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September 28, 2003
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「いのちの初夜」を求めて、結局図書館でこれを借りた。編者の名を見たとき、あぁこれは院内の名前だなとピンと来た。口絵に写真がある。わかる人にはわかる。

 北条民雄が突出していることは言うまでもないが、光岡良二や内田静生などもなかなかいい。そのほか「火花」に登場した同僚たちの作品が収められている。光岡の「青年」は北条のことを書いている。しみじみといい。「貉」ももうひとつ掘り下げられていたら名作になったかもしれない。そこが一流になった北条とは違ったのだろう。とはいえ、貴重な証言であることに変わりはない。ほとんどの人が若くしてこの世を去ってしまった。この人たちの生を、作品世界からできる限り感じ取りたいと思う。
 いずれの作品も、「火花」でハンセン病や北条の生きた時代の世情を知ってから読んだので、当事者たちがどういう思いで生きていたか、切なく深く心に染みる。芸術と歴史は一体である。双方を行ったり来たりすることでますます深まる。
 だからといってこのような思いを強いた歴史を許すわけには行かない。平成13年に国家賠償訴訟で国は控訴を敢えて断念した。小泉首相の会見を私も覚えている。歴史はひとつの節目を迎えた。みんなどんな思いだっただろうか。
 この本は、編者の盾木氾さんが、その賠償金で出版を決意したものであることがわかった。そういう本なら買わなければならない気がする。3,000円という値段を見て躊躇したのだが…いつか買わねばならないと思う。だからこの本を買った尾山台図書館は偉い。見る目のある図書館職員がいるのだろう。

 光岡良二の「北条民雄の人と生活」を読みたくなり、角川文庫版のいのちの初夜を立ち読みした。店先で涙ぐんで困る。作品の表面をなぞるのではない。いくつも読んで、作者のいのちへの思いを感じるのだ。収蔵作品を見て10年前に感じたそのことを思い出した。

 しばらくこの世界にじっくり住んでみようと思う。なるべく早く、東村山の資料館にも行くのだ。





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Last updated  September 29, 2003 12:12:48 AM


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