ココロ ニ アカリ ヲ・・

ココロ ニ アカリ ヲ・・

2004.03.01
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クリア




 話してしまおうか迷った。しかし、今日1日頭の中でもやもやしていたものを声にだして整理してみたかったし、僕のアパートにおしかけてまできたユカに対して誠実に正直に接してあげたかった。本当に、ユカはなんだか痛々しかった。

「高校3年の頃な。」
「うん」
「俺、フジタとキスしたんだ。」
「おおお。」ユカはおにぎりをほおばりながら、目をぱちくり開けた。

「そしたら、翌日、フジタと仲のいい女友達とつきあってた男から・・・おまえら遂にキスしちゃったんだってなって。」
僕は煙草の煙をぷかぁとはく。
「うん。」

「うん。」
「で、フジタ呼び出して「そんなこといちいちしゃべんないでくれよっ」って・・・」
「うん。」
僕はまた煙草の煙をぷかぁとはく。
「・・・・それからなんだか気まずくなって自然消滅。」
ユカは眉をよせて顔をゆがませた。
「なにそれー。ばっかみたい。」

「はーーーっ。」僕はため息をついて続ける。「お前って本当に歯に衣着せぬ奴だなぁ。」

「俺さぁ。おしゃべりな女の子理解できないんだ。低俗だと思うし、軽蔑もしてる。」
「うん」
「だから、これからフジタとつきあっていく上で、ケンカしたりキスしたりそんな事を他の人間が知っているという状況を想像するだけで、我慢できないし、だから謝らなかった。そして、フジタとつきあうのはもういいやって思ってしまったんだ。」

僕達の間に沈黙が走った。
「でも・・・」沈黙を破ったのはユカだった。「私もケイとキスしたら言いふらしちゃうな。ケイとキスしちゃった♪私とそういう仲なんだからみんな手ださないでねーーー♪私達幸せでーーす♪ってね。」

「はぁ、お前とキスすることは一生ないな。」

「そうかな?」ユカは挑戦的な瞳で僕を見つめたかと思った刹那、机から身を乗り出した。
 おでこと鼻先と唇が一気にぶつかり、ユカの唇の冷たさと柔らかさのみを僕の唇の上に残した。


「ほらっ♪キスしちゃった~。明日は大学のアナウンス部占拠して、大学中に放送しちゃお~♪」
「!」
「でも・・・・・・・・・・・もったいなかったね、こんな事で好きな人と別れちゃうなんて。」しんみりとユカはつぶやいた。

そうなんだ。あんなにたわいのない事が許せなかったせいで、僕はいつもいつもいつも胸の奥がつかえていた。なぜ、許せなかったのだろう。なぜあんなに嫌悪してしまったのだろう。でも・・・・
「その頃は、どうしても嫌だったんだ。我慢できないくらい。」僕はつぶやいた。「恥ずかしかったし・・・。」言葉にするのも恥ずかしかった。

「そっか。」ユカがぼんやり相槌を打ったあと、フッと顔をあげ、そしてゆっくり僕を抱きしめつぶやいた。「私とつきあってみない」と。






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Last updated  2004.03.01 09:47:51
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