t-cross Private Research Institute (tPRI)

t-cross Private Research Institute (tPRI)

PR

×

Calendar

Profile

t-cross

t-cross

Archives

2026.10
2026.09
2026.08
2026.07
2026.06
2012.03.31
XML
カテゴリ: Science
「歴史は『べき乗則』で動く-種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学-」(マーク・ブキャナン、ハヤカワ文庫NF)を再読。

2回読んでも面白いという本はある。本書はそのひとつである。

本書の第1章は、何故第一次世界大戦が始まったかというエピソードから始まる。そして、地震、大火災、株価の突然の暴落、生物の大量絶滅、砂粒の山の崩落などの現象は基本的には予測不可能であるのだが、共通性を持っているのではないかという問題提起がなされる。それらを語るキーワードは、複雑系、カオス、フラクタル、(自己)組織化などであることが、あとの章で徐々に示されていく。

第2章以降の数章は、地震を例にして話が進む。何故地震予知はことごとく失敗してきたか、それにもかかわらず地震の規模と発生回数の間には明確なべき乗則(グーテンベルク-リヒターの式)が成り立つことが示される。

これは、大地震と微小地震の原因は全く同じであることを示す。すなわち、断層で岩石の破壊が始まった時点では、どこまで規模が大きくなるかは予測不可能なのであるが、統計的にはその規模は一定の法則に従うのである。

その後、同様のべき乗則が様々な自然現象に見られること、全てにおいて「スケール不変」であることが示されていく。冒頭で述べた現象の他にも、超流動体、鉄の磁石、中性子星などである。

更に自然現象だけにとどまらず、都市の大小、貧富の差、科学の歴史 (クーンの「パラダイム」)、戦争や革命といった人間の関与する問題においても同様にべき乗則が成り立つことが示される。そして最後に、人類の歴史(歴史学)自体にも非平衡統計物理学に基づくべき乗則(法則性)があるのではないか、と提案されている。

べき乗則が非常に一般的であり、一見予測不可能な様々な自然現象や社会現象を説明しする強力なツールであることが、読者は明快に理解するのである。

以下、面白かった記述を幾つか引用。

「私は、地震学にかかわりはじめて以来ずっと、地震予知も予知をする人も大嫌いだ。マスコミや一般大衆は、餌場に集まる豚のように地震予知の内容に飛びつくのだ。」

「科学は物事を説明しようとはしない。解釈さえもめったにしない。たいていはモデルを作るだけだ。」 (ジョン・フォン・ノイマン)

…地震の起きなかった時間が長いほど、その先も地震の起きない時間は長いだろうということである。これは我々の直感に反している…

「経済学者とは、経済について誤った推測をして金儲けをする専門家だ。」

1920年代、ボーアは、量子的物体を観測する行為は必然的にその物体の性質を変えるという、量子論の不確定性原理に、かなり夢中になった。この原理を、社会科学や心理学といった、観測者が必然的に観測対象の振る舞いに影響を与えるような分野にも、有効に応用できるかもしれない、と示唆した論文さえ書いている。

ちなみに、1回目に読んだ時のレビューは こちら 。


歴史は「べき乗則」で動く





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.03.31 07:38:50


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: