灯台

灯台

2024年11月20日
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蜃気楼と夢と陥穽のアラート


医療実習用の模型―――を、
硝子越しに見ているような、
暗鬱、慄然、憧憬による、
性の屈曲と伸展を伴った階梯。
パー・バクの砂山モデル論、
トム・レイの人工生命「ティエラ」の実験とか、
口にしてもちんぷんかんぷんな僕等の世代さ。

多分、もう追いつけない、
踊り場が見えて来る―――んだ。
歌舞伎の女形とタカラヅカの男装。
ジェンダーとフェミニズムについて考えながら、
命令系を持たない声で行こ―――う、
水のささやきが耳に残るまで。

子猫を捕らえて切り刻む少年の瞳が、
人間の皮を引き剥がす、
骨を折り、首へとなめたかにナイフをくれる、
笑われて、傷つけられて、咎められた、
快楽者のそれと何が違うという戸惑いの中、
夜の淵を漂泊する。
咽喉に青いビー玉を隠しなが―――ら。

表現のつたなさが怒涛の想いで飛び込めば、
果てしない夜をきれいに閉じてゆくための、
―――青い、碧い、蒼い、二十世紀が、見えるよ。

悲観的人生観―――と。
退廃的感情論―――と。
共鳴を忘れたまま光を孕んで、
カレイドスコープのような、
夜の汐の破片が満ちて来る。
それゆえに影が通過する。
そしてすぐに青い蝶が、
羽根を拡げ―――る。
そして知性の実が赤く熟れ―――る。
メタファーは生物のシナリオの一部だ。

生まれてきてから知ることの遅さ―――を、
やわらかく抗うことで・・。
蝉の声が突然に止む、八月のラジオのノイズが聴こえる、
それでも僕は止まらなかっ―――た。
動と静を有した僕にはいつも雨の音が聞こえた、
春はいつも遠かっ―――た。
あるいは、だから僕は春を鬱屈の対象とした。

自嘲の歌も、生理も、切断も、
絶望の神が支配する、
頭上も見ず、また、脚下も見ず、
心臓の鼓動を聞く。
呼吸の音を聞く。
幽暗の中へと下降してゆく生の営み、
あるいは聖なるものへの完済を求める負債―――。

眼の見えている僕等の祈りは、
くちびるに触れるあたりにも似た、生乾きの傷口、
石鹸で手を洗う行為の中に閉じ込めたん―――だ。

命じられ撃つだろう銃の響き、
そして弱い僕等は最後まで躊躇うことはないだろ―――う。
ギターを掻き鳴らすというよりも、
一つ一つの音をしっかり弾いていたんだ。
男の官能は服を纏うところにあり、
女のセクシャリティは肌を見せるところに―――ある。
ジグソーパズルみたいだって声がする、
頭の中ではずっと声や音が聞こえていて少しうるさいのさ。

拷問器具にも似た性の四十八手、
それをソドムというのか、
エドマンド・スペンサーの妖精女王、
シェイクスピアのクレオパトラ、
バルザックの両性具有、
ともしびの揺れの如く嘘は増えてゆく、
そしてここは仮面を競い合う舞踏場、
時の彼方の黄昏―――へ。
水晶のように澄んだ肉体よ、
心は鳥の形をしていたのか、
身体は花の形をしていたのか、
魂はもう風の音になってい―――る。

ミニスカート姿で鞭を持ったカミール・パーリア、
あるいは革ジャン姿でナイフを持ったカミール・パーリア。
血圧と心拍数の急激な低下、そして泡―――いまは、ね、

さよならで、しずかに光る夏の命・・、
行為は相互作用的なものであり、共生的なプロセスだ、
鍵盤で遊ぶ、蜘蛛、スパイダー、
くも、spider、ゆびさき・・。
遺伝子なんていうものをわざわざ持ち出さなくとも。
僕等はもう少しだけ、短い寿命を液状化させて、
燃焼し尽くそうとし―――た。
ライト、LIGHT、こわれてゆく、rightなんてね、
すべての想いなどどうせ語り尽くせぬものとばかり、
その一瞬、その、たった一刻―――で。

多分、もう追いつけない、
僕は伸びて行く方向に陽が当たる暮らしを求めた、
よろこび、努め、人には優しくして過ごしたい、
この夜の果て―――でも。
それが夜の極み―――でも。
熱伝達、膨張の寸前の冷却、
鯉、花びら、川、夢。











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最終更新日  2024年11月20日 21時20分09秒


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