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2019.06.07
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テーマ: 法律(515)
カテゴリ: 法律
最近では浮気調査なんかにも使われているGPS発信機なんだけど,これを設置することがストーカー規制法で定める「見張り」に当たるかという裁判例がタイムズに載っていた。いろいろと興味深いテーマなので見ていく。


【新品】【本】刑法各論 大谷實/著

事案は福岡高裁H30.9.20判例タイムズ1459号118頁。
論点が多岐にわたるので,簡略化すると,こうだ。
被告人と被害者は,当時夫婦の関係にあったが,いろいろあって,妻はDV防止法の保護命令を申し立てたりして,家から出てシェルターだとか親族の家で住むようになっていた。
そこで,被告人は妻の居所を調べるため,妻の使っていた車にGPS発信機を設置したというのだ。

まず,ストーカ規制法のストーカー行為についての要件は大きく2つ。

②住居,勤務先その他通常所在する場所の付近において見張りをすること

テーマは,②で,GPS設置と観察がストーカー規制法の「見張り」かどうかに限定したい。

この点,福岡地裁は「見張り」というのは主に感覚器官によって相手方の動静を観察する行為だとしつつ,直接に目で見ず,電子機器を使って相手方に関する情報を得ることも「見張り」だとした。こうやって,ちょっとした拡大解釈をしたのも,ストーカーを規制したいからだ。
これと逆の判断をしたのが福岡高裁だ。あくまで「見張り」は広辞苑なんかを引きつつ,「視覚等の感覚器を用いて相手方の動静観察行為」ということに限定した。これは罪刑法定主義からの要請ということになる。
さらに,福岡高裁は地裁のいう「見張り」だと,たとえば相手方のSNSを継続的に観察することもストーカーになってしまい,処罰が広がりすぎるというのもの理由にしていた。
こうして被告人はGPS設置については無罪になった。ただし,上告したそうなので最高裁でどうなるかわからない。
(ちなみに,被告人はGPS以外の方法でもストーカーしているので,全体でみれば有罪である。)

GPSというものは最近のテクノロジーの産物であって,法律はGPSなんて想定していないというのが難しいところ。
タイムズの解説では,刑事事件の捜査なんかにも影響があるかもしれないとしている。
ただ,僕が読んでて思ったのが,不倫の調査でGPS使うの,大丈夫かなというところだった。
東京や大阪の方にはピンと来ないかもしれないが,「車にGPS」は車がなければ移動できない田舎では絶大な威力を発揮し,不倫調査ではGPS信号を頼りにラブホテル駐車場にたどりつき,出てくるのを待って撮影なんて手が非常によく使われる。

今回はかなり特殊なものだったから,普通の不倫調査なら①の目的の点でも切れるかもしれないが,とりあえず「見張り」にならないという点でも切り捨てられそうだ。





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最終更新日  2019.06.07 13:30:46
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