すずね極楽世界

すずね極楽世界

2004年08月29日
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ブラジル的には28日の土曜日。
今日はブラジルの綺麗な鳥がたくさんいるというバードパークを見てから、アルゼンチン側からイグアスの滝を見よう、というプランを立てていたのだが、ユースの職員のお兄さんに「アルゼンチン側の方が広いのだから、バードパークに行ってたら見切れないよ」と言われ軌道修正。

とりあえずアルゼンチンに入るバスに乗ろうと、フォス・ド・イグアスの街に戻る。が、肝心のアルゼンチン行きのバスときたらなかなか来やしねぇ!
ブラジルのバス停は棒が立っているだけで時刻表などというものはない。あってもどうせ時間通りに来ないから無駄だし。
ガイドブックによるとアルゼンチン行きのバスは20分に一本、近くにいたタクシーの運ちゃんによると30分に一本、ということだが、一時間は待ったはず。
今日はボツカツに帰るバスが18時なのであまりゆっくりもしていられない。巻いていきたいのだが、焦ってもしょうがない、バスが来ないのだから。

やっと来たバスに乗り込み、いざアルゼンチンへ!
陸路から入国するのは初めてだけど、入国審査ってあんなに簡単でいいのだろうか…。職員もダラダラで、何か楽そうな仕事だなあ、とIちゃんと言い合う。
私のパスポートにはアルゼンチンのスタンプが増えた。わぁ~い、嬉しい。ほとんどスタンプラリーの心境である。


しかしアルゼンチンに入って一転、レンガ色の壁が並びだした。これはこれで可愛い。
しかし国境一本越えただけでこんなに家屋の様式が違うものかと興味深かった。

アルゼンチンの通貨はペソ、言葉はスペイン語。
でもこの国境の町、プエル・ド・イグアスはイグアスの滝関係の旅行者も多いこともあって、ヘアルも使えるしポルトガル語も通じるようだった。

ここでもお昼ご飯はシュハスカリア。
でももう肉はいらない。肉以外のオードブルでお腹一杯になる。
そして、飲みたかったカクテル「カイピリーニャ」を真昼間から飲んでみた。
ブラジルには「ピンガ」というサトウキビで作ったお酒があり、それは日本の地酒と同じように色んな種類があるのだそうだ。その「ピンガ」にライムと角砂糖を混ぜて作った代表的なカクテルが「カイピリーニャ」。
かなり強いお酒だ。強くて飲めない、と言うIちゃんの分までかっぱらって飲んでしまったので、真昼間から赤ら顔のオイラ。いやもう、いい心地です。

アルゼンチン側の国立公園は広いので、トロッコ列車が通っている。それに乗り込み、「悪魔ののどぶえ」が真上から見下ろせるというハイライトスポットへと向かう。
今日は幸いとってもいいお天気。朝はまだびしょ濡れだったジーンズも、すっかり乾いてしまった。

アルゼンチン側は蝶が多いとは聞いていたが、想像以上である。蚊柱ならぬ「超柱」が立っているようだ。もちろん蚊とは違って優美である。
手に止まったりもするんだよ。蜜などないというのに私の手の甲に止まって、渦巻きストローの口でなにやら探していた。可愛かった。

さて、川にかかった遊歩道を滝に向かって歩く。
随分先からすでに水しぶきが見えている。さえぎる木々がなくなって視界が開けた瞬間、嘆声!瞳孔が開いたかと思うくらい目が開く。閉じられやしない。そんな圧倒的な迫力。
昨日「古代インドの宇宙観」という表現をしたが、水が、大地が、天が、落ちていくさまをすぐ目の前に見せ付けられたかのようだ。


ここはかつてインディオの聖地だった。人智を超えたものを感じずにはいられない神聖な場所。なのに、どうして「悪魔ののどぶえ」なのか。
ここは、「神」を感じるにはあまりに荒々しく美しすぎるのだ。恐怖を覚えるほどに。神を越えるほどに。
昔屋久島に行った時、そこここに神々の息吹を感じた。だが、ここは息吹などというものではないのだ。人類を組み伏せ、打ちのめす。
体が震える。
細かな水しぶきに、常に虹がかかっている。
その奇跡のような美しさは、何かに騙されているようだった。

