乱筆乱文縦横無尽

2010年02月08日
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カテゴリ: 読書日記

何をしようかと、今から考え中。きっと読書して、DVDを観て、ビールを飲んで終わると思いますが完全オフは本当に久しぶり。のんびりすることだけは決まってます


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今日は1月28日に読み終えた『 河合栄治郎 』を紹介します。副題は「戦闘的自由主義者の真実」。河合栄治郎の名前は、日中戦争中に弾圧された自由主義者として名前だけは知っていましたが、このような伝記的著作を読むのは初めてのことです。とても興味深い内容に満ちていて、今年(2010年)読んだ本の中で最も面白く読みました



河合栄治郎  中央公論新社(中公新書) 2009年 ★★★★★


まず、本書を手にしたきっかけは、河合栄治郎が私と同郷だったということ。これだけで、名前しか知らなかった昭和初期の経済学者がとても身近に感じることができました。その河合栄治郎ですが、一般的な知名度はあまり高くはないと思われるので簡単にプロフィールを紹介しておきます。


河合が生まれたのは1891年のこと。府立三中から一高、そして東京帝国大学に入学。卒業後は農商務省に入省しますが、1919年に辞職。その後は東京女子大講師を経て、東京帝大の経済学部助教授となり、1926年には教授に昇進します。しかし、日中戦争下でファシズム体制を批判し、1939年に休職処分、さらには出版法違反で起訴されます。裁判闘争では有罪判決が下され、太平洋戦争下の1944年に53歳の若さで亡くなりました。


この河合のエピソードを紹介しようとすると、楽に一冊の本が書けそうですや、二・二六事件に対して発生後わずか2週間で批判記事を投稿するなど、枚挙にいとまがありません。その中で、私が最も印象深かったエピソードが、 河合が徳富蘆花の「謀叛論」のプロデューサーだった ことです


蘆花の「謀叛論」とは、1910年の大逆事件後に一高でおこなわれた講演です。大逆事件は明治天皇を暗殺しようとしたとして、幸徳秋水などの社会主義者や無政府主義者が逮捕されて処刑された事件ですが、蘆花は幸徳秋水らが処刑された一週間後に犠牲者を哀悼し、時の政府を批判する演説をおこないました。


蘆花はこの「謀叛論」で、「 諸君、幸徳君らは時の政府に謀叛人と見做されて殺された。諸君、謀叛を恐れてはならぬ。謀叛人を恐れてはならぬ。自ら謀叛人となるを恐れてはならぬ。新しいものは常に謀叛である 」(p.72)と訴えました。かなり過激な演説ですが、この講演会を企画したのが一高弁論部に所属していた河合と河上丈太郎(戦後、日本社会党委員長)だったのでした。驚きです


最後に難癖を一つだけつけておくと、河合個人の思想を詳細に論じていはいましたが、 同時代人による河合の評価にあまり触れられていません でした。たとえば福田徳三などから河合はどのように見られていたのか、また少し専門は異なりますが、ほぼ同世代で同じ帝大の吉野作造は河合とどのような関係にあったのでしょうか。河合の政治的な立ち位置を理解するためにも、学者という立場を離れた言論人としての河合の評価も知りたく思いました。


本書で、著者は河合の日記などの史料も活用して、河合栄治郎という一人の自由主義者の生涯を描き切ったといえます。幅広い資料収集とともに、経済思想に対する言及などなされており、 大変な労作である というのが私の感想です。とても面白く、そして勉強になりました。


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Last updated  2010年02月09日 03時26分29秒 コメントを書く
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おこめ@ Re:中島京子 『ハブテトル ハブテトラン』(05/11) 突然のコメント失礼します。 人違いであれ…
逆立ち天子6189 @ Re:斉藤光政 『偽書「東日流外三郡誌」事件』(07/05) 東日流三郡誌を真書とした古田氏は残念で…
悪女6814 @ Re:ジノリのプレート(ロイヤルブルー)(05/22) おはようございますヽ(*´∀`)ノふぉろーし…
尼尊太郎@ Re:金容雲 『日本語の正体』(11/09) こちらを見てください。 韓国の学界でも…
Sonic @ こんばんは コメントありがとうございます。 本書…

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