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学力を向上させるため我々ができることは…
「なにもしない」
本当かよ…
先日、本屋で見つけた「強育論」という本の中の一説である。
宮本哲也氏の著書である。
「最悪の子育ては…」という項目から始まり、ちょっと言い過ぎちゃうの!と思う部分はあるものの、的を射ているところが多いと思う。
私もたくさんの子供の学習に携わってきましたが、「どうやって教えたら理解してくれるだろうか」を必死に模索してきました。おかげさまで中学入試レベルの算数も、3年前までは無縁だったのが、今では少々の難関中学校の問題程度なら時間をかけずに解けるようになりました。スピーディーに問題を解く方法を教えてやることが子供たちにプラスになると思っていました。一方で、塾に来るたびに同じことを質問し、一向に練習が進行しない塾生もいます。「こいつ、なめとんのか!」と心の中で思っても同じことを何度も何度も説明します。そうするうちにだんだんと腹が立ってきます。「さっき説明したでしょ!」この発言が出た時点で今日一日のやる気は一気に減少。講師も塾生も一気にやる気指数が落ちます。ではどうすればモチベーションを高い状況に保つことが出来るのでしょうか?答えは「なにもしない」ことではないでしょうか。質問されてもひたすら「自分で考えろ」と返答する。一問も解けない。そのうち集中力も切れてくる。でも放っておく。時間が来たらさようなら。こんな塾へ誰が入塾させますか?月謝がもったいないだけですよね。そうなんです、無駄な月謝だけ支払っているんです。だから、宮本氏はそういう子供に対して「塾をやめて好きなことをしなさい」と言うそうです。お腹が空いてない子供に、「体にいいから」といって玉ねぎを丸ごと皿にのせて無理やり食べさせようとしているようなもの、と例えています。この部分は私自身非常に共感が持てました。
また、「努力」という言葉で思い出す言葉は? 「必死」 「辛い」 「我慢」 などでしょうか。でも宮本氏によれば、「楽しい努力」があるそうな。「気がつけば2時間も数学の勉強をしていた」などはものすごく集中していた結果、時間が過ぎるのも忘れていた、という状況。集中してのめりこんでいるうちに学力が向上する、これが本当の努力だと。
私の塾にT君という中学2年生の塾生がいます。T君は未だにアルファベットのbとdを逆に書いたり、x+1という式を1x+1と平気で書きます。しかも塾にやってきて練習を始める際に必ず同じ質問からはじめます。「先生、今日なにやるん?」と聞くのです。だから決まって「好きなとこやったら?」と返答します。いつもへらへらして、言葉の揚げ足だけは鋭くとるいわば「厄介者」です。ここ1ヶ月、ほぼ毎回同じ対応で、「好きにしたら?」で放っています。すぐに助けを求めてきます。その助け(質問)箇所は毎回同じ。答えるだけストレスがたまるだけだし、相手もストレスがたまる、だから何も答えず「自分で考えろ」としか言ってない。このT君、失敗するのがそんなに恐ろしいのか?と思うくらい勉強においては何も出来ない臆病者です。だから今、徹底的に失敗させてやろうと思いあえて何も言わないというスタンスで空の指導に臨んでいます。やめるのが早いのか、立ち直るのが早いのか、私にもわかりません。ただ一つ確実なことがあります。次回の中間テストでは間違いなく点数はとれないということ。恐らく期末もこの調子だと難しいでしょう。ということはやめるほうが早いのかもしれない。
中3のT君はうちの実力テストで偏差値60とまずまずの成績を残している。別段勉強が好きというわけではないが、塾に来て練習するときの集中力はすばらしい。私も正直彼の学習の面倒など見ていない。ただ決まった曜日の決まった時間に塾にやってきて、決まった時間だけ集中して問題を解いて答え合わせをして、練習終了後は1時間だけ自習をして帰る、を毎回繰り返しているだけだ。これで月謝をいただいているのは、いささか罪の意識が芽生えてくる。先日、そのT君と話をしていた時の話、図形の問題プリントを解きながら「これやってなかったら実力(テスト)めっちゃやばかったわ」と話しかけてきた。ただプリントをコピーして渡しただけで何もしていない。勝手に学力をつけているだけだ。こっちがどう思うと、彼に達成感や充実感があればそれでいいのではないだろうか。最近そう思うようになった。
ファンドマネージャーの心境 2008.07.28
読め! 2008.05.14