乱筆乱文縦横無尽

2009年10月09日
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カテゴリ: 読書日記
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さて今日は、10月1日に読み終えた『蘭陵王』を紹介します。

「好きな作家ベスト10」を挙げるとすれば、その中に必ず入る作家が田中芳樹氏です。『銀河英雄伝説』などのスペースオペラや、『アルスラーン戦記』などのファンタジーなどももちろん面白いのですが、私が好きなのは中国史を題材にした歴史小説です。中国史といっても題材は『三国志』や『水滸伝』などの一般受けするものではなく、この作品のように中国では有名であっても日本ではあまり知られていない時代や人物を描いたものが実に面白いと思います。本書の『蘭陵王』もそうした類の小説です。


本書の舞台は6世紀半ばの中国南北朝末期で、日本では聖徳太子の祖父として知られる第29代欽明天皇の頃です。以下、簡単にこの頃の中国史を振り返っておきます。

3世紀後半に魏・呉・蜀の三国時代を終結させ全土を統一した晋(西晋)が、4世紀初頭の八王の乱をきっかけに衰退し、大陸北部は五胡十六国の争乱時代を迎えます。その混乱を5世紀前半に統一したのが鮮卑族の北魏ですが、これも6世紀初めの六鎮の乱後に衰え、東魏と西魏に分裂してしまいます。そして東魏は北斉に、西魏は北周に代わられ、そして南朝には陳が控えて、それぞれが相争っていました。その北斉の武成帝の御世に現れた武将が蘭陵王(高長恭)です。

蘭陵王は武成帝の兄である高澄の四男にあたります。戦術眼に優れていたらしく、数々の武勲をたてましたが、その武勲を武成帝高湛やその子である後主高緯にねたまれて、最終的には自殺に追い込まれてしまいます。この蘭陵王の後半生を描いたのが本書です。

最終的に自殺に追い込まれた事実は知っていたので、それをどのように描くのかに注目して読んでいましたが、結末の展開の描き方はほぼ予想通りでした。史実的には、武成帝や後主の暴虐な政治に対して、それに命を賭して諫めるわけでもなく、自らが取って代わろうとする覇気もなく、率直に言って蘭陵王には不甲斐ない思いを感じてしまいます

と、グチめいたことを書きましたが、久々に田中芳樹氏の中国史ものが読めたことには満足しています。とにかく遅筆で知られる作家さんなので、もっと新作が読みたいといつも思っています。『アルスラーン戦記』や『創竜伝』の新作を、首をものすご~く長くして待ってます



蘭陵王 (楽天ブックス)
文藝春秋 2009年 ★★★★☆(ラストがなあ…)







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Last updated  2009年10月10日 03時32分08秒
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おこめ@ Re:中島京子 『ハブテトル ハブテトラン』(05/11) 突然のコメント失礼します。 人違いであれ…
逆立ち天子6189 @ Re:斉藤光政 『偽書「東日流外三郡誌」事件』(07/05) 東日流三郡誌を真書とした古田氏は残念で…
悪女6814 @ Re:ジノリのプレート(ロイヤルブルー)(05/22) おはようございますヽ(*´∀`)ノふぉろーし…
尼尊太郎@ Re:金容雲 『日本語の正体』(11/09) こちらを見てください。 韓国の学界でも…
Sonic @ こんばんは コメントありがとうございます。 本書…

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