与え続けること と 工夫すること

与え続けること と 工夫すること

2011.06.02
XML
カテゴリ: 本、雑誌から。
 こどもをまもるために


3月1 1日の東日本大震災を機に起こった福島第一原発の事故によって、

大気・海・土壌に高濃度の放射性物質が大量に放出され、

私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。

放射能の影響は小さな子どもほど受けやすく、

妊娠中の方や小さなお子さんを持つ方は、

子どもたちを被ばくから守るために、

正確な情報にもとづいて、日々注意しながら生活することが求められています。


 国は「ただちに健康に影響がない」「安全な基準を設けている」と言いますが、



食べたり飲んだりする「内部被ばく」)を説明せず、

1 0 年後、2 0 年後になってから現れる

晩発性障害の危険性を考慮していません。



 国の設定する基準は「ぜったいに安全」と言える基準ではないことが、

多くの放射線医学の専門家によって指摘されています。

しかし、4月1日に厚生労働省が公表した

『妊娠中の女性や育児中の母親向けに放射線への心配に答えるパンフレット』

では科学的な根拠も示さず、「心配はいりません」という無責任な記述が

繰り返されています。

 放射能が人体に与える影響については、未だ明らかになっていないことも多いですが

私たちは「よく分からないから安心してしまおう」ではなく、



という姿勢を持ち続けることが大切です。



放射能ってどんなものかしら?

 放射線を出す能力を「放射能」といい、

この能力をもった物質のことを「放射性物質」といいます。

放射線とは、物質を通り抜ける力をもった光の仲間で、



人体に様々な影響を引き起こします。

放射線がやっかいなのは、人間にとって目に見えず、

においも味もしない、五感で感じられないからです。



半減期とは、放射性物質が発する放射線の強さがもとの半分にまで減る時間の

長さのことです。

ヨウ素1 3 1は8日間、セシウム1 3 7は3 0 年とされます。

放射能は自然に弱まっていくとよく言われますが、

半減期を過ぎても放射能の強さが半分になるだけであるということに注意しましょう。

もちろん、事故が収束しないかぎり、

新たに放射性物質が環境に放出され続けるということを覚えておいてください。



人体にどのような影響があるのかしら?

 放射線の人体に与える影響を説明する時に、

よく「しきい値」という言葉が持ち出されます。

しきい値とは、放射線による被ばくのリスクを示す「基準値」「許容量」のことで、

その値以下の放射線なら浴びても人体に影響はないと説明されています。

 しかし、「基準値」以下であったとしても「安全」で「健康に全く影響がないと」

断言することはできません。

放射線はたとえどんなに微量であっても、細胞を損傷しています。

それゆえ、「安全線量」と言えるものは存在せず、

浴びれば浴びるだけ健康被害を引き起こす危険性が高くなることが指摘されています。


事実、米国科学アカデミーの委員会は、2 0 0 5 年に「被ばくのリスクは低線量に

いたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。

最小限の被ばくであっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある」と報告しています。

また、内部被ばくや低線量被ばくを過小評価する計算方法をとる国際放射線防護委員会

( I C R P )でさえも、「年間100mSv以下でも被曝線量と発がんリスクが増大する」

といういわゆる「しきい値なし直線モデル」を支持しています。

放射線は微量でも人体に影響があるというのは国際的な常識になっているのです。


 このように、放射線被ばくに対する基本的な考えとしては、

「このくらいなら浴びても良いだろう」ではなく、

「最大限用心して、避けられる被ばくは避ける」という姿勢をとることが大切です。



胎児や赤ちゃんへの影響はどのようなものかしら?

乳幼児や妊婦、小さな子どもは大人と比較して放射線感受性が高く

( 2 0 代・3 0代に比べると乳幼児は4 倍ほど高いとされます)、

放射線による被ばくのリスクが高いことがわかっています。

小さな子どもは細胞分裂が活発なため、被ばくによって傷つけられた細胞が

修復されることなく複製されるからです。

 チェルノブイリ原発事故による被害が大きかったベラルーシでは、

事故の5年後、1 0 年後から子どもの甲状腺がんの発症率が急上昇しました。

「ただちに影響はない」からといって、決して安心してはいけません。  



なぜ「内部被爆」が怖いのかしら?

