
小学2年生くらいの時に読んだ、「レ・ミゼラブル」。その本の題名は「レ・ミゼラブル」ではなく、「ああ無情」でしたが。ジャン・ヴァルジャンがミリエル司教の温情、信念に基づいた行動で改心し折角更生したのに、ジャヴェール警部の「蛇」のような執拗さにまた捕まりかける。ゴセットと出逢い、パリでまた普通の幸せを得たのにまたジャヴェール警部に追われ、非業の死を迎える。何て「救いようのない話」と思い込んでました。ロンドンやNYに行った時も、ミュージカル「レ・ミゼラブル」を上演してましたがどうしても行けませんでした。「オペラ座の怪人」も切なく悲しい話ですが、まだ「マシ」だろうと「オペラ座の怪人」はNY, Broadwayで観ました。一緒に行ったドイツ人に筋書きを教えられないと、幕間に思わず出てしまいそうでしたが![]()




ファンティーヌの運命の暗転に取り込まれる切なさ。「夢やぶれて」。人間のあらゆる煩悩(金銭慾、快楽を求める慾)を体現したテナルディエ夫妻。役回りはトリックスター。暗くなりがちな進行に「人間なんてこんな浅ましきもの」と諧謔的な笑いを与える。

終ぞ叶うことなきマリウスへの想いに苦悩し、六月暴動の降り注ぐ銃弾からマリウスを守るために身を捨てるエポニーヌ。愛する人をあざむかない「純粋な女」、エポニーヌが雨の中歌う「On My Own」。ラッセル・クロウ演じる ジャヴェール警部が ノートルダム橋 の欄干から身を投げる瞬間のカタルシス感。 小学2年生以来、ジャヴェール警部に対して、社会の「暴力的」と言っても良い矛盾だらけの「法の正義」に対して抱いてきた、ルサンチマンが雪(そそ)がれました。

残酷な、悲しい話が多々ありましたが、ジャン・ヴァルジャンがコゼットとマリウスの愛にあふれた腕の中で旅立っていく、修道院のラスト。救われました。お勧めできる、ミュージカルの傑作。

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