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2007年11月03日
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カテゴリ: 評論家生活
プロ野球のテレビ視聴率の低迷続く。一方でここ数年のバレーボールの視聴率は予想以上の好調。両者の違いはいったいどこに?「セイの法則」があるようだけど、それって何?




巨人戦を中心にプロ野球のテレビ視聴率の低迷が続いている。ビデオリサーチ社の調べによると、6月の巨人戦の平均視聴率(関東地区)は、3カ月連続で月別の過去最低となった。在京の民放キー局は、こうした状況を鑑み、これまで実施されてきたプロ野球中継の延長を取りやめ、定刻で中継を打ち切る措置を検討し始めたという。プロ野球中継の後に続く番組が定刻にスタートせず、プロ野球中継だけでなく他番組まで視聴率が低下する可能性を考慮しているらしい。

プロ野球中継の視聴率が低下している理由として、巨人が弱くなったからだという説がある。あくまで一説だが、プロ野球ファンの半分以上は巨人ファンとのこと。巨人が強くなれば、巨人ファンがテレビ中継を視聴したくなる。巨人ファンは大多数だから、テレビ中継を視聴する人数が増え視聴率も上昇する。逆もまたしかり。こんなロジックだ。

このロジックで気になる点は、「プロ野球ファンの大多数=巨人ファン」という図式が前提となっている点。さらに、やや意地悪にみれば、このロジックが、「プロ野球の視聴率低迷=プロ野球ファンの多くが巨人ファンのせい」と暗示しているようにも思える点も気になる。プロ野球はスポーツの1種。八百長も含めたエンターテイメントとしてのプロ野球を志向するのでなければ、巨人の強さは(テレビ局など部外者が)人為的に変えられるものではない。そうなると、巨人の勝率で視聴率が左右される原因は、プロ野球ファンに占める巨人ファンの割合が高いためとなる。あたかも、プロ野球の視聴率が低迷しているのは、プロ野球ファンのため、とも聞こえる。やや意地悪か。

プロ野球が視聴率低迷で苦しんでいる一方で、バレーボール中継の視聴率は予想以上の好調を示した。先日終了した女子バレーボールワールドグランプリの視聴率は、スポーツ部門で1位から3位を独占。総合部門でも日本対アメリカ戦が3位にランクインしている(関東地区、7月4日~10日、ビデオリサーチ調べ)。

だが、バレーボールのテレビ視聴率は、以前から高かったわけではない。むしろ、バレーボールのテレビ視聴率は、東京オリンピックをピークに低下傾向を続けていた。背景には、全日本チームの勝率低下、サーブ権がないと点数が加算されないといったバレーボール特有のルールがテレビ中継に向いていないなどが指摘されていた。

そこでバレーボール協会は、テレビ中継を含めた各種事情を考慮し、サーブブロックの禁止、ラリーポイント制の導入など、積極的にルールを改正した。ルールの改正にあたっては、各方面から数多くの批判があったと聞くが、こうしたルール改正が、バレーボールというスポーツをテレビ中継に向いたものにしたと言っていいだろう。

またテレビ局が、各種メディアを巻き込んだ事前の番組宣伝を強化し、バレーボール中継に際しタレントを起用するなど、演出面で工夫をした点も視聴率上昇に寄与したと思われる。もちろん、こうした演出面での工夫についても、ルール改正と同様、各種批判があるようだ。しかしテレビ局が視聴率を上げようと、従来の視点とは異なる方法で試み、そしてある程度成功に導いた点は、もう少し評価されてもいいだろう。



このセイの法則は、「作れば作るほど消費される」と言い換えられることも可能のためか、各方面から批判されることが多い。たしかに今の日本のように、供給が需要を上回る状態では、セイの法則が現実的なものとは言いにくい。

ただ、セイの法則が前提としていることは、「何でもいいから作れば、それは消費される」ということではない。むしろセイの法則で前提としていることは、「供給側は需要に合致した製品・サービスを提供している」という点である。このため、セイの法則の真意は、「(供給側は需要に合致した製品・サービスを提供するので)経済水準の大きさは、需要ではなく供給で決められる」となる。

プロ野球の視聴率低迷を「巨人が弱いから仕方がない」と嘆きたくなる気持ちは、理解できなくもない。ただ言えることは、同じスポーツ中継でも、ルール改正や演出の工夫などを通じて、視聴率低迷から脱却しつつあるケースもあるということ。セイの法則が適用されにくい日本においても、セイの法則は立派に通用することを覚えておいてもいいだろう。


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最終更新日  2007年11月03日 15時28分06秒
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