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Jul 31, 2007
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カテゴリ: 読書
先日予告しました「月光の東」、昨夜読み終わりました。

48才の商社員・加古慎二郎が突然にパキスタンのカラチで自殺したことからこの物語は始まります。 
その自殺には、直前まで一緒だった塔屋米花(とうやよねか)と言う女性の陰があります。
夫の加古がなぜ自分たち家族を残して死ななければならなかったのか、米花とはどんな人物なのか、ふたりには自分の知らないどのような経緯があったのか・・・・
読者はその謎に迫る為に、加古の妻・美須寿と共に米花、米花を巡る人々の運命を訪ねて行くことになります。
そこにはもうひとり・糸魚川の中学で米花、加古と親しくしていた同級生の杉井純造もいます。
米花が加古宛てに出した手紙の差出人の名前が杉井だったことから、妻と杉井はそれぞれに過去にさかのぼって調べ初め、杉井の語る言葉と美須寿の日記を通して、それは順番に私達に伝えられるのです。

加古真二郎の自殺の真相も 塔屋米花という女性の正体も、杉井純造が米花に惹かれる理由・・ も解らないことだらけ、最後まで美須寿は米花に会えるのでしょうか。
米花の周りの男たちがなぜそこまで米花に惹かれるのか、米花の言う「月光の」とは何を意味しているのか・・・全ての謎が読み進めても解けないものですから、私は終わりまで目が離せなくなってしまったものです。



全く何も知らなかった自分自身を責め、卑怯な死に方をしてしまった夫への怒りや米花への憎悪が、日々こみ上げる妻。
全てのことが最後の最後まで明白になることもないまま、この小説は終わってしまいますが、妻・美須寿の中には、自分自身も夫をそれ程愛していなっかたのではないか、結婚も申し分のない相手同士というだけのものであった、これからは自分を肯定して生きて行くしかないとの結果が出てきます。

懇意にしている骨董屋の主人・古彩齋の主人、かれは米花を知る人物であったことが後半になって解るのですが、「罪悪感ほど心身を痛めるものはありません」との言葉を美須寿に言います。

妻・美須寿は心の落ち着きを取り戻し、米花の魅力にひかれてさえしていくのです。
物心付いたときから不幸な家庭での生活、17才で自分の未来を切り開く手段として親子ほども年の違う美術商をパトロン持って生き抜いていく米花の持つ魅力。
いくら若さと美貌を武器にのし上がっていくとはいえ、ぎりぎりのところで止まっている、いさぎよさも備えているところがこの作者の上手なところです。
平凡に生きるしかない私達だからこそ、このようなヒロインに惹かれ、その存在も許してしまうものかと思います。
もうひとり、杉井純造に米花の情報を提供する合田澄恵。
彼女の存在は杉井だけでなく、読者にも受入れやすいものとして光っていると思われます。
人が生きることの哀しさ、強さを描いた物語でした。





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Last updated  Jul 31, 2007 10:44:54 AM
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