January 8, 2004
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カテゴリ: そのほか
「ん」の発音は一つじゃない

【ひらがな・カタカナ】
ひらがなやカタカナは表音文字です。でも、私たちの発音の細部を表音出来る文字ではありません。ですから、ひらがなやカタカナでは表しきれていない日本語独特の発音の約束事をわたしたちは口承によって持っています。この日本語独特の約束事こそ、正確な日本語の発音には欠かせないものであるのですが、同時に、外国語の歌を歌うときの大きな障壁になってしまうのです。それを書き表す最良の方法というのは今のところ発音記号しかありません。でも、発音記号は日常で一般的に扱われているものではありません。ですから、外国言語の専門家や声楽家などのように専門的に勉強をした人は別として、通常日本語と外国語の発音を正確に比較する方法は無い。という状況です。西洋語の歌が日本では一般的になることは絶対に無い、と思われる理由の一つがここにあります。

【音節・音素】
音声には子音と母音があります。子音と母音を音声の素材、「音素」といいます。これらが組み合わさって音声となり、音声の中の母音の数が「音節」(シラブル)になります。この音節は歌の場合、最小単位の音価となり、音符の基本的な数は音節で決まります。これは約束事、というより物理的な現象そのもの、といっても良いほどの事実です。

さて、日本語発音の約束事ですが、古来から子音や母音といった音素は表記されないまま伝えられてきました。ですから、子音と母音の扱い方については全くの口承による伝統が今も継承され続けているわけです。もちろん、アルファベットという音素を用いている言語の中でも、西・英・独・仏などそれぞれ独自の発音の約束事は存在します。しかし、ひらがなやカタカナに比べれば西・英・独・仏などの言語の発音の約束事は音素単位で文字にちゃんと書き記されています。ひらがなやカタカナはアルファベットと同じく表音文字なのですが、アルファベットの様に母音や子音といった音素は表せていません。ひらがなやカタカナは音節しか表すことの出来ない音節文字なのです。こうした音節文字の文化は多くの文化の中でも少数派であり、特に西洋文化には全くないものだという認識は西洋の歌を歌う上でしっかりと覚悟していたほうが、覚悟が出来ていないよりも後がずいぶんと楽になります。

音素文字を日常的に使っている外国人に日本語の発音を正確に教えるつもりになれば、普段使っている日本語の発音がより鮮明になってきます。ここでは英語圏の人に教えるつもりでヘボン式のローマ字を使います。尚、日本式とヘボン式のローマ字についての説明もここで述べると、文章があまりに沢山になってしまいますので省略します。とにかく、JRの駅の表示など、身近にある「あの」書き方が英語読みのローマ字、ヘボン式です。


【「ん」の発音】

「ん」の発音もヘボン式で書けば n, m, ng と大きく三つに分けることが出来ます。(「ん」に存在するこれ以上の細かい発音はどうすれば表記できるのかまだよくわかりませんが、、。)もっと詳細に分けることも出来るようですが、歌う際にはこの三つを区別出来れば、日本語と外国語の行き来はし易く、そして何よりもどちらの発音もより正確になります。



n m ng
さんねん(三年)n  sa-n-nen 舌先が上あご前方に付く「ん」
さんまん(三万)m sa-m-man  唇を閉じる「ん」
さんがつ(三月)ng sa-ng-atsu  舌の後方が上あご後方(軟口蓋)に付く「ん」

と、後に続く子音によって「ん」の発音は変化しています。この発音の違いを表記する文字を日本語は持っていません。
上記のようにアルファベットならばこの三つの違いは表記できます。全てのヨーロッパ語は各国語によってアルファベットの使い方が異なるものの、日常的にこの違いは表記できます。韓国のハングル文字も同様に表記できます。ですから、どれだけヨーロッパの普通の人が普通に楽しんで歌っている歌でも、日本語だけを母語とする日本人が同じように気軽に楽しく歌うことは出来ません。どんなに素朴な内容の民謡であっても、日常的以上の訓練が必要になります。

あと、同様にひらがな(カタカナも発音に関しては全く同じなのでカタカナは省略)の発音をヘボン式で以下に書いてみます。

*************************************
さ し す せ そ
sa shi su se so

s【前歯の子音】



sh 【奥歯の子音】
sha shi shu she sho

******************************************
た ち つ て と
ta chi tsu te to


ta ti tu te to

ch【奥歯の子音】
cha chi chu che cho

ts【前歯の子音】
tsa tsi tsu tse tso


********************************************
は ひ ふ へ ほ
ha hi hu he ho
ha (ch)i ()u he ho

********************************************
ん
n m ng
さんねん(三年)n
さんまん(三万)m
さんがつ(三月)ng

さん しん すん せん そん
「しん」と「すん」の「ん」は他のん・nよりも舌が平べったく上あごに付きます。


********************************************
厳密に言えば
「か き く け こ」
も
ka ki ku ke ko
ではなく
ka kyi ku ke ko
と発音しています。

な に ぬ ね の

は、さて、どうなるでしょう?
やってみて下さい。


ところで母音もヨーロッパ語の音声とは全く一緒ではありません。
あ い う え お
も
a i u e o
ではありません。
無理矢理ヘボンで書けば
a yi u(w) e o
と書けるかも知れませんが、、。
このあたりは発音記号を勉強しながら、実際にあらゆる言葉のネイティヴの発音を実際に体験し聴いて回り検証する「フィールドワーク」をやるしかありません。
イタリア人やドイツ人の前で彼らの母国語を歌った場合決まって指摘されるのが「う」です。
他の母音を指摘される事もありますが、、。

さて、他にもありますね、、。

ざ じ ず ぜ ぞ
za jyi zu ze zo

だ ぢ づ で ど
da jyi zu de do

じゃ じ じゅ じぇ じょ
jya jyi jyu jye jyo

つづきはどうぞ、ご自身の「フィールドワーク」で是非に、、。






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Last updated  March 13, 2006 12:34:09 AM
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