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一人息子が8日で16歳になった。
子供の誕生日が毎年巡って来ると、いつも生まれた日のことを思い出す。
息子は午後6時22分に生まれたが、私はその日の午後3時過ぎから、陣痛で苦しかった。
「陣痛」というけれど、私の場合は痛みはなかった。
ただ、下腹部がぎゅ~っと絞られるような、何とも表現しがたい苦しみが、1分、30秒おきに迫って来る。
あまりの苦しさに、一瞬「お医者さんに頼んで、『産むのをストップしたい』と言いたい」とまで思った。
しかし、今まさに生まれ出ようとしている子供を殺すなんてできない。
それに、2回も流産して、やっとお腹の中で飛び跳ねるほど元気な子を授かったのだから、苦しみに負けてはいけない、そう感じた。
そうして耐えがたいほどの苦しみを経て、生を享けた子供は、多くの母親となった女性にとって、非常に深い愛情の賜物である。
真の愛というのは、親子間の愛情なのではないだろうか。本能的に「愛しい」と感じるのは。
私は、子供を育てるにあたって、あまりに多くのマタニティ雑誌を読むのは止めていた。
そういうのを読むと、いろんな情報に溢れかえっていて、「私は母親として何もしていない」と焦ってしまうからだった。
それで、母子手帳に書いてあったアドバイスだけは守ろう、と心に決めた。
それは、「お子さんが片言でもお話を始めたら、お母さんはきちんと目を見て、じっくり話を聞いてあげましょう。そうすると、お子さんは、人の話を聞くことのできる人に成長します」という内容だった。
それから、もうひとつは、「子供と親とは濃い血の繋がりがあるとはいっても、別々の人格である。だから、親の理想を子供に押し付けない。子供と大人を区別しない。子供の意思を尊重し、親は忍耐強く、その子の成長を見守る」という考え方を実行することだった。
別に溺愛して、甘えさせているわけじゃない。
注意すべき点は、言葉で説明する。
これは、何かで昔、私が読んだのだが、「親、という漢字は『木のそばに立って、見る』と書く。だから、親はあれこれ子供のなすことに口を挟まず、正しい方向であれば見守り、その子の才能を引き出すよう励ますのが大事なのである」といった内容が書かれてあった。
これほど完璧に、この「親道」が遵守されているかどうか怪しいが、私は、現在の息子に言わせると「小言なんてほとんど聞いたことがない」のだそうだ。
あんなに小さかった赤ん坊が、今では私の背を10cmも通り越した高校生になっている。
でも、まだ16歳になったばかり。
いろんな知識を、砂が水を吸い取るように、ぐんぐん蓄えて行く年頃なのだ。
大人びたことをいろいろ語り、私とも話し甲斐のある子に育っていると思うけれど、まだ知らないことも多い。
そんな時、「子供だから、やっぱりこんな言葉は分かってないのね」なんて、本人に直接言うなんて行為は、私の本意ではない。
あくまでも成長の途上なのだから、知っていること、知らないことがある。青少年の心と体はでこぼこ道で、至極当然らしい。
逆に、自分の意見を言わなかったり、親の言いなりになって、スムーズにカーブを描くような成長の仕方をした人は、成人以降、何らかの歪みが出てくるものだそうだ。
だから、私は今でも「子育て中」なのだ。
それは、小さい幼稚園児から小学生までの「子育て」とは異なり、思春期以降から成人するまで、「自分とは何か」を真剣に考えるようになった息子の「アドバイザー」としての子育てであって、「知らないから教えてやる」といった、押しつけがましい関係ではない。
時々、色んな悩みでお互い悶々とするけれども、これも彼の成長にはある種の「糧」となってはいるのかも知れない。
息子は「まだたった16年しか生きていないなんて、嘘みたいだ。もう25年は生きている感じがする。早く30歳になりたい」
......などと、私から見ると「羨ましい」ことばかり言う。
「僕の話は、同級生や先輩(中には高校中退者で、やり直しのため編入学した20代の人もいる)には、受け入れられない。みんな、ゲームの話で盛り上がっている。そんな時、『仏教で説かれる人生論』とか『宇宙の誕生と地球の生命の神秘』なんて、ky なことは言えないし」
そういう訳で、彼は、もやもやした「哲学的な思想への感想」を私に夢中になって話すのである。
「僕は、心が老けているのかも知れない」
こんなことを言う16歳。
子供って不思議だ。あんなに無垢で何も話せなかった子が、もうこんなにしっかりした自我を持つようになったんだから。
これからも彼を蔭ながら見守りたいものだ。
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