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2023.01.31
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カテゴリ: 読書
ヒットメーカー,池井戸潤の新作,『ハヤブサ消防団』を読んだので,感想など書いていきたい。
池井戸潤といえば,銀行だのゼネコンだの,経済小説をよく執筆している印象ではあったけれど,もともとは子どもの頃からミステリを愛読していて,江戸川乱歩賞を受賞してデビューだから,もしかするとこういうのが著者の書きたい作品なのかもしれない。


ハヤブサ消防団 [ 池井戸 潤 ]

おおざっぱな感想だけれど,東京生活に疲れた主人公の独身ミステリ作家,三馬太郎が,亡き父親の故郷であるU県(恐らく信州あたり)のハヤブサ地区に引っ越すのだ。
田舎暮らしを満喫する主人公だが,「地域の若い人はみんな入っているから」消防団への加入を求められる。そんな主人公は消防団を通じて気の合う友人もできて,田舎のグルメも楽しむのだが,消防団の活動もする中で連続放火事件にも関与していく…というのが大枠である。
主人公の太郎は明智小五郎賞を取っているというのであるが,現実にある江戸川乱歩賞のようなものだろう。そうすると,主人公は若いころの著者の投影なのかもしれない。

さて,消防団というと,都会の人には馴染みがないのかもしれないが,僕の住んでいる田舎だと,実際のところは半分青年団みたいなものである。ボランティア活動なんかにも参加させられるし,だいたい消防の訓練が終わったら気の合う仲間で酒など飲みに行く。
まさに,主人公の加入している消防団もそのノリで,イベントがあれば駐車場整備のボランティアをしたり,変わったところだとツチノコ探しイベントに駆り出されたりするのだ。


1つは,やはり田舎の密な人間関係である。
前述のとおり,主人公は消防団に加入したことによって,定期的に消防団員の勘助君などから「太郎君,飲みに行かへん?」など電話をもらい,馴染みの居酒屋に行ったりしてる。そこに行けば,見知った常連客がたむろしている,という図である。都会の人には,大学のサークル活動みたいなものといえばわかるだろうか。
人間関係は緊密で,主人公は「太郎君」で友人は「勘助君」。その他,消防団長も「郁夫さん」という風に,苗字ではなくて名前予備がデフォである。僕も,一時期青年会議所に加入していたからなんとなく分かるが,こんな空気で懐かしさを感じたものだ。

2つは,田舎グルメだろうか。
物語の舞台であるU県は,おそらく信州だろうと思う。名物は「ケイチャン」(タレで味付けされた鶏)に「あぶらげ」(油揚げの方言)だもん。
ケイチャンは岐阜で僕も食べたことがあるが,うまかった。酒のツマミに良い。
合間合間で勘助君が「太郎君,イノシシ食べへん?」とか「太郎君,ハチノコ食べへん?」と言って主人公を誘い出してくれる。そして,池井戸潤作品ではさほどグルメ描写に力を入れていなかった印象であるが,本作ではしっかりと食事描写に力が入れられており,読んでてイノシシだのハチノコだのを食べたくなる。池波正太郎なんかもそうだけど,小説内の食事シーンは結構好きである。
余談だが,主人公をよく誘ってくれる勘助君は,ちょっと抜けているところもあるけれど,僕は結構好きだよ。

で,最後の3つ目が連続放火の犯人捜しである。
なんといっても,主人公の住んでいる地区はやたら火災が多い。これが,連続放火事件ではないかということで主人公は調査を始めるのだが,火災にあった家が火災にあった後,太陽光発電の会社に土地を売っていることに気が付く。
どうやら,火災にあった家というのは,もともと太陽光発電の会社に土地売却を求められていのを断っており,火災にあって金にこまったから土地を売ったらしいというのである。

この部分はミステリにもなっているし,仲間だと思っていた人が信者だった,信者だから敵かと思えば見方で,でもやっぱり敵のようだ…となっているので,ネタバレは避けたいので割愛する。
時節柄,カルト宗教といえば統一教会を連想してしまうなぁ。

総評として,見どころが多いとはいえ,詰め込みすぎじゃないのか,とは思う。
見どころの1と2,つまり田舎の消防団での緊密な人間関係と,田舎グルメ描写を読んでいると,あたかも僕自身も田舎暮らしをしているような追体験ができた。これだけでも十分だったのではなかろうか。
季節ごとの祭りだとか,グルメを書き,独身だった主人公も結婚させたり,子育てさせたりすれば,それだけでシリーズものとすることも可能だったろう。

逆に言えば,見どころが多いので田舎スローライフものとも,ミステリとしても楽しめるのが良いだろう。
なお,本作は2023年夏に実写化の予定だとか。これも楽しみであるな。


ハヤブサ消防団 [ 池井戸 潤 ]





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最終更新日  2023.01.31 09:59:06
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