躰道∞(無限) 

2005年06月01日
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 珍しく、トリアゲ(地名)の踏み切りにつかまりました。三車両か、四車両の列車でしたが、私の目が確かならば車掌か運転士以外はだれも乗っていなかったように見えた。時間は九時五十分ころ。石巻線の下りで、女川に向かっていました。

 さびしい。というか、トリビアというか、試運転というか、ようわからんですが、こんなもんなんでしょうな。

 こういう路線で何か問題を指摘されて、指摘された側も採算が合わないとふんだら「じゃあ、この路線は運行中止にしましょう。新しい発明がなされ、線路がなくなったころになっても採算がとれない」などといいだしたら、この辺に住み列車を利用している人はこまってしまう。でも、鉄道会社でも莫大な赤字はだせない。それは、列車を利用する人の財布と同じで、二百円の切符を二千円で購入するものはいない。細かい人の考えが詰め寄って、大きいものに責任をかぶせる。しかし、出し目はしたくない。

 これってどうなのでしょう。どこまでが、人の責任で、どこまでが組織の責任?

 昔かたぎの豆腐屋さんで、月の利益は五万円にもならない。年金のほうがもっともらっている。いや、息子の稼ぎと年金があれば十分にやっていける。なのに、だったら、なぜ。それは、待っている人がいるから。習慣のように食べてくれる人がいるから。やめるにやめられない。

 駅員だって同じだと思う。本当の笑顔をもって切符を切る人だっていると思う。いや、でも、もう石巻まで自動改札の波は押し寄せている。

 でも、本当の確認は表情をしっかりみないと判断できない。「あっ、この人自殺しそうな顔だ」では後をつけてみることにした。七番ホームに同じような表情の人間が集まってくる。後をつけてきた駅員はふと思う。「集団自殺ではなかろうか」
しかし、相談した先輩は鼻息混じりにこう言った。「なーに。かまうことないよ、そんなこと聞いてみろよ。逆に訴えられるぞ。名誉棄損だー!ってさ」

 列車の光がみえてきた。駅員が自殺をするであろうと読んだ無表情の男女は九人いる。その中の一人の男がホームの白線のところにビデオカメラを置いた。ライターを下手に挟めて少し傾けた。その先には線路が映る角度になっている。駅員はドキドキしてきた。やっぱり、自殺?でも、先輩は……。そう頭の中でめぐらせながら携帯を連中に向けていた。ムービー機能に切り替えて撮影ボタンを押した。すぐそこに列車はきている。パァーーー。急ブレーキの音を掻き消すかのようにホームの中でクラクションが鳴り響く。
 駅員の震える手に持つ携帯がパッっと紅く染まった。惨劇をとらえた後の背景はリアルだが、撮ったそれを繰り返し観ると安っぽい恐怖ドラマのエンディングのようだった。


 と、このようなことがあったとする。誰の責任になるのでしょう。





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最終更新日  2005年06月01日 23時14分36秒
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