食べたり読んだり笑ったり

食べたり読んだり笑ったり

2006年01月24日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
カレル・チャペックの「山椒魚戦争」を読んでから、ぼうっと抜けた魂がまだ戻りません。

まるい線で書かれたイラストがついています。にかーっと顔中口にして笑う河童の絵。お兄さんのヨゼフがつけた挿絵。

骨折した妖精のために、虹の光を七本にわけて、青い光で添え木をつくる。
宛名のないラブレターを届けるために、世界を一周するゆうびん屋さん。
たのしくてやさしい、イメージの遊び。

少年版ファーブル昆虫記の前書きじゃなかったっけ。
「人が成長するためには、パンが必要です。心が成長するためには、心のパンが必要です。」

「長い長いお医者さんのはなし」は心のご飯だと思う。

逆に、ちっとも影を落とさない。
お説教くさいわけでもない。
教訓はどこにもない。
読んでいて、楽しい。
あの時代に、書かれた。

ナチス侵攻を前にして、ファシズムを批判した「山椒魚戦争」は発表された。脅迫が届き、亡命を進められても、チャペックたちは逃げなかった。カレルはナチス侵攻の一年前に病に倒れ、ヨゼフは強制収容所に捕らえられる。
終ってからなら、いくらでも言える。人は後悔する美しい生き物だ。
最中に、声を挙げる。戦争で戦う人は、悲しいけれど、たくさんいる。戦争と戦う人は、あまりいない。
私に、その勇気は、あるか?
日本にいるのは、与謝野晶子。
「少女と申すものは、戦争嫌いにて候」


心のパンを食べよう。心のパンを作ろう。

チャペックおじさんは、学校図書館のかたすみに、公園の砂場の山の上に、川原の花陰に、今日もいます。
遊ぶ子供をにこにこと見守っている。
朝、校庭に大きく書かれた落書きは、ヨゼフ兄さんのいたずら書きかもしれません。
山の向こうの気配を案じ、海の向こうの脅威に眉をひそめながら、心のパンを子供たちに配り続けるおじさんたち。


いるんでしょう?そこに。
ここに。

長い長いお医者さんの話新版

もひとつ、リンク貼ろうとしたら、もう絶版だったみたい。なだいなだの「おっちょこちょ医」。これ、未読の方、古本屋で見かけたら、ぜひどうぞ。対ファシストの話として、大絶賛の傑作名作です。日本人がこれを書いたということが誇らしい、私の「読まずに死ねるか!」本。





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最終更新日  2006年01月25日 20時05分23秒
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