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2005.02.11
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カテゴリ: 健康
ダイエットの本来の目的は、病気を予防し健康を保つことだ。したがって、一時的に体重が減っても逆戻りしては意味がないし、誤ったダイエット法によって健康を害してしまっては問題外だ。大切なのは、ダイエットによって太りにくい健康的な生活習慣を身につけ、ベスト体重を維持することだ。

◆あなたには ダイエットが必要か?

 ダイエットを行う必要があるかどうか、その目安になるのが肥満度だ。

 肥満を判定する方法の一つに、ボディー・マス・インデックス(BMI)という体格指数がある。BMIは、【体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)】で求めることができる。22前後の人は最も病気になりにくいという研究結果から、日本肥満学会では【身長(メートル)×身長(メートル)×22】を健康体重(標準体重)として推奨しており、【(実測体重ー標準体重)÷標準体重×100(%)】という式から求められる数値を肥満度としている。肥満度が20%を超えたり、BMI26.4を超えた場合、肥満と判定される(表1・2)。



表1 BMI指数による肥満の判定
(日本肥満学会 1992年) 肥満の判定基準
B M I 肥 満 度
や せ 19.8未満 -10%未満
普 通 19.8以上24.2未満 -10%以上+10%未満

肥 満 26.4以上 +20%以上
表2 健康体重(標準体重)に対する肥満度による判定 肥満度 判 定
-20%以上 やせすぎ
-20~-10% やせぎみ
-10~+10% 普 通
+10~+20% 太りぎみ
+20%以上 太りすぎ(肥満)
表3 体脂肪率の判定(成人) 正常範囲 男性15~20%
女性20~25%
肥 満 男性25%~
女性30%~




◆肥満は生活習慣病の誘因



 糖尿病や高血圧症、高脂血症などの生活習慣病と肥満は深い関係にある(図1,2,3)。  

 日本肥満学会では、肥満と生活習慣病の関連性を重視して、1999年の3月をめどにBMIの見直しを進めている。日本肥満学会理事長で、国立健康・栄養研究所老人健康・栄養部の井上修二部長によると、「現在はBMI指数が26.4以上を肥満としているが、糖尿病や高血圧症などの合併率が高まるBMI指数は、それぞれ病気ごとに異なるので、病的肥満である肥満症を定義するにはどこを基準にとるか検討中。BMIに体脂肪率や、体脂肪のつき方なども反映させていくつもりだ」という。

 肥満と生活習慣病は切っても切れない関係にある。ダイエットは、その関係を断ち切り、健康な生活を送るために欠かせない。

◆生活習慣の改善がダイエット成功の早道



 まず目標体重を設定しよう。体脂肪率や過去の体重変動を考慮し、自分が最も活発に活動できると思われる体重が理想だ。標準体重は目安にはなるが、とらわれる必要はない。現在の体重を5~10%減らせば、肥満による健康障害の心配はかなり解消される。減量のぺースは、1カ月に1~2キログラム程度を目指せば、からだへの負担が少なくてすむ。

 実際の方法としては、日常生活の見直しを基本とする「行動修正療法」がすすめられる。食事のとり方や運動不足など太った原因を突き止め、それらを修正して太りにくい生活習慣を身につける。ある程度の時間と手間は必要だが、体重の逆戻りを防いで確実にダイエットするためには有効といえる。

 行動修正療法は、以下の手順で進める。


.食事、運動、体重を記録する
 日ごろの生活習慣を見直すために、食事や運動といった生活習慣を記録する。
 常にメモ帳を携帯し、飲食をしたらすぐに飲食した時刻、飲食した物の種類、目安量、どこで・だれと・何をしながら、どんな気分のときに、などを正確に記入する。
 運動やそのほかの生活活動については、別のメモ帳に、起床から就寝までの一日の行動を記録する。二つの記録をすぐに見比べられるように、ノートを用意して、左ページに食事日記を、右ページに生活活動日記を貼る。また、毎日の歩行数と体重、体脂肪率を折れ線グラフにするとダイエットの効果が一目で分かる。なお、体重と体脂肪率は、毎日同じ時刻に一定の条件のもとで測るようにする。


