乱筆乱文縦横無尽

2010年01月25日
XML
カテゴリ: 読書日記




にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


今日は1月11日に読み終えた猪木武徳氏による『 戦後世界経済史 』を紹介します。副題は「自由と平等の視点から」というもので、本文が370ページに及ぶ大著です。



戦後世界経済史  中央公論新社(中公新書) 2009年 ★★★★★


本書は第二次世界大戦後の世界経済を鳥瞰しようとする意欲的な著作です。実際に目次を眺めても、そこにはアメリカ、ソ連、ヨーロッパ、東アジア、旧社会主義諸国、ラテンアメリカ、アフリカ、中東などが対象となっており、世界の各地域がほぼ網羅されていることがわかります。


さまざまな経済上の事件や、各国(各地域)のときどきの経済分析も本書では為されていますが、こうした網羅的な著作を読む上で私が重要視しているのは、 著者がどのような位置から俯瞰しているのか という立脚点の問題です。そこに普遍性がなければ、単に著者のバイアスから発する「主観の吐露」以外の何物でもなくなってしまいます。そこで著者が自らのスタンスの表明とするのが、副題にある「 自由と平等 」という価値であり、その相克の解決です。それは本書の末尾「むすびにかえて」で、いたって簡潔にではありますが、記されていました。


著者の結論をさらに簡潔にまとめると、人的資本を高めることにより経済成長を成し遂げた上で民主主義的な政治制度を確立し、十分な知性を身に付けた人間が「倫理的に善い選択」(p.373)をおこなっていくという道筋となります。そして、「 知育・徳育を中心とした教育問題こそがこれからの世界経済の最大の課題である


ここで唐突に出現する「 善い 」とは、本書の「はしがき」において、実はすでに登場していますが、その「善い」の方向は具体的に示されませんので、これ以上の言及はできません。しかし、「自由」が過度に強調された社会観は否定されているように思えました。


グローバリゼーションの拡大に伴う歪みが生みだした世界金融危機を経た現代社会では、新たな「資本主義の精神」が求められています。それは「自由と平等」の両立を目指す漸進性の強いものでありそうです。著者の次回作では、そのあたりの展望を述べてもらいたいと思いました。


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村 クリックお願いします







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010年01月26日 05時02分53秒 コメントを書く
[読書日記] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Profile

Sonic

Sonic

Archives

2026年10月
2026年09月
2026年08月
2026年07月
2026年06月
2026年05月
2026年04月
2026年03月
2026年02月
2026年01月

Comments

おこめ@ Re:中島京子 『ハブテトル ハブテトラン』(05/11) 突然のコメント失礼します。 人違いであれ…
逆立ち天子6189 @ Re:斉藤光政 『偽書「東日流外三郡誌」事件』(07/05) 東日流三郡誌を真書とした古田氏は残念で…
悪女6814 @ Re:ジノリのプレート(ロイヤルブルー)(05/22) おはようございますヽ(*´∀`)ノふぉろーし…
尼尊太郎@ Re:金容雲 『日本語の正体』(11/09) こちらを見てください。 韓国の学界でも…
Sonic @ こんばんは コメントありがとうございます。 本書…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: