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2013.01.03
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カテゴリ: Book Review
実は読んだのは昨年末なのだが、一応今年のトップバッターとして感想をアップ。

現代版「トキワ荘」ともいうべき「スロウハイツ」で共同生活を送る、クリエイター(の卵)たちが主人公。脚本、映画、漫画、絵画、とそれぞれジャンルは違うが、刺激しあいながら成長していく。

中でも群を抜いて才能を発揮しているのは、若者向けの小説家として大成しているチヨダ・コーキと、スロウハイツのオーナー赤羽環(あかばね・たまき)。

もちろん彼らの生活の中には、恋愛、失恋、人間関係、仕事など様々な葛藤がある。そして、スロウハイツを抜ける者あり加わるものあり。そして徐々に明らかになるコーキと環の過去の関係…。

ストーリーの終盤で、パズルのピースが一気にすべてはまっていく感じは「あぁ、やられた」という感じ。こういう「やられた感」のある話は面白い。

登場人物のひとりがRPGのレベル上げを心から楽しんでいたり、別の人物が失恋して「もう帰れない」と思ったりするシーンが個人的には好き。

逆に辞めてほしかったのは、登場人物のひとりが最後に来てタバコを吸うようになっていたこと。私が個人的にタバコ嫌いというのもあるが…これは演出上全く意味がない。

スティーヴン・キングの名前も作中に登場。辻村は絶対キングファン。デビュー作「冷たい校舎の時は止まる」もキングの「ランゴリアーズ」(文春文庫)をモチーフにしているし、長すぎるエピローグもキング作品に似ている。

ただし、言葉の使い方に問題がある箇所も相変わらず散見された。


●「おざなり」と書いてあるのは「なおざり(等閑)」の誤り。

●相変わらず出てくる「真逆」という言葉。これはIMEの変換でも出ないし、しつこいようだが広辞苑にも大辞林にも出てない、正しい日本語ではない言葉。物書きに安易に使ってほしくない。

●「中身を開封する」って何?「開封して中身を見る」でしょ。

●「よろしかったでしょうか?」これもムカツク表現のひとつ。何故「よろしいでしょうか?」と書けない?ちょっと物書きとして言葉に無頓着だわ、辻村。それとも登場人物の知能の低さを表すためにわざと使ったのか。それなら許せるが。

●知らなかったのは「既のところ」で「すんでのところ」と読むこと。これは勉強になった。

毎度私は細かい言葉遣いにケチをつけるが、それは作品への賛辞の裏返しだし、物書きを生業としている者に対する期待を裏切られた感からくるものである。

ただし本作に限ってはストーリーが秀逸だったので、細かい言葉の誤りはとりあえず見逃そうという気になった。辻村作品ではデビュー作「冷たい校舎の時は止まる」(講談社文庫)と比肩する面白い作品だった。

蛇足にも過ぎるが、なぜか私は読み始めるまで「ス ワ ロウハイツの神様」だと思っていた(^^;


スロウハイツの神様(上)/辻村深月


スロウハイツの神様(下)/辻村深月


冷たい校舎の時は止まる(上)/辻村深月


冷たい校舎の時は止まる(下)/辻村深月


Four past midnight I ランゴリアーズ/スティーヴン・キング


Four past midnight II 図書館警察/スティーヴン・キング

今年1・2冊目クリア。





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Last updated  2013.01.04 15:52:23
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