かつてこの滝は、インディオのものだった。いや、彼らは所有などしない。ただ、インディオと共にあった。崇め、奉り、そして畏れてきた。
しかし今では、インディオたちはこの国有化された土地で筵を敷き、その上に自分たちの工芸品を並べて観光客相手に商っている。
インディオの作った腕輪をイグアスのお守りに、と購入しながら、彼らの歴史と苦渋を尊厳としたたかさについて考える。だけどそれは、私などには計り知れないものなのだろう。

再びトロッコ列車に乗り込むとき、ドイツ人の学生二人と仲良くなった。彼らは約三ヶ月の休暇を取って南米を放浪しているという。いいなぁ。私は10日しか休めなかった、と言うと、「どうしてそんなに働くのだ」と聞かれる。
うぅ~ん…オイラこれでも日本人としては働いてない方なんですけど…。村上龍が弾圧するところの「フリーター」なのですけど…。
日本のみなさん、働きすぎですよぉ~。

ボツカツの日本語学校の生徒さんたちもそうだったけど、漢字文化圏にない人って漢字が好きみたいだ。彼らも手帳を取り出して、ここに君の名前を書いてくれ、と言う。
ちなみに私の本名は「希久子」。どういう意味だ、と聞かれたので、「希」は「hope」で「久」は「forever」で「子」は「human」だ!と言うと「何ていい名前だ!」とびっくり仰天。英語にすると本当に物々しい名前である。
しかし、相手は英語ぺらぺらだけど私は片言。英語教育の大切さを痛感したことであった。だってね、「大学は出てるの?」と聞かれて「四大を出てる」と言うと、大学出てて英語喋れないってどういうこと?みたいな顔をされたのだよ。そりゃアンタたちは同じラテン語圏だからいいわよ、でもこっちは違うのよ。脳の構造がまったく別物なのよ。
くそぅ…英語の勉強しよう…。

さて、ボツカツ行きの夜行バスは18時。
広い公園内を見て回ったら、すでに17時になっていた。
ブラジルに戻って、なおかつ長距離バスターミナルまで、果たして間に合うのか。まぁどうせ時間通りにバス来ないんだろうけど。
とりあえず、Iちゃんがタクシーの運転手さんと交渉してくれる。言葉の分からない私は後方で応援、応援。
本当に、Iちゃんがいてくれないと全く成り立たない旅であった。だって、バスだってどこで止まってくれるのか分からない。「○○で降ります」って言っておかないと素通りされてしまうことだってある。言葉が分からなくても早口でまくしたててくるし、Iちゃんがいなければ満足にバスにも乗れないところだった。
ところで運ちゃんたちはやっぱりこっちが外国人だからと思って法外な値段をふっかけてくる。60へアイスだと?そんなもん、昨日の宿泊料と同じじゃねぇか。
40にしろ、と言っても折れない。だったら50で手を打て、と言っても折れない。ちょうどそこにバスが来たので、もういいよ、と乗り込んでやった。50で手を打っておけばよかったものを…。

バスでアルゼンチンの長距離バスターミナルまで行き、そこで価格表示のしっかりしたタクシー会社の車を捕まえて、ブラジルへ!行きはかなり時間がかかったような気がしたが、タクシーだと30分で着いた。こんなに近かったのか!

余裕でバスに間に合う。よかったよかった。
さて、また長時間のバスの旅である。
イグアスからサンパウロ行きのバス。行商用の荷物が大量に積み込まれている。
なぜか通路にマットレスを敷いて寝ている人なんかもいて、邪魔だから!トイレ行けないから!状態。
しかもちゃんとした席番号に座っていると、「席を代わってくれ。前に行け」と言われる。でも前の席はどうやらその人の席ではなかったらしいので文句を言うと、「誰か来たら代わったらえぇやん」。関西弁で訳すのがふさわしいこのふてぶてしさ。ふむ、ブラジル的だ。

さて、エアコンがきかずやたらと寒いバスの中。それでも疲れも手伝ってそのうちにまどろみだす。
おやすみなさい。







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最終更新日  2004年09月10日 12時28分35秒
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