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2011.04.12
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テーマ: 学級崩壊(11)
カテゴリ: カテゴリ未分類

娘は今年中学2年生。

中学1年のときは、4クラスとも荒れ、

授業不成立の状態が続いていた。

特に、1年生のときは同じ学級ではなかったA君、

荒れの核となって意図的に教師に逆らい、

嫌がらせを続けていた。

配られたプリントを飛行機にして飛ばしたり、破って紙ふぶきにしたり、

教師の質問に「わかりませーん」と叫んだり・・・。

何度も親が呼び出されるが、一向に改善せず、

保護者からは「学校を追放してほしい」という意見まで出始めていた。

そして迎えた2年生、学級編成替え。

我が娘と同じクラスになったと聞いて、正直一瞬ひるんだ。

私が勤務していた小学校の出身であり、

A君のために心が折れた6年担任の代わりに

私が授業を受け持っていた。

しかしその間、A君には何の問題も発生せず、無事卒業させたが、

中学校ではまた荒れ始めていたのだ。

仮担任をしながら、

悪いやつではない、見てほしい、かまってほしいだけなのだ、と感じていた。

人の気持ちがわかりにくい特性も感じていた。

適切な対応が必要だった。

人の話に割り込んでくることが多かったが、

決して無視してはならない。後でというのもよくない。

いったん話を引き受け、ゆるやかに後で聞いてやるからと諭す、

そういった配慮が必要な生徒だった。

しかしそれにしても、

中学校での様子を聞くたびに

この子は通常の状態に戻ってこれるのだろうかと、

娘はこの子のいる荒れた教室で耐えられるのだろうかと、

心配になった。

しかし学校は担任団を一新した。

いわるゆ力量があると言われていた男性教師を担任とし、

すべての担任を入れ替えた。

中学校では3年間、編成替えしながら進級していくが、

学年団のメ担任メンバーを総入れ替えすることはまずないことである。

娘は新学期以来、毎日のようにその先生の言葉を私に伝えた。

一言一言に心を動かされているのが、手にとるようにわかった。

「お前らが1年生のころの様子、3年担任だったが、

許せんと思っていた。殴ってやろうかと思ったこともあった」

これが第一声。

「しかし私は殴らない。担任として責任もってお前らを育てる」

この言葉に娘は痛く感動したようだ。

言葉は荒い。しかしその真剣さがずんと心に響いたようだ。

同時に娘はA君のことを語るようになった。

「あのA君がまじめに聞いていたんだよ。何でだろう・・」

その男性教師は、自分を語った。

委員会や係り決定の話し合いは短時間で。

学級長に誰も立候補しなかったとき言ったそうだ。

「私が立候補を募ったとき、誰も手をあげなかった。

しかし顔を上げていたものが何人かいた。

名前を呼ぶから立ってくれ。さあ、お前たちの中で、

この重要な役をやってやろうという人間はいないか?」

しばしの沈黙の後、B君が「ぼくがやります」と言って決定。

それからは、先生の人生が語られたという。

自分の責任において行動を決定し、結果についても責任を取ること、

学級の揉め事は全員の力で解決していくこと、

進路を切り開くことについて真剣に考えていくことなど、

自らの人生と重ねながら熱く語ったという

そしてあのA君も真剣に聞いていたというのだ。

それだけではない。トイレ掃除など一度もしたことのないA君が

率先して役を果たしていたらしい。

それを担任は見逃さず、全員の前で

「A、お前を見直したぞ」と一言。

それをうれしそうに語る娘の姿がうれしかった。

毎日の帰宅後や、夕食時、夕食後など

学校でのこと、特に担任の語ったことについて

私に伝え、意見を求めるようになってきた。

中2になり、自らの人生のあり方も考え始めた娘が、

真剣に全身で向き合ってくれる先生に出会った。

「みんなまじめに、静かに授業を受けてるんだよ。

信じられない!!」

昨年度まで喧騒の中で一心にノートをとっていた娘。

生徒の暴言に傷つけられる先生に、

傷ついていた娘の悲しそうな顔。

今の晴れやかな顔がうれしい。

担任以外の先生の授業も成立し始めている。

学級崩壊や授業不成立にはさまざまな要因がからみ、隠されているが、

あらためて一人の教師の力量、

というよりも「人間そのもの」に

状況を変革していく力があるのだとあらためて思い知らされた。

組織の問題もある。

学校長が代わり、生徒手帳という「校則」が廃止され、

かわりに「生活ノート」がつくられた。

日々生徒と担任が交換する生活ノートには、

以前の生徒手帳以上の「校則」というより

約束事がきめ細かく記載されている。

形骸化していた生徒手帳をなくす代わりに

日常的に生徒自身の行動のありようを見ていくという作戦への変更だ。

担任のきめ細かさや適切な対応が求められるようになった。

あの大きなマスクをし、授業中にガムを食べたり、

トイレでタバコを吸ったりする行為が見られなくなった。

今学校全体が変わり始めていることに、

何ともいえない感慨を覚えている。

授業不成立にうんざりしていた参観日、

保護者でありながら、関係者として

あまりの態度に、注意さえしたこともある参観日。

今年はにこやかに参加できそうで、

今から楽しみである。






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最終更新日  2011.04.13 04:25:05
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力量、わかります。  
ミミ さん
力量は確かにあります。どんなにすごい理論を持っていても、実践の場では役立たないことが結構あります。準備を万端にしたからといってうまくいくとも限りません。却って何も準備しないほうがうまくいくなんてこともあります。そうすると、何を信じたらよいかということになります。教師の人間性だろうと思います。力量=人間性ではないですが、勉強した長さや経験とはほとんど無関係のものでは、と思います。生徒との相性も。相性も経験とは無関係です。一生懸命になったからといって空振りに終わることも少なくありません。逆に完全には一生懸命にならない教師のほうに生徒はよくついてくることも。本当に難しいです。 (2011.07.03 20:57:37)

Re:力量、わかります。(04/12)  
ミミさん

>力量は確かにあります。どんなにすごい理論を持っていても、実践の場では役立たないことが結構あります。

確かにそうですね。教室という空間は「生き物」のようだと感じることが少なくありません。一人ひとりのときと集団のときと状況が変わります。ある一種の「空気」が支配することもあります。                                               「人間性」だけでくくってしまうことには少し躊躇しますが、人と人が向き合う現場だけに、教育の根幹であることは間違いないだろうと思います。                                      (2011.07.04 04:50:00)

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