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カテゴリ: Book Review
「凍りのくじら」(辻村深月、講談社文庫)を読む。

有名なカメラマン芦沢光の娘、理帆子は父のあとを追うようにカメラマンになる。彼女の回想で描かれている作品。

高校時代の理帆子は、友人や親などの周りの人を馬鹿にしてしかアイデンティティを見出せない。そんな理帆子は父の影響で藤子・F・不二雄の作品に傾倒している。実際、本書の各章には「ドラえもん」の秘密道具の名前が冠されているし、作中にもいろいろ登場する。

辻村作品は基本ミステリなので、ついいつも結末を急いで読んでしまうのだが、本作はなかなかミステリ的な要素が出てこないので、けっこう時間をかけてじっくり読めた。

ここでネタバレをご容赦頂きたい。 理帆子の父、芦沢光の撮った写真に入っていた署名は何故か「A.Ashizawa」。私はずっと「光」を「ひかる」と読んでいたので、イニシャルの「A」って何? となってしまった。結局これが「ミステリ」の要素なんだろうと、何となく気付いてしまった。

他の辻村作品との繋がりも見られる。「ぼくのメジャースプーン」のふみちゃんが本作にもちょっと顔を出している。こういうところを楽しめるのは読者としては嬉しい。(キング作品にはこの手のことがよく行われるのだが・・・やはり辻村はキングの影響を受けているのか?)

あと、どうでもいいところでは、カオス理論の「バタフライ効果」の話がちょろっと出てきた当たりも私のツボだった。

最後にダメ出しを幾つか・・・。
P.317で「フレンドシップ」を「Friend ship」と分けて綴っているが、これは一単語で「Friendship」が正しいはず。



あと数か所に見られたのが、心療内科の患者や精神安定剤・睡眠薬服用者に対する蔑視ともとれる記述。たとえ作中で「悪者キャラ」を描くためとはいえ、これには猛烈な反感を覚えた。

私が小説にダメ出しをする理由は、基本的にはそれがいい作品だから、よりアラが目立つということで、本作もそれは同じ。しかし、上の3つを見るに、「コイツ、ホントに千葉大の教育出てんのか?」とか「所詮私より年下だからな」とか思ってしまう。その点は少なくとも残念。悪くいえば「馬鹿」。






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Last updated  2012.04.04 11:20:58
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