西アフリカにはリベリアという国があります。

西アフリカにはリベリアという国があります。

2006年05月26日
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助産婦じょじょのアフリカ日記


マーサ基金


先日、このようなニュースをご紹介しました。

<リベリアの少女>日本で治療を 神戸の看護師、私費で招く

この新聞記事にある美木朋子さんのアドレスへメールを送ったところ、お返事が来ました。




私信ではありますが、内容的に多くの方へ伝えても良いと思われるので、ここに一部をアップします。








最初にマーサに逢ったのは2005年の1月に国境なき医師団(MSF)の看護師としてリベリアの首都モンロビアに派遣された時でした。


マーサはとても聡明な少女で、他の患者のリベリア訛りで分かりづらい英語を通訳してくれたり、私の言いたいことを他の患者に伝えてくれたりしました。この頃のマーサの状態は脱臼で歩けないという事に加え皮膚移植が必要なほどの床ずれと、尿路感染症のため長期で尿管カテーテルを挿入し自力で排尿できない状態が続いていました。


フランスから来ていた整形外科医が「この子はリハビリを続ければいつか歩けるようになる、けれどこの状態で村に帰れば一生歩けなくなってしまうだろう」と言われたためモンロビアにあるNGO(ハンディキャップ インターナショナル)にリハビリに週2回通うことになりました。


帰国後、遣り残した事が有ったのではないかと言う思いを持ちながら2ヶ月が経った頃、偶然同じリベリア国内の別の地域で看護師のポストがあると聞き2005年5月に再びモンロビアに戻る事が出来ました。病院を訪ねるとマーサは別れたときと同じ状態でまだ入院しており6月には村に帰ることが決まっていました。


再会できて嬉しかったのですが仏人ドクターの言葉を思い出すとやり切れない思いになりました。この時、マーサを日本で治療できないだろうかということがふと頭をよぎりましたがそこまで一個人として彼女に関わることはとても無理だろうと思いました。世界にはマーサよりもっと悲惨な境遇の人は限りなく存在するし、私には目の前に新しいミッションが控えていました。


半年間のミッションのなかで折にふれマーサのことを思い出したのもこの会いたかったのに叶わなかったいうことがあるのかもしれませんが、多くの患者さん達と出会う中、小さな女の子をみると不思議とマーサを思いださずにはいられませんでした。そしてミッションが終る頃、もう一度真剣にマーサを本当に日本に呼べないかと考え始めました。


看護学生時代の先生が「何か物事を始めるときに出来ない理由を数え出したら決して達成できない、困難なことでもできる事を拾っていけば案外やれるものなのよ」と言われたことを思い出しました。しかし、やはり決断するには勇気が必要でしたし実際にマーサにもう一度会ってみないと自分の気持ちが本物であるか、もしくはミッションという非日常がもたらす興奮の為の一時的なものなのかわからないと思い、とにかく会いに行ってみようと思いました。


こうして12月の初旬にマーサの村を訪れました。この時は乾季で道も比較的良かったのですが会えるまで本当に会えるのか半信半疑でした。そうして彼女と再会した時、私が会いたかった人はここにいたのだと感じました。私が同じリベリアの彼の地にいた頃ここで会いたかった人は同じ時間をひっそりと生きていたのだと思いました。



マーサを日本に呼ぶことは特別扱いにならないだろうか、何故彼女だけ特別なのかという自分への問いに、私と彼女は縁があったのだと答えました。氷山の一角でその後に千人、万人のマーサがいるだろうし例えマーサが良くなってもその後の千人になにができるのかという問いかけに私はミッションで体感したこと、目の前のひとに精一杯の誠意を尽すという事を考えました。国際協力などといっても一人ができることには限界があります。ミッションに参加しても自分ができることは実はとても小さく、ほんの少しのこともできずただ見ているだけしかできないこともあります。そういうなかで人々は生きたり死んだりする、だからこそ自分が出逢えた目の前のひとに精一杯を尽していけばいいのだと思うようになりました。


マーサはあまりおしゃべりではないので一体、アフリカの瞳にこの日本はどのように写っているのか、どんな気持ちで毎日を過ごしているのか想像をめぐらしていますが神戸での生活にも慣れてきた様子で、余暇に編み物をしたりひらがなの練習をしたり映画を観たりして過ごしています。鍼灸の良い先生にも診ていただけることになり週に3,4回、鍼に通っています。


出発前、マーサにも彼女の両親にも日本に行ったからといって必ず歩けるようになるという補償はできないと伝えました。最善を尽したうえで歩けるようになるかは彼女のもつ可能性だと思っています。今はその可能性を信じて諦めず、焦らず一歩一歩やっていきたいと思っています。


マーサの事を知っていただき関心を持っていただけたこと、私が始めた事を知って頂くだけで大きな励みになります。それは希望と勇気に繋がるということを実感いたしました。
本当にありがとうございました。


寄付のために振込み先を知りたいと言ってくださる方もありここに添付させていただきます。日本の多くの方々からの援助に助けられマーサがよくなることが出来れば、私や家族だけで行うより意義のあることではないかと思います。


また皆様にマーサの経過を、よい経過をお伝えできればと思っております。どうぞこれからもよろしくお願い致します。



マーサ基金(名義は美木朋子ですが新しくマーサ用に開設しました)
三井住友銀行
普通預金  三宮支店
口座番号  9243265





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最終更新日  2006年05月26日 21時01分12秒
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