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2005年10月04日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 松江の街を歩いたのは、何年前のことだったろう。あの時一緒に歩いた人は、今どこで何をしているのだろう。
 その当時のことがいろいろと思い出せるかもしれないといった、多少センチメンタルな気持ちを抱きつつ降り立った松江だったが、残念なことに、ここに一緒にきたんだけどなぁ~、という記憶の中の霧中を模索する事しかできなかった。鮮やかな思い出として蘇らせるには、ちと時間がたちすぎたのかもしれないし、さまざまなことが起こりすぎたのかもしれない。
 仕事のほうはともあれ、念願だった小泉八雲の記念館と旧居を訪れることができたのはうれしかった。これと言って八雲の作品に惹かれていたわけではない。どちらかと言えば、恩田陸にはまっているだけだ。だから、恩田がああいった作品を書き上げるアイデアをインスパイアーされた松江や出雲の町や、小泉八雲の旧居などを、恩田が巡ったであろうように、ぽこぽこと歩いて回ったのだ。ひとつだけ残念だったのは、ジャズ喫茶がなかったことだ。看板は出ていたのだが、営業していなかった。
 そんなことをして遊んでいるうちに、昔松江に訪ねた人物と、恩田陸とがだぶってきて、いったい自分は誰を追いかけているのか分からなくなり始めた。何かの拍子にお寺の角をぶらっとまがると、そこに何十年もたった、かつて一緒に松江を旅した恩田陸が立っているのではないか。そんな気がしてくるのだ。恩田陸の名誉のために付け加えておくが、私と恩田陸とは面識はない(書くまでもないことであった)。
 その人の名前はシノブといった。かつて追いかけていた人だ。追いかけていたような気がするが、追いかけられていた気もしないでもない。20何年もたった今頃になって追いかけてみたところで、どこであろうが、誰にであろうが、追いつけるはずもないのだが、旅行鞄を両手に提げて歩く後ろ姿が、どこかの旧家の並ぶ路地を歩いているだけで見つけられそうで、松江にいると、ついつい細い道へと足を向けて歩いてみたくなるのだ。路地という路地に、それを奥へ奥へと入っていくだけで、シノブや八雲の姿を呼び出せるチカラを潜めているのだ。
 私を誘いこんだ路地の奥の奥で、私は確かに出会ったような気がする。わたしが追いかけてきた恩田陸に。そして今の私には、その路地の奥の奥から抜け出してきた記憶はない。そこに何かを置き去りにしてきてしまったように。またいつか、忘れ物を取りもどしに、ハーンを訪ねよう。





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最終更新日  2005年10月04日 13時43分12秒
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