乱筆乱文縦横無尽

2009年12月03日
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カテゴリ: 読書日記

せっかくの旅行がキャンセルなんてことにならないように、更新を終えたらまた寝ます。


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今日は、11月26日に読み終えた『 人間の未来 』を紹介します。副題は「ヘーゲル哲学と現代資本主義」というもの。読み終えるのに、一カ月以上かかってしまいましたすべてを理解できたと言い切る自信はまったくありませんが、2009年のベストを挙げるならば、まちがいなく本書を挙げたいと思います(ちなみに2008年のベストは『 悼む人 』です)。



人間の未来 (楽天ブックス)
※筑摩書房(ちくま新書) 2009年 ★★★★★


竹田青嗣さんの著作で初めて読んだのは『 現代思想の冒険



現代思想の冒険 (楽天ブックス)
※筑摩書房(ちくま学芸文庫) 1992年 ★★★★★


本書『人間の未来』を一言で概括すると、それは著者の「ポストモダンとの訣別宣言」と言えるでしょう。現代思想の行き詰まりをイロニーと捉え、近代思想の見直しを迫りました。


私が本書を高く評価(何だか偉そうですが)する点は、近代哲学と近代国家の成立を、もしくは資本主義の成立とを関わり合わせて近代そして現代を理解しようとし、さらに未来を描こうとする気宇壮大さです。主義主張は異なれども、同じような読後感を柄谷行人氏の『 世界共和国へ 』からも受けました。一人の人間が為し得る思想的営為の極みを垣間見た思いがしました。



世界共和国へ (楽天ブックス)
※岩波書店(岩波新書) 2006年 ★★★★★


本書を読んでいて私が最も重要と考えるのは、近代国家の理念を否定的に捉えてはならないという著者の指摘です。現代社会の諸問題を糾弾しようとすれば、「反国家」「国家=悪」という言辞と往々にして接続してしまいがちです。しかし、著者は近代国家の本質を「普遍暴力に対する共同体の共同防衛」にあり、その理念は「『自由の相互承認』にもとづく『普遍ルール社会』」(p.196)と理解した上で、「反国家、反資本主義、反ヨーロッパ、反近代といった表象を捨てねばならない」(p.203)と結論付けます。批判すべきは近代国家の「現実」であって「理念」ではないというわけです。そして、「人類社会全体を『普遍ルール社会』へと近づけていく」(p.298)ことを主張しました。


私自身は著者のこうした論旨に納得する一方で、「普遍ルール社会」とイスラム圏やインド・中国などの非西欧社会の親和性に疑問符を抱いてしまいます。本書の冒頭で著者も肯定せざるを得なかったアメリカの「覇権主義」の擁護という指摘は生き続けているのではないかと思ってしまうのです。また、資本主義の暴走という今日的課題への返答は為されていますが、冷戦後に歴史の表面に再び現れた「民族対立」や「西洋対イスラム」という重要問題は置き去りにされてままだったように思います。


それはさておき、本書を読み終えたときに思ったことは、変かもしれませんが、感謝です。現代社会と直接つながったところで哲学・思想をしている人は少ないように思います。しかし、これからの人類の未来がどうあるべきかを必死に考えてくれている人がここにいました。著者に「ありがとうございます」と言いたくなったのです。そんな本です。


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Last updated  2009年12月04日 03時51分32秒 コメントを書く
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おこめ@ Re:中島京子 『ハブテトル ハブテトラン』(05/11) 突然のコメント失礼します。 人違いであれ…
逆立ち天子6189 @ Re:斉藤光政 『偽書「東日流外三郡誌」事件』(07/05) 東日流三郡誌を真書とした古田氏は残念で…
悪女6814 @ Re:ジノリのプレート(ロイヤルブルー)(05/22) おはようございますヽ(*´∀`)ノふぉろーし…
尼尊太郎@ Re:金容雲 『日本語の正体』(11/09) こちらを見てください。 韓国の学界でも…
Sonic @ こんばんは コメントありがとうございます。 本書…

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