体外にある放射性物質から放射線を受けることを外部被ばくといいます。

一方、放射性物質の小さな粒を、呼吸とともに肺から吸い込んだり、

母乳や牛乳・水や食べ物とともに消化管から取り込むことで、

放射線をあびることを、内部被ばくといいます。

内部被ばくでは、外からごく短い時間放射線を浴びるC Tスキャンやレントゲンなどの

外部被ばくとは異なり、局所的にとても強い放射線を至近距離で、

長い間くりかえし浴び続けるため、低線量でも危険性が高いということが

欧州放射線リスク委員会( E C R R )から指摘されています。

 体内に入った放射性物質は、人体のさまざまな臓器に集まり、

放射線を発し続けます。

その化学的性質の違いで、臓器への吸収のされ方や体内にとどまる期間

(生物学的半減期)が異なります。

ヨウ素131は甲状腺にとどまり、甲状腺がんの要因となります。

セシウム1 3 7 は骨・肝臓・腎臓・肺・筋肉など体全体にたまる

ので危険性が高いと言われています。

ストロンチウム9 0 やプルトニウム2 3 9 は体内にとどまる期間が長いので、

一度体内に取り込んでしまうと、その影響を何年にもわたって受け続けることになります。

 空気や土壌が汚染されると、汚染はまず植物・農作物に広がり、次に動物に移ります。

食物連鎖を通して、放射能が次々と生き物の間を運ばれ、

最終的に人間に行きつくのです。

多くの場合、この過程で放射能はどんどん濃縮されます。

たとえ事故が終息に向かい、放射線量が低くなったとしても、

生物濃縮によって放射性物質を非常に多く含む飲食物が出荷される可能性があります。

ヨウ素は空気中から植物体内に2 0 0 万~ 1 0 0 0 万倍、ミルクに6 2 万倍に濃縮し、

セシウムは軟体動物に5 倍、魚類に2 0 倍に濃縮すると推定されています。



汚染地域について

 ホットスポットとは放射性物質を含む「放射能雲」が通るときに雨や雪が降って、

高い濃度の放射性物質が検出される地域のことです。

特に「風下」地域が該当し、チェルノブイリ事故でも300k m 離れた地域が汚染されました。

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(S P E E D I)などを

活用した詳細な対策が必要とされています。

最近では、福島市、郡山市、二本松市、飯館村などが該当しています。

 ホットスポットに該当する地域では、特に妊婦や幼い子どもに対して、

国や自治体による避難措置がとられるべきです。

国と自治体の責任において、汚染の少ない地域へ、幼稚園、保育所、

学校などを移転させることが求められます。

ホットスポット以外でも、お子さんを外で遊ばせることについて

心配しすぎる必要はないとされていますが、

例えば東京都杉並区でも、大気中0 . 1 3μS v / h の放射線量が、

地表では6 . 3 9μS v / hまで上がっています( 4 月2 0日)。

また、雨天時や雨天後は放射線量が高くなるため、できるだけ雨に濡れないのはもちろん、

特に小さな子どもは放射線感受性が強いので、

外出を避けマスクをするなどできる限り注意を払いましょう。




水道水について

 日本の水道水が安全を考えて管理されていると国は強調していますが、

日本の基準値は世界の水道水と比べても極めて高いものです。

3月1 7日以降、

国はヨウ素1 3 1の基準値を1 0 B q(ベクレル)/ L(リットル)から

3 0 0 B q / Lに、

セシウム1 3 7の基準値を1 0 B q / Lから2 0 0 B q / Lに変更しました。

また、食品衛生法によると、

乳児の飲用に関する暫定的な指標値は1 0 0 B q / Lとされ、

1歳未満の乳児を含め「健康に影響はない」とされています。

 ところが、世界の基準値としては、

W H O = 1 、ドイツ= 0 . 5 、アメリカ= 0 . 1 1 1(B q / L)となっており、

日本の暫定基準値はアメリカの約2 7 0 0倍となっています。

 また、東京都水道局が水道水の放射性物質汚染のデータ公表について

20Bq/L以下を不検出とするなど(4月14日現在)、安全管理の不徹底も問題です。

国の安全基準が引き下げられるまでの間、妊娠中の方や授乳中の方、

小さなお子さんは、水道水はお風呂や洗濯、食器洗いなどとして使い、

できる限り飲むことをせず、内部被爆を避けてください。



食べ物について

 まず、放射性ヨウ素が現在でも検出されているため、当面のあいだ、

汚染の可能性のあるサラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念しなければなりません。

特に葉の広い野菜、ホウレンソウ・レタス・ネギなどは( 表面積が大きいため)

リスクの高い食べ物となります。

国は、基準値を上回った食べ物は出荷制限をしているとしていますが、

4 / 2 6 には千葉県で出荷停止の同県香取市産のホウレンソウ

約7 8 0 0 束が出荷されていたことがわかっています。

また、内閣府食品安全委員会は、

放射性セシウムの暫定規制値を厚生労働省の従来の基準である3 7 0 B q / k g

から5 0 0 B q / k gに引き上げました。

 ドイツ放射線防護協会は、安全のための規制・検査の根拠に不確実性があるため、

乳児・子ども・若者にたいしては、

4B q / k g 以上のセシウム1 3 7を含む飲食物を与えないよう推奨しています。

 また、たとえ事故が終息に向かい、放射線量が低い値で推移したとしても、

生物濃縮によって、日にちをおいて、

放射性物質を非常に多く含む飲食物が出荷される可能性があります。

内部被ばくを考慮すると、基準値の引き下げや放射能測定の強化、

出荷禁止の徹底などが強く求められます。もちろん、国や東京電力は、

出荷禁止措置などによる農家や生産者の損害をきちんと補償しなければなりません。



まとめ

あくまで個人で出来る暫定的な対策です。


空気: 特にホットスポットに該当する地域では、

1 屋内にできるだけとどまるようにする。屋外の空気は可能な限り屋内に入れない
(ドアや窓は閉め、換気扇やエアコンは使わない)。

2 外出時にマスクをする。タオルで口や鼻を覆う。

3 帽子をかぶり、肌をむき出しにせず、上着はほこりの付きにくいものを着る。

4 家に入るときはマスクをしたまま、ほこりを払い、それから家に入る。

ホットスポット以外でも、雨天時や雨天後は放射線量が高くなるため、

できるだけ雨に濡れないのはもちろん、

外出を避けマスクをするなどできる限り注意を払うこと。


母乳: ホットスポットに該当する地域では、当面のあいだ授乳を控えること。

また、放射性物質の生体濃縮も考慮すると、

的確な予防措置をとるために母乳検査の強化が必要。


水道水:国の安全基準が引き下げられるまでの間、

妊娠中の方や授乳中の方や小さなお子さんは、

水道水はお風呂や洗濯、食器洗いなどとして使い、粉ミルクに使うことなど、

できる限り飲まないこと。


食べ物:当面のあいだ、

汚染の可能性のあるサラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念すること。



以上





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.06.03 00:58:03
コメントを書く
[本、雑誌から。] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Profile

麻りあ

麻りあ

Archives

2026.10
2026.09
2026.08
2026.07
2026.06

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: