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カテゴリ: Science
「工学部ヒラノ教授の事件ファイル」(今野浩、新潮文庫)を読む。

「工学部ヒラノ教授」シリーズの文庫化第二弾。東工大工学部をはじめとする筆者が務めた大学の理工系学部で起きた様々な「事件」の暴露話をまとめた1冊。暴露ネタは目次を眺めるだけでも、経費詐取・経歴詐称・服務規程違反・賄賂・単位略取・セクハラ・アカハラ・論文盗作&データ捏造…と枚挙に暇がない。そして最後に原発事故とSTAP細胞問題についても持論が展開されている。

この種のエッセイ本というのは書かれている内容そのものが面白いというのはいうまでもないことだが、それを読ませる文章力というものが大事だと思う。本書でも筆者は理工系の研究者にしては珍しく、上手い文章で面白おかしい理工系学部の実態を思いっきり暴いている。いくら退官したからってそこまで書いていいのかと思わせるほどであるが、世間一般の人に大学の理工系学部がどんなところなのかを知ってもらうにはもってこいなのではないだろうか? 私はあまりの面白さに1日で読み切ってしまった。それくらいテンポが良く、読みやすい1冊である。

1箇所だけ少々長くなるが引用させて頂きたい。原子力にも携わったことのある筆者が原発事故問題について論じた箇所である。賛否両論あると思うが、まぁ読んで頂きたい。



 新エネルギーに関する最も楽観的な見通しと、原発に関する最も悲観的見通しのもとに、即時原発廃止を叫ぶのは、バランスを欠いている。新エネルギーも原発も、ともにリスクを内包しているのだ。
 食べるものが乏しく、電気が来ない夜を過ごした昭和15年生まれのヒラノ老人は、日本が現在よりずっと貧しくなったとしても、元に戻っただけだと思えば済むが、豊かな時代に育った人たちが、そのような貧しさに耐えられるとは思えないのである。
 原発がない日本は、”清く貧しい”国になる可能性が高い。”清く貧しい日本”と、”清くはないが豊かな日本”のどちらが Lesser Evil なのだろうか。
 不確実な情報が錯綜する中で、性急に国家の将来に関わる重要な決定を下すのは、余りにもリスキーだというのが、OR(意思決定理論)の専門家としてのヒラノ教授の意見である。


これで今年12冊目。


工学部ヒラノ教授の事件ファイル/今野浩





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Last updated  2015.03.06 08:23:12


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