講座「ユマニチュードを実践してみよう」に、参加しました。
「ユマニチュード」提唱者:イヴ・ジネスト氏も、来場。
優しい笑顔で、しっかりと会場からの質問に答えてくださってました。
今日は、昨日学んだことをお伝えします。
「ユマニチュード」は、フランスで約40年実践されている認知症ケアの方法です。
日本には、2017年に伝えられました。
「ユマニチュード」は、誰でもできるケアの方法です。
「あなたは、大切な存在です」を、相手の理解できる形で伝えるケアです。
「自分が尊重されている」と、感じてもらうケアなのです。
視線を合わせる(目と目をしっかり合わせる)・・・
耳元でゆっくり話す・・・
やさしく「大丈夫」「あなたは大切です」を伝えるテクニックです。
健康の状態に合わせ、少しでも回復し、機能を保ったまま自分らしく生きてもらう・・・
それが、「ユマニチュード」の目指すものです。
そして、自立性を大切にします。
例えば80歳認知症で、最近尻もちをよくするAさん。
イスから一人で立ち上がろうとしてます。
それを見た介護者は、「Aさん、危ないから座りましょうね」と立つことをやめさせます。
これは、Aさんにとって本当にいいことなのでしょうか?
Aさんから「立つ」という能力を、奪っているのではないでしょうか?
「人間」は、感情・尊厳をもち、立って歩き、社会性を持ち、食事をします。
離せなくなったり、反応がなくなっても、人間なのです。
赤ちゃんをやさしく抱き、しっかり目を見て話しかける・・・
赤ちゃんには「自分は大切な存在だ」というメッセージが伝わります。
そう、「ユマニチュード」も同じです。
「ユマニチュード」は、4つの柱を大切にします。
それは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」です。
「見る」
同じ目の高さで・・・二人は平等
正面から・・・・・・信頼を得る
近くから長く・・・・親近感を持つ
人は初めて見る異質なものに、「恐怖」を持ちます。
また、認知症の方は、正面しか見えません。
いきなり正面に行くと、驚かせたり怖がらせてしまいます。
視線の方向で手を振り、顔をこちらに向けるようにしましょう。
「話す」
歌うように抑揚をつけ、穏やかに低めのトーンで
ゆっくりと、ボジティブな言葉で途切れることなく
質問はせず、現実を認めさせる話はしない
このような話し方をすると、「愛・やさしさ・尊厳・心地よさ」を感じてくれます。
認知症の方の世界に寄り添い、その方が得意な話につなげます。
大声で騒いているときは、違う話題をふって、気分転換させます。
反応がなくても、話続けることで、「こわい」と思わなくなってくれます。
「触れる」
広い面積で(手は大きく開いて)
ゆっくりとなでるように、包み込むようにやさしく
決して、つかまない・引っ張らない・持ち上げない
肩・背中・太ももの裏など、敏感でない部分から。
触れるときは飛行機の「着陸」、離すときは「離陸」のイメージでゆっくりと。
常に両手で触れ、相手に安心感を感じてもらいましょう。
手首をつかむと、「強制」が伝わります。
手を包み込むと、「愛情」が伝わります。


「立つ」
可能な限り、座ったり立ったり
「立つ」と骨に負荷がかかり、骨が丈夫になったり、軟骨・関節が丈夫になります。
筋力低下を防ぎ、血の巡りもよくなります。
立つと横隔膜が下がり、呼吸が楽になり、おなかや腸の動きがよくなります。
1日20分間立位を保持できれば、寝たきりにならないのです。
食事の前の手洗いの時、水道のところまでたってもらう・・・
健康状態に応じて、少しの時間でも立ってもらうだけで違ってきます。
その時介護者は、しっかり見守ってあげるのです。
イスから立ち上がってもらうときは、両足幅を肩幅分開いてもらいます。
ひざは90度にすると、立ち上がりやすくなります。
介護者は正面に立ち、両手の指を包み込むようにやさしくひっかけます。
イスから立ち上がるとき、介護者は1歩後ろに足を下げます。
寝たきりの方に起き上がってもらうときは、背中に手を当ててはいけません。
背中にマットがいつも触れているので、背中に手を当てると寝てると勘違いするからです。
寝たきりだった人が、両側から支えてもらい、階段を上がるビデオを見せていただきました。
寝たきりでも、その人の持っている能力を引き出すことができるのです。
実際に2人ペアになり実践し、「ユマニチュード」を体験しました。
そして、「やさしさ」「心地よさ」を感じ、初対面の相手に良い印象を持てました。
「ユマニチュード」には、心を開く5つのステップがあります。
1)出会いの準備
プライベート空間に入るときは、必ずノック
3回ノック(トン、トン、トン)して、3秒待つ
また3回(トン、トン、トン)ノックして、3秒待つ
ノックを1回(トン)として、ドアを開ける
※仕切りがない場所では、壁などをノック
2)ケアの準備
「あなたに会えてうれしい」とわかってもらう
「こんにちは~」と笑顔で正面から、近くへ。
視線の高さを合わせ、視線があったら2秒以内に話しかけて。
低めの落ち着いたトーンで、「今日も素敵な笑顔ですね」などポジティブな言葉を。
肩や背中などを、優しく触れながら会話。
この時、相手がのけぞらなければ、適切な距離です。
具体的なケアの言葉(お風呂・食事・着替え)は、使いません。
「さっぱりしましょう」と別の表現で、話しかけます。
顔をそむけたり、嫌だと言ったら、別の表現で誘います。
もちろん、視線はずっと合わせたままです。
3分以内に同意が得られなければ、あきらめてその場を離れます。
合意の得られてないケアは、「強制」だからです。
3)知覚の連結
見ながら、話しながら、触れる
相手の五感に、優しく心地よいメッセージが届くように接します。
「おいしそうですね~」と、食器をガチャガチャ乱雑に扱ったら・・・
相手は、ネガティブな感情になり不快に感じます。
反応がないように見えても、筋肉の緊張がほぐれたりします。
そういった体の反応で、相手の気持ちを理解しましょう。
4)感情の固定
気持ちよくケアできたことをお互いに確認する
今回のケアを、ポジティブに確認
ケアに協力してくれたことを、感謝
ケアしたことで、よかったことを伝える
一緒に過ごせて、こちらが幸せな気分になったことを感謝
5)再会の約束
次回来る日時を口だけでなく、見える場所にメモする
誰が来るかは、忘れるかもしれません。
しかし、「あの優しい人が来る」と楽しみにしてくれます。
人間らしく生きることは、最後まで必要なことです。
ユマニチュードが、自分らしさを取り戻せるケアだと実感しました。
会場から、イヴ・ジネスト氏に質問がありました。
「寝たきりの方が、立てるかどうかの判断は、どうやってされますか?」
寝たきりの方の体を、あちこち触ります。
足の裏に手を置き、伸ばしたり縮めたりを何度かやってみます。
足に抵抗(力)があれば、歩く力があるということ。
その時は、正面から抱いて、立ってもらいます。
歩けそうなら、2人で補助しながら、歩いてもらいます。
「2人が補助にとられると、忙しい現場は大変になるのでは?」
そういった質問は、あちこちであります。
しかし、自分でやれることが増えると、介護者の負担が減ります。
実際「ユマニチュード」を行っている施設では、寝たきはゼロ。
経管栄養の方も、ゼロで、日本から見学に来た人たちは、驚いてました。
講演終了後も、たくさんの人がイヴ・ジネスト氏との記念撮影のために並んでました。
やさしい笑顔のイヴ・ジネスト氏からは、強い信念を感じました。
良かれと思っていた介護が、その人の可能性を奪い、希望をなくす人生に・・・
そして、人の体には、いくつになっても可能性が秘めている・・・
医療に最も大切な「心」に問いかけ、より良い人生を取り戻す「ユマニチュード」
日本でも、たくさんの施設・病院が取り入れてもらいたいですね。
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