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カテゴリ: Book Review
「水底フェスタ」(辻村深月、文春文庫)を読む。

東京に出て芸能界で成功した由貴美が山間の湖畔の村に帰ってきた。その村で開催されたロックフェスで彼女と出会った高校生の広海は、彼女の魅力に惹かれ、恋に落ちた。そんな彼女はある日、自分はこの村に復讐するために、「村を売る」ために帰ってきたのだと言う。さて、隠された村の秘密とは? そして彼女は一体何を目的としているのか? はたまた彼女はそもそも何者なのか? 徐々に明らかになる真実は…。

舞台となった村は日本のどこにでもあるような村で、古くからの因習にとらわれているといった感じ。それを外から打ち壊そうとするような由貴美の行動。それに惹かれていく広海。二人のあまりに脆く切ない恋。そんなものを描きつつ、村の真実に迫る様はある意味空恐ろしい。

巻末解説の言葉を借りれば、「太陽の坐る場所」「ゼロ・ハチ・ゼロ・ナナ」と本作は、 著者の作品の中でも地方社会の孕む息苦しさを扱った系列に属しているが、暗欝な読後感という点では本書が飛び抜けている という。確かにその通りの印象を受けた。

私はこういう読後感がすっきりしないというか、ドロドロした何かを孕んだまま終わっていく話が実はかなり好きだ。これまでの辻村作品の多くは「若者のための作品」という感じだったが、本作ではまた違った辻村ワールドが展開されている。今後どのような作品を書いていくのか、楽しみである。

今年52冊目。


水底フェスタ/辻村深月





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Last updated  2014.11.06 04:54:59
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