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三井寺 (1)
今回の旅3日目は琵琶湖湖西を北から南に巡る予定であったが海津大崎の
桜はまだ開花していないと云う、そこで朝一番に三井寺にタクシーで駆け付けた。
9時過ぎとてまだ団体客の姿は無く、仁王門は両脇の桜に縁取られて静かに
佇んでいる。
山門をくぐると壮大な金堂もまた桜の冠である。
三井寺の正式名は園城寺であるがここに天智・天武・持統天皇の産湯を汲み
あげた霊泉が有るので三井寺の愛称で知られている。天台宗・門派の総本山
であり、天台宗にはもう一つの山門派があるが両派はかって骨肉の争いを
繰り返し、僧兵たちによる焼き打ちなどを繰り返してきた歴史がある。
高い木立に囲まれた桜花の上には三重塔の宝輪が隙間見える。多重塔は
釈迦の遺品をおさめるスチューバが原型であるが日本では三・五・十三重の塔
などが有る。その多くは五重塔で、十三重の塔は談山神社のそれが有名で
あるが殆んどは石塔である。
最近は東京スカイツリーの五重塔・心柱構造をよく耳にするがそう云われて
みれば五重塔上部の宝輪はテレビ塔のアンテナ部に見えなくもない。
近年はアンテナにも宝輪にも避雷針が取り付けられていることだろう。
金堂の裏に回ると閼伽井屋(あかいや)と言う小さな社殿が有りその前に下の
坪庭が有る。仙人の住む蓬莱山を摸した造りで我が国で最初の庭園だそうだ。
閼伽井屋の中には締め縄が張られた岩の間に湧き出る泉が有った、そして
上部には左甚五郎作の龍の彫刻が飾ってある。この龍は夜な夜な琵琶湖に
降りて暴れたそうだ、そこで甚五郎はその目に五寸釘を打ち込んで鎮めたと
言う、その跡が残っている。
下の一切経蔵は回転式であるがもちろん重要文化財とあれば触るわけには
ゆかない。それぞれの引き出しには経文が納められており、このような経蔵の
周りを廻ったり、回転させて行う簡易礼拝はチベットや中国の寺院で良く
見られるがこれで功徳が得られれば便利で有難いデバイスである。
前記したように延暦寺と三井寺は激しい抗争を繰り返していたが、その際もと
もと延暦寺の僧兵であった弁慶がこの鐘を比叡山に引っ張り上げて打ってみると
「いのー(帰ろう)」と響いたので山から投げ捨てたものだそうだ。この”弁慶の
引き摺り鐘”の脇に”弁慶の汁鍋”と言う巨大な割れ鍋が置いてあった。たまたま
寺守の方が居合わせたので「何人分の汁ですか」と尋ねてみると「僧兵千人分
です」との答えであった。
弁慶の鐘とは別に寺内の鐘楼には広重の近江八景図で有名な”三井の晩鐘”
が吊るされている。宇治平等院、高尾神護寺の鐘と共に日本三銘鐘で
”残したい日本の音風景百選”にも入っているそうだ。
脇に小さな札所が有り、鐘つき300円とあった。”晩鐘”を朝突いても仕方が
ないかと思っていたら一人のご婦人が登楼して「ぐぉおおーん」と突いてくれた。
確かと聞いたので多分私にも御利益は降って来る筈である。
福音を聞くにはこの風景は絶好なシチュエーションであろう。
病後のテスト旅行 2019.10.30
来宮神社・楠の巨樹と大字 2019.02.07 コメント(2)