2.記録を分析して生活習慣を見直す
 記録をつけ始めて2~3週間たったら、食事日記の項目について自己分析をする。肥満を招きやすい傾向を表4に示したので、当てはまるものがあれば改めよう。

表4 肥満を招きやすい傾向 食事の時間/食べ方 食事時間が短く、早食い
食事の時間が不規則
1日1~2食で、1食の量が多い
間食や夜食をとる
朝・昼食は軽くすませ、夕食に比重を置く
夕食後2~3時間以内に就寝する
週末のように時間の余裕があると、ダラダラと食べ続ける
食事の内容 揚げ物などの油っこい物をよく食べる
菓子類、甘い物をよく食べる
清涼飲料水をよく飲む
酒をよく飲む
外食ではめん類や丼物などの単品料理が多い
食事の量 量を意識せずに食べている
出された物は、満腹でも残さずにたいらげる
食事の場所/環境 食事場所が決まっておらず、食卓以外の場所でも食べる
一緒にいると、つられて過食してしまう
テレビを見たり新聞を読みながら“ながら食い”をする
食事の時の気分 退屈感、イライラ、落ち込みなど特定の感情があると食べ過ぎてしまう
甘い物やお酒でストレスを解消している


◆食事の基本は 低エネルギーバランス食

 食事からの摂取エネルギーよりも、運動や生活活動による消費エネルギーを増やせば減量できる。しかし、運動などによるエネルギー消費量はさほど多くはないので、ダイエットには食事のコントロールが欠かせない。ただし、絶食や極端な減食をすると健康を損ない、体重のリバウンドを招きやすい。必要な栄養素をとったうえで摂取エネルギーを抑えることが大切だ。

 栄養バランスを保つには、一日三食を通して、6つの基礎食品群(表5)のそれぞれから1~2品ずつとるようにすることだ。

 おすすめは おふくろの味 ともいえる、1汁2~3菜の和食メニューだ。これなら、主食(ご飯)で糖質、主菜(肉・魚・卵料理)でたんぱく質が、副菜(野菜の煮物やおひたしなど)や汁物からはビタミン類が摂取できる。ここに乳製品を加えれば、不足しがちなカルシウムも補える。

 ご飯やパンなどの糖質は太るから、ダイエット中はとらないという人もみられるが、糖質は大切なエネルギー源。ご飯なら一日に茶わんに軽く3杯、食パンなら3枚は必要だ。もちろん食べ過ぎは禁物。丼物やカレーライスなどのように器が変わるときには、目分量で茶わん1杯を超える量は残すようにする。

 一日の摂取エネルギーは1,200~1,600キロカロリーに抑える。カロリー計算が面倒でも、「腹八分目を守る」「一口につき30回以上かむようにし、20~30分以上かけてゆっくりと食事する」「各料理とも一口ずつ残すように心がける」といった工夫で、自然に摂取エネルギーが抑えられるはずだ。



表5 6つの基礎食品 食品の種別 含まれる栄養素
一群 魚・肉・卵・大豆 たんぱく質
(ほかに脂肪、鉄、カルシウム、ビタミンA、B1、B2)
二群 牛乳・乳製品・
骨ごと食べられる魚 カルシウム
(ほかにたんぱく質、鉄、ビタミンB2)
三群 緑黄色野菜
その他の野菜 カロチン
(ほかにビタミンC、B2、カルシウム、鉄)
四群 果物 ビタミンC
(ほかにカルシウム、ビタミンB1、B2)
五群 米・パン・めん・芋 糖質性エネルギー
(芋にはビタミンB1、C)
六群 油脂 脂肪性エネルギー


◆食事パターン別 ダイエット処方箋

 ダイエットには、個々の生活スタイルに合わせた工夫が必要だ。4つのケースについて、国立健康・栄養研究所の管理栄養士・健康運動指導士の田口素子さんに分析してもらった。


38歳の女性。主婦。小学生の子供がおり、子供の好みに合わせたボリュームのあるメニューになりがち。いっしょにおやつを食べることも多い。同じ物を食べているせいか体重が増えてきた。
「脂肪分、ファストフード、菓子類の間食は控えるなどを心がけてみてください。最近、食生活の乱れによる子供の健康上の問題がクローズアップされていますが、子供にも好きな物ばかり食べさせるのではなく、小さいころからバランスのよい食事についての食事教育をすることも大切です」


45歳の女性。パート勤務。女性の多い職場で様々なダイエット情報が飛び交う。スカートのウエストがきつくなってきたので、ご飯の替わりにキャベツの千切りを食べる方法を試している。
「ダイエットの早道は、脂肪分と甘い物を極力控えること。ご飯はエネルギー源となる大切な食品であり、毎食茶わん一杯で太ることは全くありません。むしろ、現在のように主食をとらなかったり、バランスの悪い食生活になると、やせにくくなるばかりか健康を損ねることにもなりかねません」


48歳の男性。会社員。会社の健康診断で太りぎみを指摘されたので体重を減らしたいが、昼食はいつも外食。仕事が忙しく、夕食も残業のために外食になることが多い。
「めん類や丼物などの単品よりも、栄養バランスのよい和風定食を選びましょう。外食だと量が多くなりがちなので、主食を減らしてエネルギー調整を。メニューをよく見て、揚げ物が少なく、野菜はできるだけ多い物を選んでください。家での食事は、外食で足りない物を補うよう工夫しましょう」


50歳の男性。会社員。40歳代から体重が増加、おなかも出てきた。仕事の関係などで週に1~2回お酒を飲む。家でも毎日晩酌をする。
「お酒は高エネルギーなので、ダイエット中は極力飲まず、飲むならアルコール分の少ない物や、水割りなどをゆっくりしたペースで飲むようにする。飲み過ぎないように気をつけ、つまみは冷ややっこ、刺し身、煮物、枝豆など低エネルギーで、たんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富な物を選びましょう。飲んだ後にラーメンなどの夜食をとることは禁物です」

◆運動をプラスして 太りにくいからだをつくる

 運動による消費エネルギーはあまり多くない。しかし、からだを動かせば、エネルギーの消費量は確実に増え、太りにくい代謝状態に変えることができる。

 そこで、日常生活の中でまめにからだを動かすことが大切だ。エレベーターの替わりに階段を利用し、通勤や買い物の際にはできるだけ歩く。掃除や洗濯を毎日行うのもよい。

 さらに、有酸素運動をプラスしよう。食事制限だけでは肝心の体脂肪はなかなか減らず、筋肉や骨などの体脂肪以外の組織も減少してしまうことがある。有酸素運動には、体脂肪を燃焼させる効果がある。

 有酸素運動にはウォーキング(速足歩き)、サイクリング、水泳などがある。体脂肪が燃え始めるまでには運動開始後15~20分かかるので、運動効果を上げるために30分~1時間、休まずに続ける。運動の強さは軽く汗ばむ程度で、心拍数でいうと1分間に120前後が理想だ。ウォーキングなら、分速80~90メートルのスピードが目安だ。これを1週間に5~6日、できれば毎日行う。生活活動も含めた一日の歩数は10,000歩を目標にしよう。

 ダイエットを続けていると、体重の減り方が鈍ってくることがある。これは、少ない摂取エネルギーに合わせて、からだが基礎代謝量(呼吸や心臓の拍動といった生命活動のために安静時でも消費されるエネルギー)を減らしてしまうからだ。基礎代謝量を維持するためには筋力トレーニングも大切だ。

 そもそも人類は、狩猟・採集生活のころから食料不足と闘ってきた。そのような歴史の中で、食料難のときでもエネルギー不足に陥らないよう、食べた物を体脂肪として蓄える能力が培われたのだ。この能力を備えながら、飽食、車社会である現代で生活していれば、だれでも肥満になる可能性はある。肥満度の判定で「肥満」とならなかった人も、油断をせずに、活動的な生活を心がけてほしい。







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Last updated  2005.02.11 20:56:14
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