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2019.05.12
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テーマ: 法律(515)
カテゴリ: 法律
実務的には常識となっているが、預金を差押える場合、銀行の支店を特定しなきゃならない。これが最高裁平成23.9.20民集65.6.2710であり、実務的にはこれは動かせない。

特にシングルマザーなんかが養育費回収できないなんての、執行法がロクに機能してないからというのが大きい。

これについて、全店一括順位づけ方式、つまり支店を特定せず、「複数の店舗に預金があるときは店舗番号の若い順」というようなやり方を認めた高裁決定が判例時報に載ってた(名古屋高裁金沢支部H30.6.20判例時報2399号33頁)。
どういう場合に、どうやれば全店一括順位づけ方式が取れるか、参考になりそうなので見ていく。

事案として、預金差押えの第三債務者となった銀行に大きく二点ほど特殊な点があった。

第1は、対象となった銀行はネット専用の銀行ではないが、実店舗は首都圏や関西に十数店しかないという、ネット専業銀行に近いという点だ。
あんま支店が重視されないということだ。ただ、時報ではZ銀行になってて、具体的にどこの銀行かまでは時報で書いてないので不明である。

第2に、これがたぶん一番大きなところだが、事前に弁護士が銀行に弁護士法23条の2に基づく照会をしたところ、銀行は「本店に差押命令が送達された場合、全店を調査して預金差押えできます」と回答してるところ。

債権者の弁護士はこの照会結果を資料として執行裁判所に提出し、富山地裁は最高裁決定に拘泥して拒否したが、名古屋高裁は個別の事情から認たという形になる。

時報を読む限り、具体的に「どこの銀行か?」というのが分からんのがツラいし、また「どんな照会をしたのか」までは書いてないが文脈からすると「御行は支店を特定しない、全店一括順位づけ方式で対応できますか?」というような照会をしたのだろうね。
一手間はかかるものの、預金差押えする前に、「全店一括順位づけ方式で対応できますか?」と照会をして、照会結果を資料として提出すれば認められる可能性がある、ということになるかもしれない。

順番として最初に論じるべきかもしれなかったが、そもそもなぜ預金差押えする場合に支店を特定しなきゃならないのか、といえば別に民事執行法にそこまで書かれているわけではない。
裁判所が、「銀行さんの方で速やかに、かつ確実に差押えられた権利が識別できないだろう」と配慮してるという理由である。逆に言えば、法改正までしなくても、ここさえクリアできたら別に支店を特定しなくてもいいということになる。
この全店一括順位づけ方式を否定した最高裁決定は平成23年だからもはや10年近く前。いまやネットバンクはどこの銀行でもやってて、僕たちはネット上から預金の動きは簡単に見られたり、振込なんかまでできる時代だ。ならば、本店の方で支店の預金くらいわかってるんじゃないか。
このあたり、弁護士会とか金融庁なりなんなりが音頭をとって動いて欲しいものだ。


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最終更新日  2019.05.13 11:49:08
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