たかうじのブログ

PR

×

プロフィール

たかしRX

たかしRX

カレンダー

バックナンバー

2026.08
2026.07
2026.06
2026.05
2026.04

カテゴリ

コメント新着

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2019.05.12
XML
テーマ: 法律(515)
カテゴリ: 法律
実務的には常識となっているが、預金を差押える場合、銀行の支店を特定しなきゃならない。これが最高裁平成23.9.20民集65.6.2710であり、実務的にはこれは動かせない。
相手方がどこの銀行使ってるかだけでもわからんというのに、支店までどうやって特定するのだという話で、世の中には泣いてる債権者がいかに多いことか。
特にシングルマザーなんかが養育費回収できないなんての、執行法がロクに機能してないからというのが大きい。

これについて、全店一括順位づけ方式、つまり支店を特定せず、「複数の店舗に預金があるときは店舗番号の若い順」というようなやり方を認めた高裁決定が判例時報に載ってた(名古屋高裁金沢支部H30.6.20判例時報2399号33頁)。
どういう場合に、どうやれば全店一括順位づけ方式が取れるか、参考になりそうなので見ていく。

事案として、預金差押えの第三債務者となった銀行に大きく二点ほど特殊な点があった。

第1は、対象となった銀行はネット専用の銀行ではないが、実店舗は首都圏や関西に十数店しかないという、ネット専業銀行に近いという点だ。
あんま支店が重視されないということだ。ただ、時報ではZ銀行になってて、具体的にどこの銀行かまでは時報で書いてないので不明である。

第2に、これがたぶん一番大きなところだが、事前に弁護士が銀行に弁護士法23条の2に基づく照会をしたところ、銀行は「本店に差押命令が送達された場合、全店を調査して預金差押えできます」と回答してるところ。

債権者の弁護士はこの照会結果を資料として執行裁判所に提出し、富山地裁は最高裁決定に拘泥して拒否したが、名古屋高裁は個別の事情から認たという形になる。

時報を読む限り、具体的に「どこの銀行か?」というのが分からんのがツラいし、また「どんな照会をしたのか」までは書いてないが文脈からすると「御行は支店を特定しない、全店一括順位づけ方式で対応できますか?」というような照会をしたのだろうね。
一手間はかかるものの、預金差押えする前に、「全店一括順位づけ方式で対応できますか?」と照会をして、照会結果を資料として提出すれば認められる可能性がある、ということになるかもしれない。

順番として最初に論じるべきかもしれなかったが、そもそもなぜ預金差押えする場合に支店を特定しなきゃならないのか、といえば別に民事執行法にそこまで書かれているわけではない。
裁判所が、「銀行さんの方で速やかに、かつ確実に差押えられた権利が識別できないだろう」と配慮してるという理由である。逆に言えば、法改正までしなくても、ここさえクリアできたら別に支店を特定しなくてもいいということになる。
この全店一括順位づけ方式を否定した最高裁決定は平成23年だからもはや10年近く前。いまやネットバンクはどこの銀行でもやってて、僕たちはネット上から預金の動きは簡単に見られたり、振込なんかまでできる時代だ。ならば、本店の方で支店の預金くらいわかってるんじゃないか。
このあたり、弁護士会とか金融庁なりなんなりが音頭をとって動いて欲しいものだ。


【送料無料】 模範小六法 平成31年版 / 判例六法編修委員会 【辞書・辞典】





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2019.05.13 11:49:08
コメント(3) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:支店を特定しない預金差押えが認められるポイント(05/12)  
匿名希望 さん
>いまやネットバンクはどこの銀行でもやってて、僕たちはネット上から預金の動きは簡単に見られたり、振込なんかまでできる時代だ。
それはあくまでも、その口座の持ち主であるご本人様に限るお話です。
>ならば、本店の方で支店の預金くらいわかってるんじゃないか。
恐らく、弁護士の先生方が一般の方から「法の力でこれくらい調べられるんじゃないか」と理不尽に思われることと同じようなもの(逆)です。
まだまだ金融機関はアナログです。支店ごとの管理がメインです。
情報の統合などもございますが、例えばAさんが2つの支店に口座を持っていたとしても、登録している電話番号が違ったりしているとその情報は統合されません。住所変更を失念しているお客様(略)。
更に、「本店」は恐らく想像されているような、他の店舗の管理をしている店ではございません。本店は本店という営業店の一つです(法律事務所でも、弁護士法人であればいわゆる大本の法律事務所があるかと思います(支店は支店で依頼者がいらっしゃいますが、大本の法律事務所にも依頼者がいらっしゃいますね。それと同じようなものだと思います)。

差押えに関する歯がゆいお気持ちは分かりますが、金融機関のありようにもご理解いただければと思います。 (2019.05.13 18:28:20)

Re[1]:支店を特定しない預金差押えが認められるポイント(05/12)  
匿名希望さんへ

金融機関の方でしょうか?
現場の方からすれば,全く何もわかっていない内容になっているのではないかな,と思う次第です。
原状がそうだというのは理解しているのですが,将来的にこの部分を何とかして欲しいと思うところではあります。 (2019.05.13 19:59:25)

Re[2]:支店を特定しない預金差押えが認められるポイント(05/12)  
匿名希望 さん
たかしRX先生へ

ご返事ありがとうございます。

末端ですが金融機関勤務です(こちらも職業上、守秘義務が求められますので、詳細について詳しくコメントできません。ご理解ください)。

全店舗についてピンポイントで検索できれば、いろいろと便利なのは分かりますので、その点については同感です。
ただ、金融機関といえども民間企業です。お客様から提供していただく情報はあくまでもお客様の任意とその届出時点の情報に基づくものです。
実際、かなり砕けて言えば、先生のアイデアですと、Aさんを検索したとしてもAさんが複数検索されて
・同姓同名の可能性
・住所の変更を届け出ていない可能性
などで確実に1名に絞り込んでいくのは実際のところかなり大変になるのではないかと懸念しますし(当然ミスは許されません)、先のコメントで申しましたように、本店といえども営業店の一つですので、通常業務を行いながら裁判所の文書にミスなく対応というのは難しいのではないかと思いました(対応できる人材が多いかと言われると……)。

勿論私自身も末端ですので、金融機関の全体的な業務の全てを知っているわけではありません(当然、このコメントは私個人のもので、金融機関の意見ではありません)し、「自分達に負担がかかるのをいやがっているのだろう。金融機関の甘え」「法律事務所のお客様はそれこそ生きるか死ぬかの問題なのだ」という先生方からの批判もあると思います。

ですが、少しでもこちら側の状況が伝われば……と思った次第です。

聞いてくださってありがとうございました。
お仕事頑張ってください。 (2019.05.14 07:13:34)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: