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2012年05月28日
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 私は、イレッサについては「薬害」ではないと常々思っていたので、非常に妥当な判決だと思っています。

 イレッサの副作用である間質性肺炎は、抗がん剤の副作用としてはそんなに珍しいものではなく、抗がん剤治療を行う医師であるならば、当然、間質性肺炎に対しては、注意を払うべきであり、初めてその薬を使う患者さんに対しては、注意深く観察すべきものです。

 ですから、イレッサの事故は、医師をはじめとする医療提供側の管理に落ち度がなかったかどうかを問うべきもので、薬剤そのものや、それを承認した国に落ち度があったとは私には考えられません。

 イレッサは分子標的薬なので、効果のある患者さんには大変効果が出ますが、まったく効果のない患者さんもいます。効果がないうえに副作用だけが出ることもあるわけですから、経口薬で簡単に飲めるからといっても、注意深く対応する必要があるのは、他の抗がん剤と同様です。
 効果がなくて副作用だけが出た方からすれば、こんな薬を承認するな!という言い分もあるのかもしれませんが、それでは、効果があって、生存期間を1年とかそれ以上延長できる患者さんの権利を侵害してしまいます。

 そもそも、現在ある抗がん剤は、副作用がまったくなくて、効果だけが大きく出る、というようなものはありません。患者さんの体質により、効果や副作用には大きなばらつきがあるものです。
 ただ、がんという病気が命にかかわる重大なものだからこそ、効果が限定的でも、副作用がそれなりにあっても、そういった薬剤が治療薬として存在しているわけで…。

 そのあたりのことは、
  2007年2月19日のこの日記「イレッサについて」
http://plaza.rakuten.co.jp/SUNROOMosaru/diary/200702190001/
でも書いています。


 肺がんは、現在の日本の男性のがんの死亡者数の第1位、女性では第3位で、抗がん剤治療を必要とする進行がん患者さんがたくさんいます。
 抗がん剤治療では、その患者さんによく効く抗がん剤でも、やがて耐性ができて効果が出なくなり、薬剤を違うタイプのものに変える必要が出てきてしまうので、承認されている薬剤が多数そろっていることが、患者さんの生存期間延長に大きく貢献します。
 これがきかなくなっても、まだ次がこんなにある、という状態が希望につながることは言うまでもありません。

 医療提供体制の不備を問うならよいのですが、治療薬をやり玉に挙げて攻撃するのはいかがなものかな、と思います。

 原告団は上告するみたいですけど。
 いかがなものかな、と思います。


イレッサ大阪訴訟、高裁は会社の責任も認めず

                     (2012年5月25日21時20分 読売新聞)
 肺がん治療薬「イレッサ」(一般名・ゲフィチニブ)服用後に副作用の間質性肺炎で死亡した患者の遺族ら11人が、国と輸入販売元の製薬会社「アストラゼネカ」(大阪市)に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は25日、ア社のみに賠償を命じた1審・大阪地裁判決を取り消し、原告側の請求を全面的に退けた。

 原告側は「副作用の注意喚起が不十分だった」と主張したが、渡辺安一裁判長は「注意喚起に関する添付文書の記載に欠陥はなかった」と述べた。

 イレッサの副作用を巡る訴訟では東京高裁に続く2例目の高裁判断で、いずれも国とア社の責任を否定した。東京訴訟の原告側は上告しており、大阪訴訟の原告側も上告する方針。


 医師免許を持っていたら、その医行為をそれまでまったくやったことがなくても、その医師の裁量で自由に行うことができる今の日本の医療制度のほうをむしろ問題視すべきではないかな、と、私は思います。
 他の先進国と比べて、日本の医師は、「医療の不確実性」を過大に解釈しているような印象が私にはあります。
 そのため、そういった事故の教訓が後世に生きず、未然に防げたはずの事故が再び起こってしまったり、リスクマネジメントのための対策が遅れてしまったり、ということが現実に起こっている、と思います。




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Last updated  2012年05月28日 11時21分22秒
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