愈々庵気まぐれ日記

愈々庵気まぐれ日記

2016.10.14
XML
カテゴリ: 都内散歩
10月10日、久しく日の光を感じなかったのにこの日は好天、それだけでなく東京の気温は
30度以上もあり、全国各所で真夏日を記録した。異常天候も度を越している、真面目に
ならないとそろそろ転機を操る神様にも天罰が下るだろう。

この日知人の出展する美術展に招待されて上野に行ったついでに頑張って前から気になっていた
国立科学博物館のシーボルト特別展に足を運んだ。ロンドンのScience Museumやワシントンの
Smithoianには比べようもないが、近代科学が生まれてまだ150年もたたない我が国の博物館
としてはそれなりのものである。
ただ政府もノーベル賞何人目的などと言うまるで実業家のような発想ではなく、全国の修学旅行
生の必須見学場所となるようなものを作ってほしい。これこそが将来科学者になる人口を増やし、

受けたことはなく、また賞の趣旨にも反することは明らかである。何人の政治家や官僚がノーベル
憲章や推薦人への委員会の趣旨説明に目を通しているのだろう。いかに優れた機械や電気製品を
発明してもそれはノーベル賞のカテゴリー外である。要はそういった文明の利器を生み出す根本
原理の発見に対する賞なのだ。分かりやすく言うとアインシュタインは複数回受賞に値するが
残念ながらエディソンは資格がない。
さてそんな日本の科学の草創期を導いてくれた大恩人、フィリップ・フランツ シーボルトが没
して今年は150年ということで、両国・江戸博物館と上野・科学博物館でシーボルト回顧展が
開かれている。考えてみれば究理〈物理)、舎密(化学)、動物学、植物学、鉱物学、文化人類学
など我が国でのルーツをたどってゆくと皆この人物にたどり着く。




国立科学博物館


玄関横の巨大オブジェ・マッコウクジラ






1931年竣工の本館はネオルネッサンス様式で外観はあまり見栄えがしないが、内部は見事な
造形である。


ネオルネッサンス様式と日本の伝統的左官技が生み出したドーム天井。

シーボルトを運んできたのは三本マストのドリー・ヘズェスタ号、当時オランダのアジアの出先
バタビア(今のジャカルタ)から40日を要したという。シーボルトはドイツ人医師であるが日本

ドイツ語訛りであったらしいが長崎の日本人役人には区別できるはずもない。



長崎入港に際して緑あふれる光景に感動し、さらにそれが自然林ではなく人工林であることを
知って感銘を受けたようである。彼は医師としてよりも日本の植物、動物、鉱物に多大の興味
を示し、それらの収集品をオランダに送り続けたそうである。


標本とシーボルトの直筆のサイン




日本植物誌 Flora Japonca裏表紙

写真がない時代なので彼は日本人画家・川原慶賀を養成して正確な博物図版を作成した。
それをもとに「日本植物誌」を出版している。当時はヨーロッパ人が多くのプラントハンター
をアジアや南米に送り込み、園芸愛好家に売っていたようである。ロンドンのキューガーデン
に見られるように多くのヨーロッパの植物園や庭園にみられるアジアの植物はその多くがこの
ようにしてヨーロッパに渡ったようである。


日本動物誌 Fauna Japonica

日本の動物についても「日本動物誌」を刊行が刊行されたがこれは5巻までの出版で未完に
終わったようである。



シーボルトの日本人孫弟子にあたる宇田川榕庵は≪舎密開宗(化学入門)≫や≪植学啓原
(植物学原理)≫などを著し、我が国の化学や植物学の開祖となった。現在でも用いられ
ている化学や植物学の用語の多くは宇田川の案出したものである。面白いのは古来仏教
などの経典が巻物あるいは折り畳み冊子で出版され,日本人がこの様式に慣れていること
を利用して、≪菩多尼可経(ボタニカ経)≫ 題した経典形式で植物学とは何たるかを説い
ている。”近代生物学はリンネに始まりーーーー” という経文は傑作である。

学芸員との会話で横の階段踊り場にはこの博物館の創設者田中芳男の像と小冊子があるの
でぜひ見てほしいといわれた。田中芳男はシーボルトの愛弟子伊藤圭介に博物学を学んだ
英才で、文部官吏を務め多くの外国の博覧会への我が国の出展に係わり、教育博物館の
必要性を訴え、現在の科学博物館の前身≪文部省博物館≫の創立を主導した人物である。



今回はシーボルト展の見学でここを訪れたが一階上の〈日本人と自然〉コーナーになぜかあの
忠犬ハチ公がいると聞いていたので会いに行ってきた。渋谷駅や大館駅のハチ公像もこれだけ
しっかりとしたモデルがいればよく似ているのは当然だろう、もっとも老齢時のハチ公はもう
耳が垂れていたという説もあるがやはりハチ公の姿は立耳がいい。
日本人なら誰でも知っているあのハチ公に会えたのはうれしかった。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2016.10.14 10:00:04
コメント(0) | コメントを書く
[都内散歩] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: