あたしはあたしの道をいく

2006.04.19
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カテゴリ:
悪魔の飽食(続)新版(改版9版)

悪魔の飽食(第3部)


続刊よみあがり☆

第二部は、第一部で判明していなかった事実の補追と戦後の動きです。

戦後の動きがメインですね。
だから第一部ほど陰惨な記述はありません。
まあ全くとはいきませんが、何回も瞠目させられた第一部に較べると雲泥の差です。

その代わり別の汚さが出て来ます。
戦犯の問題。
731で行われた実験は非常に貴重だった。
あれだけの人体実験、マトモな神経の人間にできるわけがない。


それが垂涎ものだったって、反吐が出そうだけど、
無二のデータだってことは、理解できる。
その貴重さゆえ、アメリカを盟主とする連合軍の攻防の的になり、
戦犯免除の取引に使われた。
結果、731は無罪……。

汚い。
汚なすぎる。

731で行われた事と、ナチスドイツのホロコースト、何が違うってんだ?
ホロコーストの方が、多少犠牲者の数字は大きいかもしれないけれど、
ホロコーストに比べて少ないったって3千人。
ものすごい数だよ。

無かった事になんかされてないし、寧ろ同じ轍をふむまいと、歴史の風化予防に勤めてる。

日本は何なんだ。
731なんて、この本読むまであたしは知らなかった。
広島人だもの、平和学習には力が入ってる。それでも、コレ。
あたしの興味が薄い事を差し引いても、ひど過ぎる。

恥ずかしいっいたら、なかった。


第三部は、被害者側の視点。
マルタの生存者の証言はないけれど、強制労働者や住人の証言が連ねられる。
どの証言も、信じたくないくらいひどい。

日本人、本当に中国人のことを人間だと思ってなかったんだね。
マルタに対する行為は言うまでも無いことだけれど、
労働者や住人に対しても暴虐武人な振る舞いをしていて、
暴行も信じられないくらい、酷い。

日本に強制連行されて鉱山なんかで働かされた人たちの話を聞くと、
必ずやたらめたらと殴る蹴るの暴行を働く日本人や、
安全を欠く就労(?)現場。
衣食住の最低限さえも保証されない生活。
マトモじゃないって思うけれど、それは内地だけの話じゃないわけで、
中国大陸でもさんざん酷いことをやりまくってきたわけだ。

第三部は現地取材の記録なので、
当然、現地の人たちとの交流も発生する。
あたし、信じられないって思ったのが、
中国人証言者に日本人を責める気持ちが無いってこと。

違うな。
日本国っていう団体に対して責める気持ちが無いわけじゃないだろうけれど、
それと「個人」を明確に区別していて、日本人個人は友達であって、
責める相手じゃないって認識してくれていること。

これって、ありがたいことだよねえ。
戦後37年時点の記録だから、今から20年以上前の話よ?
昨年、反日感情が高まって、あちこちで反日デモなんかが起きてたけれど、
日本人、中国人のこの好意に甘えすぎちゃったのかもねって思った。
中国は許そうとしてくれてたんだなあ。
懐の大きさを感じてしまった。

あたし、以前「ワイルド・スワン」を読んだことがあるんだけれど、
中国のどこかでペストが流行ったとか、
日本人が残虐な行為を働いたとか、
微妙にリンクしてるところがあるんだよね。
「ワイルド・スワン」を読んだのがずいぶん前なので、
記憶が曖昧になっちゃってるし、もう一度読んでみようっと。

ワイルド・スワン(上)




そうそう。
もう一つ思い出したこと。

細菌爆弾の記述が、1~3の全巻で出てくるんだけど、
半年くらい前のローカルニュースで、
陶器製の爆弾を展示しているってのを見たの。
陶芸の窯元の展示のニュースで、それだけちょっと趣向が違うから、
記憶に引っかかってたんだけれど・……。

その時の解説では、当時の日本には鉄が無くて、
仕方なく陶器製の爆弾を作ったって言われてた。

それって……
今思い返してみると、731の細菌爆弾かも??

そのニュースを見たときには、
「陶芸家も戦時中は大変だったのね~」
くらいにしか思わなかったんだけれど、
731の細菌爆弾と結びつくと、背筋が寒い。

戦時中の鉄不足は深刻だったし、本当にただの陶器製爆弾かもしれないけどね。
もうとっくに終わっちゃってる企画展だけど、見たい……。





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Last updated  2006.04.19 12:30:56
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