元・天津駐在員が送る中国ビジネス・エッセイ

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カテゴリ: 日本社会
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。




最近、中国の作家余華さんの「兄弟」という小説が日本で発刊されました。
私は、中国語で読みましたので、日本語訳本がどのように訳されているのか、知りません。
原文で読むと、かなり汚い言葉が出てきます。

主人公の李光頭。
その村で一番かわいい女の子"林紅"がトイレに入っているところを、男子トイレの穴からのぞきます。
その行為がすぐに見つかって、当然罪に問われますが、すぐに彼は村の男たちの英雄になります。
多くの男たちが彼に、そのお尻の具合を聞きたがるのです。
李光頭は、それをいいことに、普段では高くて食べれない、ラーメンを要求します。


読み進むにつれ、私も少し気分が悪くなりそうな感じを受けました。
しかし、このような汚い表現が、中国らしさを表現している事実は、間違いありません。


では、日本人は、気高く、中国人は汚いのでしょうか。

私が上述の事実から受ける印象というのは、日本人は、物事を美化してしまう傾向があるという事です。よく言うと、日本人の思考は、文学的であるともいえるかもしれません。しかし、このことは、歴史を見ていく上においては、大変大きな障害になっているのではないでしょうか。

山本七平さんが、「日本人の人生観」という本の中でこのように述べられております。

終戦の年の二学期になると教科書を墨で塗った。いわば「現在」に不都合な事は墨で抹殺をしたわけです。この抹殺をするという事は、分からなくなるという事ですが、本当をいいますと歴史というものは、それを絶対してはならないのでありまして、あるものをそのままにしておく、そのあとに、ただしこの点はここが間違っていると、そういう注釈をかいていく事が実は人間が過去を正確に知る方法であります。

中略

墨で塗って消してしまうと言うことは、考えようによりましては、環境の変化に一番適合できる生き方であります。いわば「思想の衣がえ」のようなことですが、しかし、これをしますと、逆に、わからなくなった過去に呪縛されるような形になり、自己の内実は無意識の無変化を持続するという形になります。
と申しますのは、教科書には墨で消しても、教えられたことは人々の心に残りますので、その人たちは、自分の基本的発想が何に由来するかが分からなくなりますので、逆にそれから脱却できなくなるわけです。


日本人は、「汚いものには蓋を」してしまう性質があるように感じます。
こういうことを書きますと、私が日本人を批判していると勘違いをされる方がおられますが、決してそうではありません。日本の社会が道徳心を維持している背景には、こういう性質が大きく貢献しているとも考えております。

人間が生まれた時には、まだ考えることができないようです。そしていろいろなことを学び、経験してだんだんと考えることができる訳ですが、その情報が道徳的であれば、あるほどそのような判断をくだしていくでしょう。しかし、中国のように歴史的な事実を正確につたえようとすれば、いいことも悪いことも吸収し、かならずしも道徳的な判断をするようにはならないのではないかと思います。

以前ご紹介しましたが、中国には、「東郭氏と狼」という寓話があります。小さいころからこういう話をよみ、そして、江湖中国という本に書いてありましたが、「まじめな人は、損をする。」というようなことを親から教えられる。中国社会の厳しさにまけない強い人間をつくるには、こういう教えも必要なのでしょう。

我々の文学的思考は、住みよい日本社会を形作ってきたのだと私は思います。
しかし、この先グローバル化が進み、だんだんと日本社会も厳しく変化する状況において、疑問に思うことがあります。






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Last updated  2008.12.07 08:37:02
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