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カテゴリ: Book Review
「海と毒薬」(遠藤周作、新潮文庫)を読む。

多感な時期に読み忘れた本というのが私には幾つかあって、この本もその1冊。偶々BOOK OFFで見つけて買って読んでみた。

太平洋戦争末期に九州の大学病院で米軍捕虜に対して行われた恐ろしい生体解剖実験を小説化し、「日本人とはいかなる人間か」を問うた本。

まず本題に入る前に一言。
この実験はもちろん恐ろしいもので、抑々人としてやっていいのかという問題を孕んでいる。しかし、米軍が原爆を落としたのに比べれば罪は軽いんじゃないかと思う。勿論、現代社会に生きる私自身が今そんなことを行っても構わないかと言われれば答えはもちろん否だが、当時だったら正直いいんじゃないかと思う。それを戦勝国だからという理由だけでアメリカに戦犯扱いされたらたまったものではない。

閑話休題。

私としては「生体解剖実験」のところに興味があって読んだし、その部分も描かれてはいるが、作中で示された3つの実験のうちひとつだけを、けっこうあっさりと書いてあるという印象を受けた。その3つとは以下の通りで、作中で語られているのは3番目についてである。

1.人間の血液にどれだけの量の生理食塩水を注入したら死ぬか
2.人間の血液をどれだけの量抜いたら死ぬか


これが凄絶なテーマであり、本書の軸だとばかり思っていた。しかし実際は違って、その実験に携わった人間の育ちやその後がメインであり、あくまでも彼らの精神的倫理的真空がいかなるものであったか、というところであった。

最近小説を読むときは、大概エンターテイメント性を楽しむために読むことばかりしているので、こういった人間の心の「機微」とか、心の「琴線」に触れたかどうかとか、文学性とか人間論とかを意識していないので、こういう作品を「うぅむ」と呻りながら読むことが出来なくなっている自分の感性の錆び付き具合がちょっとイヤになる。

まぁこれで今年33冊目に到達。






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Last updated  2013.06.28 16:28:10
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