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2016年02月23日
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カテゴリ: 日々の仕事雑感
 先週の金曜日、「感情労働と看護-人相手の仕事はなぜ疲れるのか」という研修会が区内であった。

 ここ数年、職場で時々起こる人間関係に関係するごたごた。普段研修会なぞには参加しない同僚を誘って出かけて行った。

 武井麻子先生の「感情労働と看護」という著書は、題名だけで興味を持ち10年以上前に購入したが、その頃の私にとっては難解で読了をあきらめたがいつかは理解する時期が来そうな気がして本箱で鎮座している。

 先生の雰囲気は知的かつ厳しさを感じさせられた。事前に渡されたレジュメを見ると、今まで、そして現在さえもされている看護教育の「共感」「傾聴」「受容」などという言葉にも批判的であった。

 看護という仕事は、「鎮痛剤を患者さんに渡す時でも、相手の痛みを知りこの薬を飲むとどのくらいの時間で治まるのでお飲みいただけませんか」とか「痛みが軽くならないときにはまたすぐにナースコールを押してくださいね」などという対話を通して、自分自身を道具として働きかけて初めて看護になる。

 私が受けた看護の基礎教育は40年ほど前だけど、「患者さんの前で泣くな!何かトラブルを起こしても決して謝るな、一人の人に時間をかけ過ぎず公平に看護をしなさい」などであった。建前は公平だけど、「やだな」と思ったり「ひいきしたくなってしまう」のは自分自身の感情としてごく普通のもの。しかし、そういう自分自身のいろいろな感情を押し殺していることがひどく疲れを増してしまうことのつながってしまう。そういう仕事が看護をはじめとするケアの仕事だという。


 「感情労働とは、感情労働の不可欠な要素として適切/不適切な感情表出が規定されており、それに沿って感情を管理することが求められる職業」と規定されている。

 看護の基礎教育で教えられる感情のルールとして、共感的理解、傾聴、受容。先生は「共感的理解なんて嘘っぱちだ。とりあえず傾聴しましたという表現をする者がいるが、とりあえずの傾聴なんてありえない」と一言で看破していた。

 このような感情ルールを、本物の良い看護師になるために、深層演技をする。感ずべき感情を感ずるように、感ずるべき感情を感じないように、感情を引き出したり、加工したり、押し殺したりする。さらに「共感的理解」「傾聴」「受容」の努力をする。道場でするのではなく、客観性と根拠を持つ判断を。



 基礎教育で教わった看護師像と現場での労働では非常にギャップがある。24時間、3交代か2交代でチームでケアを行い、そのうえ入院期間も1週間以内。臓器移植でも3日間という医療機関もあるという。

 さらに良い看護師であるために深層演技をするので、例えば「思いやりのある人のふりをする」「冷静で知性的のふりをする」「厳しい人、怖い人のふりをする」。病棟ではこのような役割分業をしているので、優しい看護師がいられるのは厳しい看護師がいるからこそとの説明があった。

 自分自身の感情を変える作業や「いやだな」という感情を作業を続けていると、「ドキドキして眠れない」「怖いからあの部屋に行きたくない」など、の気持ちが強くなるが、感情ルールとは別な気持ちなのでなかなか同僚に話すことが難しくなる。

 入院期間が非常に短縮され、先週の日勤でケアした人が次の出勤日にはもう退院していたなどということが急性期医療をしている病院では普通のことになってしまっている。患者を理解しようとしても短時間の接触時間ではなかなか難しい。

 医療機関の現場では、あるべき看護師像を患者から期待され、実際のケアは決められた時間内にミスをせずに遂行しなければならない。看護教育で教わった看護師になろうとする努力をしていると現場では時間内に終わらせなさいとか別のプレッシャーで追いつめられる。

 看護業務になれるまでの、新人からの数年間で看護師を辞めていく看護師はまだまだ多い。

 先生のお話をききながら、「あの頃はそうだったなぁ」と新人でダメダメ看護師時代を思い出していた。





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最終更新日  2016年02月24日 02時57分41秒
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