躰道∞(無限) 

2005年03月21日
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 茶道の心得はないが、茶道の一風景を頭に描いてみました。


 急須も器も茶さえ目にする前に足がしびれて感覚がない。なのにお尻がムズムズしてきて、今にも茶室の空気をにごしそう。

 私とその両隣に二人、三名の女が作法に則って正座している。足がしびれてるのは生徒である三人共一緒である。先生がくるのが今日はやたらと遅い。着物の中では妙な汗が噴いてきている。

 スーッと急にふすまが開いたと思ったら、つむじ風のように中に入って正座をしている先生の姿が部屋の中にあった。ふすまが柱にあたって、廊下の風は遮断された。

 驚く暇もなくて、肛門をゆるめる暇さえなかった。

 もちろん急須はでてこなかった。

 お腹のほうがふくれてきたような気がしてきた。挨拶をした後の、先生の話が頭に入らなくなるほどの痛みがふくれあがってきた。

 茶の香りはするが、集中がそちらに向かない。

 目の前に器が置かれていた。先生の一言によってその器の存在に気がついた。



 心の中で安堵のため息をついて、ようやく顔を上げて、その日初めて先生の顔を見た気がした。

 手順を思い出して器を手にとった。黒いその茶碗に一とき目を奪われ、緑の匂いが消えた。

 それでも体は自然に作法をしてくれていた。茶の味はまるでなかった。

 器に名残を惜しむ気持ちを抑えてそれを畳の上に置いた。一通り、終えて先生の顔を見上げたとたんに口の中にお茶の味が広がってきた。

 茶の強みを感じずにその余韻だけを味わった。

 感じた。というふうな茶は初めてだった。器の雰囲気を味わって茶をすする。しかし、味覚が何かに負けて、ちょうど骨折した痛みがそのときはなかったけれども後からじわじわと感じてくるときのように、または鐘をついた後のあれのように、しっとりと口の中でゆっくり香ってきた。

 香りが消えて、器を見るが、さっきほどの感動はない。またお腹がはってきたのだ。






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最終更新日  2005年03月21日 22時59分48秒
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