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カテゴリ: Book Review
―今日は、葉桜忌。

―だから…。
―白ワインのグラスに氷を浮かべるもよし。
―麻雀を思う存分打つもよし(私はルールさえ知らないが…)。
―韓国語の勉強に精を出すもよし。

私が作家・鷺沢萠を知ったのは高校時代。新聞の新刊案内で「スタイリッシュ・キッズ」(河出文庫)という作品の名前を目にした時。その作品が面白くて、続けざまに読んだのが(私の記憶が正しければ…)、「少年たちの終わらない夜」(河出文庫)、「駆ける少年」(文春文庫)、「帰れぬ人びと」(文春文庫)、「町へ出よ、キスをしよう」(新潮文庫)辺りの作品群だ。

さて、葉桜の季節にはまだ早いこの時期が何故「葉桜忌」なのかというと、「葉桜の日」(新潮文庫)という作品に因んでファンがそういう名前をつけらからなのだ、というのが私の知る限りである。

そんなワケで、今年の「葉桜忌」に、「葉桜の日」を読み返してみた。高校時代に1回読んで以来のことだ。



主人公は自分の出生について知らず、養母に育てられてきた19歳の少年ジョージ。ふとしたことから、自分の出生の秘密や、何故「ジョージ」と呼ばれているかを知ってしまう。それはジョージがずっと知りたかったことであるのだが、知ってしまったからこそ余計に自分が何者がということに悩んでしまう、という話。

この小説で扱われているテーマからして、その後の多くの鷺沢作品の礎となったといえるのではないかと思う。

それから、この作品から幾つかフレーズを引用させて頂こう。

―人の生きていく方法や道はさまざまで、どれが最高ということはない。ただ、自分のめいっぱいに真実(ほんとう)で生きていればいい。

―真実(ほんとう)で生きてなきゃ、どうすんのよ……。

「僕は、ホントは誰なんだろうね?」

生きていれば大丈夫だと思った。生きているだけ、で凄いことだと思った。

―うまくいくことなんて、なかなかないね、おじい……。


「果実の舟を川に流して」は、横浜中華街のバー「パパイヤボート」を舞台に、そこで働く若者・健次を主人公とした話。このバーの女主人(?)や常連客たちがどういう人間関係にあるのかということが徐々に明らかになっていき、最後には意外な事実が判る。

こちらは一節だけ引用を。

どちらがほんとうの自分なのかはいつでも判然としなくて、そう考えれば実は「ほんとうの自分」なんてどこにもいないんじゃないかとも思える。

こちらは、「帰れぬ人びと」に収められた4篇の中篇と同様に「町がもうひとりの主人公になっている」ということを感じさせる作品だと思う。

あと私が感じたのは…「パパイヤボート」の優梨花さんに会ってみたい、ということだ(笑)。





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Last updated  2012.04.11 11:48:51
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