灯台

灯台

2026年08月16日
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Name of the Nameless Flower


そういえば二日あなたを忘れてた、
指で押せば凹むゼラチンみたいだな、
興味本位のよそ見じゃない、無造作、反抗、
都会のダークサイドにやられて、
誕生の夜の灯受けながら、
スクランブル交差点へ足を踏み入れるよ、
一斉に人間が歩き出す、
バーコードみたいな横断歩道を。
誰かを思い出さないことでしか保てない呼吸がある。
名前を呼ばないことでしか聞こえない音楽がある。
犬の骨を犬のようにしゃぶりたい、
スケボーで立体駐車場を抜けようぜ、
処刑宣告、胎内回帰、演出する美の制度、
喩えるならメモラビリアの世界へ、
(Tell me what you’re running from)
息苦しさと本音を含んで向けられた眼光へFall in 

瞳孔の奥、網膜に焼き付く、
君の、あるいは僕の、反射。

化粧品、金融商品、映画、人工知能、
誰かの理想の身体、誰かの理想の幸福、
誰かが編集した「あなたらしさ」
痛むのは縫い合わすときだけ、
世界は今日もここへ来るさ、
つかめばすり抜ける水、
生まれつきメランコリック患者な僕にも。

名を持ってしまったがゆえに、
名を持たぬ花を掲げるんだ。

馬鹿げたことばかり蔓延ってて驚くよ、
石段をひとつ飛ばして駆け上がる背中、
ふくらはぎの腓腹筋が跳ねるたび、
シャツの背が汗で貼りついては剝がれる。
海が見えるよ、つま先立ちしながら見えてくる飛行機、
ドタバタ劇のように全力で波乱万丈を捕まえに行く、
「腹が減った」「怖い」「寂しい」「触れたい」
その程度の単純な言葉だけで、
(Tell me what you fear the most)
毒に飲み込まれそうな君は誰だ?
ああ、その毒がまわりきる前の、
まだ君であるうちの君に、僕は問いかける。

黙しぬ一分 Let me go
恥ずいこと言えんだ Stay with me

本当の格好良さって弱さと隣り合わせかもね、
狂人の眸、深海図鑑みたいに思えるこの街の人々、
正しさを証明するために怒鳴る人。
幸福を証明するために写真を撮る人。
孤独を隠すために誰かを傷つける人。
寂しさを隠すために忙しく働く人。
生の根拠に迫る精悍なボディー、
重量と解像度のコーラスワークを経て思う、
優しさだけじゃ、
ディストーション、フィードバック、ノイズ。
愛やrock 'n' rollは生まれない。

亡命の夜だ、シティジャズとナイトクラシック、
不可能を可能にしたって束の間の休息と苦悩。
生きているすべてが比喩のように感じるって言ったら、
きょとんとした顔をしていて、よ。
街灯を反射した鈍い銀色、
港湾施設の赤い航空障害灯、
沖を進む船の白い航海灯、
遠くの工場から漏れる橙色。
(Tell me what you need tonight)
素敵だから、頭の中を覗いてみたいな、
目の中から入っていって着ぐるみしながら、
アメリカ大陸を横断したい。

繊細で中性的で多様性の物語を始めようか、
僕等の街にもう壁はない。
国境線も、性別も、階級も、世代も、
オンラインとオフラインの境界さえも、
少しずつ透過していく。
いつまでもガキだってこったな男は、
ビッグバンみたいな衝突だけど、
魔法を解かないでご覧、
(Tell me what keeps your heart alive)
平熱とか等身大とか身の丈に飽きたんだ、
傍若無人な鉄の孤独はもういらない、
窓あけたままシャツも下着もいま脱ぎすてて、
見渡す限りの青い空だ。

蛹のなかで、幼虫の身体はいちど、
原形質のスープにまで溶けてから、
まったく別の設計図で組み直される。

Tell me what you feelin'
(Tell me what’s on your mind)
Tell me what you feelin'
(Show me what’s inside)
Tell me what you feelin'
(Tell me why you’re shaking)

それは夏に降り積むまぼろしの雪だ、
僕はいつも反対の極端な世界を考えてばかりだ。
幸福の裏側に絶望を置き、
秩序の反対に混沌を置き、
愛の反対側に憎悪ではなく無関心を置く。
夏には雪を、光には闇を、生には死を。
いつも針が振り切れた反対側の極端。
だからかな、自分の中にあるものが、
ある日突然、自分の顔をして現れることがあるよ。

あの日とかいうその場所、
もう何も起きない部屋にも朝が訪れて、
遠い他人が生きる the very best
夕暮れに追いつかれないように。
「どんな気持ち?」
花束を引きずるほどの一日の果て、
風を抱くきみの感情のすべてが、
細胞を目覚めさせる。
ありありとした本当として響くに違いない、
心臓の音を大音量にして。

シム・シメールの宇宙 Let me breathe
鍵穴へと転生の繭 Stay in this moment

廃墟と見紛う鉄骨の上で、
熱帯魚が泳いでいたらいい、
原始的なものが目覚める、
不安定で崩れそうなバランスをなんとか保とうと必死で足搔く、
麻薬で捕まってる人や、更生している人の傍らで、
今日も誰かは素知らぬふりで瀬戸際を綱渡りして、
錆びた秤がわずかに傾く。
ギターの高域が空気を切り裂き、
ドラムのキックが胸郭の内側を叩く。
遮断機にドッペルゲンガーを見たかい?
路地裏でふいに光を浴びて、
青信号が点滅を始める、
藻に覆われたこんな深い街の底にも、
淡青と紺にひろがる宇宙を映す、
月の光が射してCallin

ラブホテルの看板が滲ませる赤と、
コンビニの蛍光が漂白する青、
その二色の交配種のような光のなかで、
僕等まだ愛とかいう胡散臭いものを探している。

「―――で、どんな気持ち?」
君が最初にそう訊いてくるのが、
何故だかもう、聞こえる気がしたんだ、
世界は生まれ変わる時がある、
そして人間も生まれ変わる時がある。

Tell me what you feelin'
(Tell me what you’re hiding)
Tell me what you feelin'
(Tell me what hurts)
Tell me what you feelin'
(Say it before you break)









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最終更新日  2026年08月16日 15時41分23秒


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