいですね。

嫌いと言ったってロケなんかにそうそう当たることはないハズなので問題ないですが、
有名寺社での結婚式はあちこちであるからねえ~。
あれ、拝観するためにわざわざ遠方から来た人間にとっては
マジ迷惑なんだよね~。
おめでたいのはいいですが、前にそれで非常に不愉快な思いをしたことがあるからな。
いかんな、ついグチが・・・


この安楽律院を含む飯室谷は、歴史的風土特別保存地区に指定されています。

 【この付近は、古都保存法に基づき延暦寺飯室谷歴史的風土特別保存地区に指定されて
  います。比叡山の山麓部に位置する延暦寺三塔十六谷の中でも、独特の風情を持つ
  松禅院と安楽律院が中心となる飯室谷地区は、これらの歴史的文化資産と緑豊かな
  樹林とが一体となって古都大津の特徴ある歴史的風土を構成しています。
  現代を生きる私たちが先人たちから脈々と受け継がれてきたこれらの枢要な歴史的風土を
  次世代に継承し、古都における伝統と文化を育んでいくことが必要です。】
  (現地解説板より)

松禅院てのは禅師の君のお墓から不動堂へ行く途中にあった僧坊のこと。
飯室谷で現役なのは松禅院と不動堂ぐらいしかわたくしは知らないんだよなあ。

現実的な意味での立地としては少々不利な場所にあるので、
観光客でも何か特別なお目当てがなければ来ることはないであろう飯室谷だけど、
こんないい場所があるよ~と知ってほしいと思う反面、
知名度は上がるけどロケなんてここに似つかわしくないものは
やってほしくないと思う複雑なジジイ心・・・


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最終更新日  2015年05月07日 23時30分03秒


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