「第3版 ストレングスモデル」 金剛出版 チャールズ・A・ラップ/リチャード・J・ゴスチャ 著 田中英樹 監訳 という本を読みました。
本来は支援者サイドの本ではありますが、 発達障害に悩んでいる方、前向きになれない方に対してもヒント
となることが
書いてありました。

20年ほど前、「ポジティブシンキング」という考え方が流行りました。後ろ向きな考えが後ろ向きな 結果をうむ、だから前向きに考えなさいといった考え方です。今でも「引き寄せの法則」などで言われてますね。私も 一理あると思います。
ところが、前向きになろうと考える程「前向きになれない原因」を考えてしまい、落ち込むのです。 家庭環境・出来なかったこと・失敗した経験・学校や仕事場でうまくいかなかったことなど「トラウマ」や「不安」の原因は 簡単に見つかり、前向きなイメージは湧いてこないのです。
出来ない事や、こころの傷や、障害に目を向けると制限された未来しか描けない、それは精神障害者に対する支援においても 支援者が陥りがちな視点ということです。それよりも ストレングスに目を向けることで、可能性を引き出し、本当にその人が 望む未来に向けての目標に向けて前進していける そうです。
ストレングスとは、強さ、長所、持っている力などのことで、具体的には、能力、レジリアンス(復元力)、希望、財産、環境、 友人、家族などです。
弱いところよりも、本来持っている長所・興味・関心の中から可能性を見出し、本当の願望、あきらめていた夢に焦点をあてます。 「福祉サービスに繋がる」ことや「障害を克服すること」だけではない、本人の希望・願望から目標をたてて、障壁を一つ一つクリア しながら支援していくことで、 重度の精神障害があっても夢が叶えられていく 姿が描かれています。
例えば、「統合失調症 破瓜型」で、読み書き不能、無職、独身、自立生活移行アパートに通っている42歳の男性がおられました。 その方は週5回デイケアに通っておられましたが、他の利用者やスタッフに対して攻撃的になった為に、大方のスタッフが精神病院への 再入院と薬物療法が必要と見なしていました。
ところが「ストレングスモデル」を実践する新任ワーカーは、本人の「はたらきたい」「職業滴定がある」「映画に興味がある」などのストレングスに 焦点を当てて入院に頼らない支援を展開していきました。
その結果2年後には、デイケアを卒業し、映画館に就職、普通のアパートに住んで、彼女も出来て、趣味の映画や釣りなどを楽しめるようになりました。
その男性は「仕事をして、自分の人生を自分で選択出来る様になりたい」ということが目標でした。そこに向けては非常に細かなステップや乗り越える
障壁がありましたが大きな目標の達成に向けて、小さな目標を一つ一つ乗り越えながら進んでいけた結果、 大方の予想に反して、自分の願望に向けた未来
が拓かれ
た
のです。
このことは、発達障害で悩んでいる私たちにも置き換えて、実践していくことが可能なことであると思います。

そして、もう一つ注目したいストレングスに レジリアンス(復元力)
ということがあります
。
虐待、いじめ、ハラスメントなどの逆境にあっている中でも前向きに人間的成長が出来る人がいます。
残酷で懲罰的な施設、物質依存の両親、危機的な貧困状態、精神障害の両親のもとで「最も過酷な境遇で育ったこどもたち」を研究するなかで、
実は多くの人が大人になってうまく対処して成功していることがわかったそうです。
幼少の環境的要因で受けた傷、両親から受けられなかった愛情を、代替えの親族、友人、教師、支援者などによって補い、レジリアンスによって復元しながら、 成長をした結果であるそうです。
レジリアンスには「洞察力」「自立性」「関係性」「自発性」「創造性」「ユーモア」「倫理観」の7つがあり、逆境から成育し 克服する能力を与えるそうです。
発達障害者のなかには 虐待を受けている人も少なくありません 。なぜなら発達障害には遺伝的要素があり、両親や親族が自覚をしていないことが多いからです。
衝動性を抑制できずに感情をぶつけられる、特定のこだわりを押し付ける、生活が破綻している、こどもの意思を汲むことができない、アルコール中毒になっているなど、 その家庭では常識だったことが、客観的に見れば虐待であったことはよくあります。
しかし、 多くの人には最も困難な状況を克服する力があり実際に克服しています
。
発達障害による苦手部分、世間の価値観の物差し、人から言われたマイナス評価、人間関係につまづいた経験にとらわれずに、 自分の「ストレングス」と「レジリアンス」を
信じて人生を見つめなおしてみて下さい
。そして自分の興味、関心から 本当に自分のやりたいことの目標を持ってみて下さい
。
すぐにではなくても、きっと希望が見えてくるのではないでしょうか?
私には、日々の小さな前進とともに少しづつ希望が見えてきています。
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