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カテゴリ: Book Review
「いじめへの反旗」(高嶋哲夫、集英社文庫)を読む。

アメリカからの帰国子女が主人公。彼が日本の中学に編入し、そこで日本とアメリカの教育・学校のシステムの違いに戸惑う日が続く。

そんな中、彼は仲良くなった同級生が他の同級生2人から心身両面でいじめを受けていることを知る。主人公は警察(帰国子女なので「ポリス」と言っている)や弁護士に知らせよう、これは明らかに犯罪だと主張するが、いじめられている本人は「これはいじめではなく、彼らとは友達なのだ」という態度を貫く。主人公は自らなけなしのお金を叩いて弁護士事務所を訪問することまで行う。しかし、事態は最悪の結末となる。

この小説はフィクションでありながら実際の学校現場・いじめ現場で行われていることを、思いきりリアルに描いている。暴力的ないじめは受けたことはないが小・中といじめられっ子だった私は、出来ればその時弁護士や警察に相談しよう等と言ってくれる友達がいればなぁ、などと思いながら読んだ。それと、親に相談しても「やられたらやり返せ」と言われるのと、心配されるのがオチであるってことも私は共感できる。何より私も最悪の結末を自分でつけようと思ったこともある。まぁ実際にやったことはナイフ(カッターナイフだけど)を常に持ち歩くことぐらいであるが。

そんなわけで私はこの本を読んでいて、主人公といじめられっ子の気持ちに凄く共感出来た。で、話は飛ぶが、昨今道徳の科目化が話題になっているが、この本のような良書を是非教材として使って欲しいと思う。主人公たちに共感出来ない人間はいじめをしている方だと決められるし、簡単に評価を点数でつけることが出来る。つまり道徳の成績が悪いヤツは犯罪者の卵だと(さすがに本気で思っているわけではないが、元・いじめられっ子としてはこういうことに関しては過敏になってしまうのである)。

いじめはもちろん犯罪であり、少年犯罪であることを考えれば、最近読んだばかりの 「フライ・トラップ」 にも通じるものがある。それからいじめを犯罪としてだけ考えるのではなく、教育システムの問題としても考えなければならないというのが、この作品の通奏低音である。私は基本的にいじめ・少年犯罪の厳罰化を常に導入すべきだと思っているが、それは必要であるが十分ではないということを、こういう小説で思い知らされる。何とも根深い問題だ。でもいい加減そろそろみんな腰を上げて現実に起こっていることに目を向けて逸らさず、根本的な解決に向かわないと、この国の将来はダメなものになるのは必定である。

元・いじめられっ子の私の言うことはこの辺にして。作中から何箇所か引用させて頂こう。今回はかなり多くの箇所が気になって、どこを選ぶか絞りにくいが、やってみよう。



「この国では、人を殴ったり蹴ったりして怪我をさせても犯罪じゃないんですか。脅かしてお金を取っても、犯罪じゃないんですか。刑務所に入れることはできないんですか」

ぼくは失望した。大人は何もできない。いや、しようとしない。

「法律なんて無力だ。何の役にも立ちやしない。一人の中学生すら救えなかった」

「最近、少年の重犯罪が増えてるので見直しの方向に進んでいるけど、刑罰を重くするだけでもよくないのよ。立ち直る機会を与えてやることこそ大切なの」

「前に少年法のことを話したでしょう。少年犯罪はいろんな角度から考えなければならないの。加害者に罰を与えるということより、本人の更生を第一目標にしなければならないのよ。だから、単に加害者だけが悪いと決めつけることはできないの」

「問題は二つあるんです。ひとつは、義務教育では学校を選択できないということ。もうひとつは、教師のレベルが落ちているということです。そう思いませんか」

「かばうと、私もいじめられるもん…」

「…アホーな大臣が、教育という国家で最も大事な分野に思いつきだけで方針を決定するような国だ。現場は振り回されるだけだ」

他にももっともっと引用したい箇所があるが、最後に巻末の解説から、あまりにも当たり前だけど一番大事で一番共感できる文章を…。

いじめは犯罪である。

いじめは犯罪である。
いじめは犯罪である。
いじめは犯罪である。




これで今年63冊目。


いじめへの反旗/高嶋哲夫





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Last updated  2013.11.27 20:39:56
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