t-cross Private Research Institute (tPRI)

t-cross Private Research Institute (tPRI)

PR

×

Calendar

Profile

t-cross

t-cross

Archives

2026.10
2026.09
2026.08
2026.07
2026.06
2012.05.07
XML
カテゴリ: Science
「科学と仮説」(ポアンカレ、岩波文庫)を読む。

タイトル通り、科学における仮説の役割とその重要性を説いた1冊。一番最初は数学(算術)について。ここでは、整数の足し算という簡単な算術の性質について、まず通常の数学通り演繹的に、続いていわゆる数学的帰納法について説明されている。両者が同じ結果を導くのは当然であるが、私はむしろ「数学的演繹法」の方になるほどなぁ、と思った。

次に幾何学である。ここでは非ユークリッド幾何学として、球面幾何学やロバチェフスキー幾何学、リーマン幾何学があり得ること、それでもユークリッド幾何学がよく使われるのは、単にそれが「便利」だからであることが述べられている。私はユークリッド幾何学と、ほんの少しの球面幾何学しか知らないので、他の幾何学については、どんなものかイメージ出来なかった。しかし、「利便性」ゆえにユークリッド幾何学が選択される、というのも幾何学における「仮説」なのだということを認識した。

続いて、力学やエネルギーについて。力学は実験科学であることが数学・幾何学と違うが、そこでも仮説は同様に働く。というよりはむしろ、実験を説明できない理論・仮説・数理・数式は当然ながら淘汰されていくので、より仮説志向の科学である。ここで生き残る理論はエネルギーの保存と最小作用の原理だけである。

最後の方のメインは電磁気学である。ここでは電磁気学の歴史的発展を見ることで、過去の仮説が如何に変更あるいは棄却され、今の電磁気学に至っているかを述べている。ただし、本書の底本は1902年出版であり、まだ現在の電磁気学には至っていない。実際、エーテル仮説が未だに幅を利かせている。

よって、現代の電磁気学を既に学んでしまっている私にとっては、若干退屈かつ理解しにくいところがあった。また、ひとつ加えるとすれば、図面が一切ないことも理解を苦しめる一因である。ただし、本書は電磁気学の教科書ではないので、それはそれで本書はその役割を果たしていると思う。

そして、その中に「紛れている」(といっては失礼だが)のが、確率論や誤差論である。これは今の私にとっても難しい分野で、かつ例として取り上げられているカードゲームが私の知らないものであるので、なかなか苦戦した。ただ、補間、誤差曲線、事前確率など、現代の科学にも通ずるものがある。

更に凄いことに、絶対座標が存在しないであろうことなども述べられている。これはアインシュタインの相対論まで待たなければならない理論である。その他にも、先見の明のある記述が幾つか認められる点は凄いと思う。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.05.07 08:32:54


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: