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Jan 1, 2015
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新年明けましておめでとうございます。今年も皆様にとって良い

一年と成るよう祈念いたしております。 

 現在の日本もこの小説の如く混沌とし、隣国の中国、韓国などの

反日が益々、強まる事と思います。世界経済も予断を許さず、我々は

そこにある危機を政府と共有し、安倍政権の国内政策と外交政策が

本当に日本国と国民を守るものか、冷静に注視する必要があります。


      (下剋上の世)

 勘助は軽く足をひきずってはいるが、肩を大きく振ることはなくなっていた。

 渋茶色のくたびれた羽織りに野袴姿で街道を歩んでいる。

 街道は収穫した野菜を担いだ百姓や、大八車に満載した荷物を運ぶ商人等で

混雑している。そんな風景の中で隻眼の浪人は嫌でも目に映る。

「あのお方が山本勘助さまか」

 小十郎が松林の翳から、そっとその様子を窺がっている。

 何度となくお弓の命で勘助の許に使者として訪ねたが、不思議と直に会った

事はなかった。

 お弓からは肩を左右にゆすり、足をひきずる隻眼の男とは聞かされていた。

 先刻から勘助は、物陰から自分を見つめる視線を感じとっていた。

 小十郎という忍び者と気づき、路傍の端に腰をおろし竹筒を口にした。

「山本勘助さまか?」  

 微かな忍び声が流れてきた。

「そちが小十郎か?」  

 勘助の問い、目の前に風采のみすぼらしい小男が現われた。

 腰に小刀を差した姿が、なんとなく滑稽に映る。

「小十郎か?、山本勘助じゃ。これからはわしと一緒いたせ」

 否を言わせぬ口調で勘助が小十郎に命じた。

「判りましたぞ」 

 全く感情もなく抑揚もない声の持ち主である。

「そちも飲むか?」  

 勘助が水筒を差し出した。  

「頂戴いたします」

 素早く水筒が勘助の手から小十郎の手に移っている。

「河野晋作から金子を預かって参ったか?」  

「はい、ここに」

「そちが持っておれ」  

「わしが?」

「そうじゃ、宿の払いもそちがいたせ」  

 初めて小十郎の細い眼に笑みが浮かんだ。

 信じて貰える。忍び者と蔑まれてきた小十郎にとり嬉しい事であった。

 この方なら信じて就いて行ける、小十郎はそう直感した。

「山本さま、これから何処に行かれます?」

「尾張じゃ。織田信長の治世がいかほどか、わしの眼で確かめたい。

その後は京に向かう」  

「はっ」  

 小十郎は何も訊ねずに従った、何となく勘助の人柄に引かれたのだ。

 二人はゆったりとした歩調で尾張に向かった。

 その頃、京の菊亭大納言の屋敷の離れで、河野晋作は二人の人物と会っていた。

 その人物とは駿府城から逃れた、信虎と腰元で忍びのお弓であった。

 信虎の風貌は歳とともに怪異となり、妖怪のような雰囲気を醸しだしている。

 この薄暗い部屋で二人だけで対面したら、と思うと河野晋作を以ってしても

薄気味の悪い事であったが、幸いにも傍らのお弓の存在が救いであった。

「大殿、お久しゅうございます」

 河野晋作の挨拶に、信虎はいきなり怒声でもって応じた。

「倅の太郎義信を幽閉いたし、宿老の飯富兵部に切腹を命ずるとは信玄は何を

考えておるのじゃ」

「大殿、御屋形さまのお考えは分かりませぬが、それは誤解にございます」

 河野晋作が、父、信玄に対する義信の謀反と飯富兵部の死の真相を述べた。

「因果は巡るか」  

 信虎がぽっりと呟いた。

 往年、自分が行った信玄に対する仕打ちを思いだしたようだ。

「河野殿、どうして大殿がこに居られることを知りました?」

 昔と変わらぬ容姿のお弓が不審そうに訊ねた。

 河野晋作は勘助の存在を語らねばならなくなった。  


「勘助め、奴は生きておったか?」

 信虎の怪異な貌に薄い笑みが浮かんだ。

「勘助殿はお元気ですか?」  

 すかさずお弓が訊ねた。  

「お元気にございます」

「それで今は何処に居られます?」  

 お弓が切れ長の眼を輝かせ興味深く訊ねた。

「小十郎と旅を為されておられます」

 傍らで信虎が苦い顔をした。彼には勘助の考えと行動が判るようだ。

「信玄の奴、何時になったら動く積りじゃ」  

 矛先が信玄に向けられ、お弓が助け舟をだした。

「大殿、信玄さまは駿河攻略の為に、本願寺と同盟を結ばれるお積りです」

「お弓、そのような事は見通しておる。勘助は尾張に向かっておる」

 信虎が怒声を挙げ、途中から含み笑いに転じた。

「大殿は全てお見通しにございますね」  

 お弓が妖艶な眸子で信虎を見つめた。

「判らいでどうする。河野、勘助が使者となり本願寺と軍事同盟を結んだの、

遠交近攻策の一環じゃな」  

 河野新作が驚きを隠さずに訊ねた。

「その遠交近攻策とはいかなる策にございます?」

「判らなくてもよい。戻って信玄に伝えよ。今川家と手切れをいたし、

義信の室を氏真が許に帰せとな」  

「義信さまのご正室を?」

「そうじゃ、氏真の奴め、どう出るか見ものじゃ」

「今川家から手切れを申して参りますよ」

 お弓がしらっとした顔つきで意見を述べた

「お弓、そちが女子であることが勿体ないは」

 河野晋作が二人の会話を憮然とした表情で聴いている。

「駿府を退く際に小林兵左衛門を失い、今はお弓一人が面倒を見てくれる。

それにな菊亭大納言家も貧乏公卿じゃ、酒を飲むにも苦労いたしておる。

わしにも遣る事がある、信玄に伝えてくれえ、金子を送るようにとな」

「はっ、ただ今のお言葉、間違いなくお伝えいたします」

 信虎が感極まって涙をこぼしている、年を経て涙もろくなったようだ。

「更に、いまひとつある。今川の三人の重臣どもは武田に内応の心を抱いて

おる。即刻、調略いたすか、応ずる気配がないなら氏真に洩らせとな」  

「お言葉たしかにお伝えいたします」

 答えつつ河野晋作は信虎の謀略の烈しさに驚嘆していた。

「ついでに京の町を確りと見てゆけ、近々には大荒れいたそう。わしは

それを楽しみにいたしておるのじゃ。古い権威が没落いたす様子をな」

「この京の都が荒れますのか?」  

 河野晋作が不思議そうな顔をみせている。

「河野、去る前にいくばくかの金子を置いて参れ」

「はっ」

 拝跪した河野晋作が、巾着をお弓の手に渡した。

「確かに」

 お弓がニッと微笑み、金子を懐に仕舞った。

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Last updated  Jan 2, 2015 04:35:50 PM
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