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2002年07月12日
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======///すずき・たたむのメディア研究 #4///=========

   ☆☆★★ O0o.メディア、素っ裸.o0O ★★☆☆

============================================2002/07/12


 ★■□// 内緒の話はアホなのね(2) //□■★


 借金を抱えて夜逃げしたある町の議員をめぐる報道の第2回。今回は、この町を担
当していた中央紙のT記者が驚いた他のメディアの「奇行パート2」をお送りする。
前回は、取材をしないで記事を書こうとする地方新聞の記者の話だったが、今回は、
怠慢週刊誌の取材の一端をお知らせしよう。もちろん、今回も、現役の新聞記者から
聞いた実話だ。



 西日本のある町の議員が1日だけ議会に登場して、数日後のことだ。議員は、この
「1日」の出席によって、任期(4年)の残り1年間も議会に出なくても、計600
万円(税込み)がもらえることになった。実際、この議員は報酬を受け取り続ける権
利を得た。

 T記者と、同僚たちは、なんとかこの議員を早期辞職に追い込もうと、続報を狙っ
ていた。そんな時だった。聞きなれた名前の週刊誌の編集部から、Tの勤める会社に
電話があったのは――。

 「週刊××です。例の夜逃げ議員の話を、ちょっと教えてほしいんです」

 たまたまTが電話を取った。相手の男は、丁寧な口調だった。

 「どんなことですか?」とT。
 「詳しく教えていただきたいと思いまして。薄謝をお送りしますので」


考えた。
 「デスクに代わります」。Tは、電話を上司に振った。

 デスクは、しばらく、週刊誌記者を名乗る男と電話で話していた。とは言っても、
今までTの新聞が書いた記事のスクラップブックを開いて、その要点を答えているだ
け。田舎の事件とはいえ、全国的に有名になった事件だ。中央紙なのだから、東京で

ければ、図書館やデータベースでも探すことが出来る。

 十数分、いや20分もデスクは話していただろうか。週刊誌記者が「薄謝をお送りす
る」と再び言ったらしく、デスクは「お礼は結構ですから、掲載誌をお送り下さい」
と伝えて、電話を切った。

 切るなり、デスクは、「アホだな。自分で取材もせんと、こんなふうに聞いてくる
んだな」と、週刊誌の態度をバカにしていた。

 だが、本当の意味で、「怠慢」が分かったのは、さらに数日後だった。

 --------------------------

 議員の町の役場で、1冊の週刊誌が話題にのぼっていた。「週刊××」だった。

 役場の職員が、久しぶりに会ったTに声をかけた。
 「Tさん、『週刊××』読んだ?」
 「いいえ、まだなんですよ。例の議員の話が出てるらしいですね」

 職員は、にやりと笑い、Tに紙面を見せた。

 「何ですか、これ!」
 Tは絶句した。週刊誌の紙面に載っている写真といい、記事の中で、地元の記者が
話したとされるカギカッコの部分といい、すべては、Tの新聞が載せた、そのものだ
った。写真は、新聞に載ったものを複写したのかもしれない。不鮮明な写真だった。
驚いたのは、記事の方だ。要点となっていた部分は、Tの新聞に書いてあった記事を、
話し言葉に変えて、カギカッコで括っただけだった。

 さらにおかしいのは、カギカッコの後ろに、必ず、(社会部記者)と、話し手が
「誰」かを書いてあること。これは、明らかな間違いだとTは思った。なぜなら、中
央紙の「社会部」は、東京、大阪、名古屋などの大都市しか基本的には担当しない。
もちろん、大震災や誘拐事件など、よっぽど大きなものならば、多くの記者が現場に
集められることは言うまでもない。

 しかし、今回の事件は、田舎で起こったもので、出来の悪い議員1人が「主人公」
だ。中央紙でいう「地方部」とか「通信部」と呼ばれる部署のうち、1地方機関に所
属する記者が数人でチームを組んで書いているものだ。

 今回の事件は、「社会部」にご登場いただくような「大事件」ではない。雑誌記者
が、新聞社の組織をよく知らないにもかかわらず、「事件取材なら、社会部の記者が
やっているはずだ」と決め込んで、書いたようだ。こういうところにも、怠慢取材の
形跡が残っている。


 週刊誌の記事を読み終えたTは、妙な脱力感に襲われた。そして、この雑誌を見せ
てくれた職員に話しかけた。

 「この週刊誌から、何日か前に、電話がかかってきたんですよ」。上司が応対した
こと、どんなやり取りだったかも、伝えた。

 それを聞くと、職員は、苦笑いしながら言った。

 「まぁ、記事は正確だよね。Tさんのところの記事を、丸写ししただけなんだから」

 --------------------------

 その後、雑誌の編集部からの「お礼」はどうなったか。「薄謝」はもちろんのこと、
「掲載誌」すら、待てど暮らせど、Tの職場に届かなかった。まぁ、別に、Tの職場
に必要なものでもなかったのだが。

         ~~~~~~~~~~~

 2回シリーズでお送りした「内緒の話はアホなのね」は、これで終わる。次回は、
意外と知られていないスポーツ記者の、日常的な怠慢ぶりをお伝えしようと思う。


++++++++ご意見紹介++++++++++++++++++++++++++++++++

 第3号を発行後に届いた読者からの感想をご紹介したい。

 ★1人目
> 初めまして。
> まぐまぐからのメルマガ購読者です。
>
> バックナンバーとあわせて読みましたが、
> メディアの倫理であるとか、取材者の実態などが判って
> 非常に興味深い内容です。

 ありがとうございます。メディアには、頑張ってほしいのです。だから、シリをた
たこうと思うのです。このような励ましがいただけるとは思っていませんでしたので、
ものすごく、うれしく思っています。


 ★2人目
> メルマガの件名を
> 「O0o。.メディア、素っ裸.。o0O +号数(または日付)」などに
> 揃えた方が良いのではないかと思ったのです。
>
> 他の発行媒体のものを見ていないので、
> その辺りをどうされているか、わかりません。
> ただ、件名が怪しい(?)と、
> 読まずに、ポイしてしまいそうになります。
>
> 私は、たたむさんからのメールを
> fromのアドレスでフィルタリングしてるので、
> そういう間違いはない(はず)です。
> でも、件名でフィルタリングできたほうが
> 便利な場合もありますし、
> 保存したとき、区別がつきにくいかな~と思います。

 なるほどぉ。ちょっと、考えさせてください。
実は、自動的に号数がつくメルマガ(発行媒体)もあるのです。
それを生かせるかもしれません。





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最終更新日  2003年11月30日 15時21分58秒
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