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2002年02月24日
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 人間の記憶はいい加減だ。確か読んだ記憶がある、聞いたことがあると思っていても、それが、どこに掲載されていたか、どこで見聞きしたのか、分からないことがある。紙メディアが報道に比べ、コピーなどで残しやすい点が優れている。だが、一つ一つ探し出すのは、面倒だ。そこで、大切なのが「1・5報」だと考える。読者が、「あの話、よく分からない」「今はどうなっているんだろう」と考えた時に、分かりやすく説明する解説記事だ。2月24日付け朝刊各紙(いずれも大阪本社発行最終版)の中では、読売総合面の「抗議五輪」、朝日オリンピック面の「ショートトラック なぜもめる」、日経オリンピック面「透視線」はいい記事だった。

 読売の記事「抗議五輪」は、ソルトレークシティー五輪で、審判の判定をめぐるトラブルをまとめた。日々の新聞を丹念に読んでいれば、この中に書いてあることで、真新しいことは少ない。だが、細切れの情報では分かりにくかった点がまとまって出てくると、「なるほど」と思える。この記事がいいところは、ストレートに二つのポイントを指摘したところだ。

 一つは、1980年代の五輪ボイコット事件と、今回のロシアの閉会式不参加示唆問題を踏まえ、「大きく違うのは、今回のボイコット示唆は政治的理由ではなく、競技の現場から出てきたIOCへの不満が根底にあるということだ」と示した点。

 もう一つは、「今五輪でロシア、日本、韓国、リトアニアなど各国が続々と競技の判定結果に抗議するに至ったもとをたどれば、“二個目の金メダル”というIOCの『超法規的決定』にたどりつく」と、スポーツ界ではあってはならない「禁」を、国際オリンピック委員会自身が破ったことを批判している。

 この記事では、「各国に『ゴネ得』空気」と、抗議する選手団の姿勢も批判している。だが、誤審や不正に対しては、選手側からきちんと批判しておく必要がある。競技のレベルを高めるには、審判自身も競技を知り、技術を磨く必要がある。さもないと、裁判官が法律や世間の常識を知らないで判決を言い渡すのと、同じことになってしまう。

 朝日の「ショートトラック なぜもめる」は、日本と韓国の抗議について取り上げた。日本の寺尾悟選手と、韓国の金東聖選手がそれぞれ、不可解な失格となったことを受けて、日本と韓国の代表監督らに取材して書いている。ポイントとして、指摘しているのは、「審判に実力差」があることと、ショートトラックはある程度の接触が許され、その行為が「故意」かどうか判定が難しいという点だ。記者は、正直に「『故意』の判定は難しく、混乱の原因になることが、今五輪で分かった」と書いている。

 記者自身が、プロとして、今後突き詰めておく方向性を見つけたということだろう。「勉強しよう」という姿勢を見せてくれたことは、評価したい。


 日経「透視線」は、今回の連載でたびたび取り上げている国際スケート連盟フィギュアのレフェリー、杉田秀男さんのコラムだ。杉田さんは、「二つ目の金メダル」が出たペア競技で、審判を務めていた。そして、当初2位となったカナダペアに「1位」をつけた4審判のうちの1人だ。

 このコラムも、かなり正直に心情を書いている。審判や裁判官という人たちは、グラウンドや法廷以外では、「黙して語らず」立場なのか、と僕は考えていた。だが、このコラムは、「審判が受ける圧力」について、現時点で書ける範囲で、率直に書いてくれた。



 五輪が終盤となって、種目の情報が少なくなった分、読んでよかったと思える記事が増えてきたのは、うれしい。

(rivals japan 2002年2月24日掲載)





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最終更新日  2004年02月07日 23時58分41秒
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